トヨタから通知があり、
14万キロを共に走った我が愛車「ウィッシュ」がリコール対象車となった。
ウィッシュは今まで乗った車種の中で、
私の仕事やライフスタイルに最も合った車種でお気に入りとなり2代目になる。
近々買い替えを考えているが、3代目ウィッシュにしようかと
迷っていた矢先のリコールだった。
リコールという制度が確立したことに加え、
人件費の安い国で部品を調達したり、組立をしたり、
あるいは安売り合戦によるポテンシャル低下などが影響してか
様々なメーカーでリコールが表立っている。
(届いたリコールの通知)
我々のような映像ソフト制作の業界ではリコールという制度はない。
そもそも感覚や感情を視覚化しているので、基準がない。
Aさんは「感動した」と感じても、Bさんは「くだらん」となる。
しかも大量生産ではなく、一作品ごとに完結しているので、
リコールのしようがない。
私は30年余り監督をし、多作の多田と言われてきたが、
「金を返せ!」とのクレームはない。
ただし自分から真剣に「お金を返したい」と思ったことが一度だけある。
30年ほど前に、あるファッションショーを2台のカメラで撮影したが、
1台のカメラが撮影途中で故障し全収録ピンボケで、
撮影したものの使い物にならなかった。
悩みに悩んだが、ピンボケを短く挟んで編集した。
とても納品に行く気力も勇気もなく、営業担当者に納品を押し付けた。
営業担当者が帰社するまで生きた心地がしなかった。
「多田君、すごい好評だったよ。もう一作品オーダーもらったから頼むよ」
「???」
私はわからなかった。
ただ思い当たるのはピンボケカットを入れるため、
相当きめ細かく刻んで編集したので仕上がりはハイテンポであった。
記録というよりも今でいうミュージッククリップの仕上がりになっていたのだ。
実はそれがわかったのは追加オーダーをいただいた2作目を
自信満々で納品した時だった。
2作目はバックアップ機材として3カメにし、
編集ではファッションショーの記録としても見れるように配慮した。
ところがである。
「テンポが悪い!」「イメージが伝わらない!」とダメ出し。
発注者は記録ではなく映像作品を求めていたのだ。
当時、ファッションショーの撮影となると
記録としての活用がほとんどだった。
次のショーの参考資料として全体の流れがわかることを第一義とし、
映像そのものに作品性を求めていなかった。
その点については撮影前に口頭で狙いを
発注者と分かり合えて制作したつもりだったが、
上がりを見て発注者も「違う」と認識したようだ。
第一作目がなぜ好評だったのか、私にも発注者の真の想いがわかった。
ミュージッククリップのごとく作品性を全面に押し出した編集にやり直して
再度納品したら即OKが出た。
もちろん編集手直し費はチャラなので、リコールといえるかもしれない。
そういえば、再撮影や再編集は、ある種のリコールといえるかもしれない。
私の場合、今まで再編集は先の一度のみだ。
しかし通常、編集試写後の文字の変更や
映像の差し替え・カットなどの修正は毎回何かしらある。
これにかかる費用は、見積段階ですでに入っている。
しかし再撮影については、基本的には余程の事がない限り行わない。
もし行っても別途請求になる。
フィルム時代は、ホコリによるフィルムトラブルも想定内に入っており
カットの再撮影はあったが,撮影日数が潤沢にあったので
その中で消化できていた。
今のように撮影1日なんて作品では、そもそも失敗は許されない。
従って恐さを知るベテランは「やっとれん!」となり、
恐さを知らない若手プロデューサーは
ベテラン監督とは仕事をしなくなる。
結果としてベテランは自然消滅していく。
そもそも映像作品は贅沢品だ。
ひもじく作るくらいなら作らない方がよい。
例えば、彼女の誕生日に高級フランス料理を食べに行った時に
「お飲み物は?」とソムリエに聞かれて
「水!」という愚か者はいない。高級ワインを頼むはずだ。
映像作品は、ワインであり水ではない。
ライスのような主食でもない。贅沢品なのだ。
感情を伝えるならば、ある程度お金を出して制作しないと、
企業イメージまで損なうことになる。見栄も張らねばならないのだ。
みすぼらしいのはダメです、一杯の高級ワインのごとく優雅に美しく。
スポンサーの皆さん、映像作品にはお金をかけましょう!
是非!ぜひ!是非!
