株式会社プランシードのブログ

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その69.地方スタッフ

2012-11-18 16:00:15 | 制作会社社長の憂い漫遊記
かって大阪から飛行機に乗って行かねばならないような地方への取材は、
スタッフ全員が移動する予算もなく、
プロデューサー、監督、カメラマン(予算が許せば助監督)のみ現地に飛び、
他のスタッフ、機材、車両は現地で調達した。
究極の「地方スタッフ」である大阪の私が
「地方スタッフ」と定義づけて恐縮だが…
札幌、福岡あたりのスタッフや機材なら、よほどのことがない限り大丈夫だが
新潟で☆☆、盛岡や山形になるとかなり物騒になり、庄内となると…
機材はともかくも、そうして出会う現地スタッフが二流かというと
そんなことはない。少なくともモノ作りに対する熱い思いは我々と負けていない。
15年ほど前に我が社に突然転がり込んできた小野寺 誠晴君も、
今でこそ売れっ子カメラマンだが、
当時は仙台の撮影プロダクションに所属する撮影助手だった。
彼もまたモノ作りにかける思いは熱く、たまたま我々と出会い、
オルグされ、映像のメッカ・東京を飛び越え、
はるばる文化の坩堝あるいは肥溜といわれていた大阪まで
単身飛び込んできたのだ。勘違いも甚だしいが、情熱のなせる荒技ともいえる。
地方とあなどるなかれ、彼のようなスタッフは当時たくさんいた。
ただ悲しいかな、日常は低予算でテレビ番組やCM、PR映像を作っている。
しかし彼らはけっして低予算とは思っていない。
東京や大阪に比べると人件費(給与)も安く、事務所の家賃も安い。
駐車場はタダ同然。人件費や管理費が安く済む分、
撮影機材一式(1チェーン)揃えでもて大阪の3分の2ほどで済む。
それがその地の相場なのだ。


(地方というか外国の匂いがプンプンする小野寺カメラマン)

山形県庄内で集めたスタッフに20年前に聞いた話にこんなのがある。
当時、庄内でのテレビCMの制作費は通常5万円で、
たいていはスライドショーだった。
プロダクションも2社ぐらいしかなく?
撮影も編集も録音もスタッフは兼務だし、
競合他社であるプロダクション間でのスタッフの行き来もある。
ある日15万円でCMの依頼が東京からきてしまい、
皆で頭を抱えてしまった。
その理由が「15万円をどう使ってよいのかわからない」という。
庄内には特別な撮影機材や特機もなく、東京で借りると予算オーバーになる。
さりとて編集や録音を東京でやると、これまた予算オーバーになる。
15万円はそういう意味では中途半端な額なのだ。
5万円なら気兼ねすることなくスライドショーでいけたのに
15万円となると、何をどうして使えばよいのか皆目見当がつかない。
結局スライドショーに動画をつけ足したようなものにして
残った金額は「山分けにした」という。何とも心温まる話である。
町も田舎もない、工夫次第でいい作品をつくることはできる。
ただし地方には監督だけで飯を食っている人はいない。みな兼務している。
それゆえ厳しさがなく、それが作品に如実に現れてしまう。
あれから20年。予算は当時と比べても5分の1、いや10分の1になり、
インターネットなどの登場により、TV業界そのものが斜陽産業になってきた。
もはや地方も都市もない。予算だけでなく、人材も、発想すらも枯渇している。


(帯広ロケ。私は飛行機で、スタッフは機材とともに
 札幌から調達するしかなかった
 移動距離は大阪からの方がはるかに遠いが、
 移動時間は私よりも3倍もかかって帯広入り)

先に予告したように11月19日から一週間、
私は高松のイベントに演出として出張する。
映像を大画面に流しながら、それに合わせて機械を動かしPRする!
ということで演出の依頼がきたが、他のスタッフは全員高松スタッフで、
私は単身参加となる。
頼む方も頼む方だが、受ける方も受ける方だ。
しかし受けたからには200%エンジン全開でやるっきゃない。
それが私の信条だ。
映像はあらかじめ大阪の我が社で編集したDVDとパワーポイントを
事前に高松に郵送し、会場でライブカメラと切り替えながら構成する。
音楽も大阪で編集して郵送した。郵送しただけでそれを使うのは高松スタッフだ。
「必ず動作確認せよ」と手紙を添付したが、
速達で郵送したので翌日に電話があった。
さぞかしむこうもやりにくかろうとは思うがいたしかたない。
大変なのはお互い様。というか私は演出なので失敗したら全て私の責任になる。
もちろんうまくいけば私はお褒めの言葉を頂くことになるが、
単身となるとかなりハードルは高い。
果たしてどうなることやら…といいつつも
どんなスタッフと出会えるのか楽しみだ。
一期一会。では。

(かって地方スタッフとは夜に酒盛りをして親交を深めたものだが…)

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