※来週は1週間四国出張です。
30年強この仕事をしてきて初の現地休もある。
では行ってきま~す。
14万キロを共に走った我が愛車「ウィッシュ」がリコール対象車となった。
ウィッシュは今まで乗った車種の中で、
私の仕事やライフスタイルに最も合った車種でお気に入りとなり2代目になる。
近々買い替えを考えているが、3代目ウィッシュにしようかと
迷っていた矢先のリコールだった。
リコールという制度が確立したことに加え、
人件費の安い国で部品を調達したり、組立をしたり、
あるいは安売り合戦によるポテンシャル低下などが影響してか
様々なメーカーでリコールが表立っている。
(届いたリコールの通知)
我々のような映像ソフト制作の業界ではリコールという制度はない。
そもそも感覚や感情を視覚化しているので、基準がない。
Aさんは「感動した」と感じても、Bさんは「くだらん」となる。
しかも大量生産ではなく、一作品ごとに完結しているので、
リコールのしようがない。
私は30年余り監督をし、多作の多田と言われてきたが、
「金を返せ!」とのクレームはない。
ただし自分から真剣に「お金を返したい」と思ったことが一度だけある。
30年ほど前に、あるファッションショーを2台のカメラで撮影したが、
1台のカメラが撮影途中で故障し全収録ピンボケで、
撮影したものの使い物にならなかった。
悩みに悩んだが、ピンボケを短く挟んで編集した。
とても納品に行く気力も勇気もなく、営業担当者に納品を押し付けた。
営業担当者が帰社するまで生きた心地がしなかった。
「多田君、すごい好評だったよ。もう一作品オーダーもらったから頼むよ」
「???」
私はわからなかった。
ただ思い当たるのはピンボケカットを入れるため、
相当きめ細かく刻んで編集したので仕上がりはハイテンポであった。
記録というよりも今でいうミュージッククリップの仕上がりになっていたのだ。
実はそれがわかったのは追加オーダーをいただいた2作目を
自信満々で納品した時だった。
2作目はバックアップ機材として3カメにし、
編集ではファッションショーの記録としても見れるように配慮した。
ところがである。
「テンポが悪い!」「イメージが伝わらない!」とダメ出し。
発注者は記録ではなく映像作品を求めていたのだ。
当時、ファッションショーの撮影となると
記録としての活用がほとんどだった。
次のショーの参考資料として全体の流れがわかることを第一義とし、
映像そのものに作品性を求めていなかった。
その点については撮影前に口頭で狙いを
発注者と分かり合えて制作したつもりだったが、
上がりを見て発注者も「違う」と認識したようだ。
第一作目がなぜ好評だったのか、私にも発注者の真の想いがわかった。
ミュージッククリップのごとく作品性を全面に押し出した編集にやり直して
再度納品したら即OKが出た。
もちろん編集手直し費はチャラなので、リコールといえるかもしれない。
そういえば、再撮影や再編集は、ある種のリコールといえるかもしれない。
私の場合、今まで再編集は先の一度のみだ。
しかし通常、編集試写後の文字の変更や
映像の差し替え・カットなどの修正は毎回何かしらある。
これにかかる費用は、見積段階ですでに入っている。
しかし再撮影については、基本的には余程の事がない限り行わない。
もし行っても別途請求になる。
フィルム時代は、ホコリによるフィルムトラブルも想定内に入っており
カットの再撮影はあったが,撮影日数が潤沢にあったので
その中で消化できていた。
今のように撮影1日なんて作品では、そもそも失敗は許されない。
従って恐さを知るベテランは「やっとれん!」となり、
恐さを知らない若手プロデューサーは
ベテラン監督とは仕事をしなくなる。
結果としてベテランは自然消滅していく。
そもそも映像作品は贅沢品だ。
ひもじく作るくらいなら作らない方がよい。
例えば、彼女の誕生日に高級フランス料理を食べに行った時に
「お飲み物は?」とソムリエに聞かれて
「水!」という愚か者はいない。高級ワインを頼むはずだ。
映像作品は、ワインであり水ではない。
ライスのような主食でもない。贅沢品なのだ。
感情を伝えるならば、ある程度お金を出して制作しないと、
企業イメージまで損なうことになる。見栄も張らねばならないのだ。
みすぼらしいのはダメです、一杯の高級ワインのごとく優雅に美しく。
スポンサーの皆さん、映像作品にはお金をかけましょう!
是非!ぜひ!是非!
※来週は1週間四国出張です。
30年強この仕事をしてきて初の現地休もある。
では行ってきま~す。
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