copyright (c)ち ふ
* チーコちゃんを捜せ
チーコちゃんの居場所が分かったので、
タイタイとコガ坊が、捜しにゆくことになった。
コガ坊は、ある土曜日の夜、甲賀から万博公園に、
私とサヤカが運んでやった。
彼も、タイタイと一緒に居る方が、心強いのだろう。
3日間ほど夜を撤して、佐久島一帯を隈無く捜し回ったが、
城のような建物や高い建物は見つからなかったという。
おかしい。
クイズは、N先生とちうの二人が解いたはずなのだが、
まだ不十分だったようだ。
またまた、Mキラリーから、人を小馬鹿にするような、
メールが、入ってきた。
「
「ドンちゃん、ドーッた?」
「1空く」に気づいたとは、見上げた頭脳。
「裂く」もいい線いっている。
ふーん、たいしたもんだ。
しかし、東海は関係ないと言っただろ。
俺のクイズは、もう少し、凝っているのだ。
残りの日は、少ないぞ!
頑張れ! 頑張れ!
Mキラリー
」
私たちが、奴を監視しているように、
私たちも、Mグループから監視されているようだ。
それにしても、クイズ短歌が解けてなかったとなると、
2人は、残念がるだろう。
もう少し、2人に協力して、貰わねばならない。
ちうは、まだN先生宅で厄介になっている。
せめて、チーコちゃんの身体が見つかるまでは、
旅に出るのは、控えているようだ。
居心地もいいのかも知れない。
知らない土地の安宿ばかり渡り歩いているので、
人恋しくなっているのだろうか。
解けたと思ったクイズが外れたので、
2人は、ショックを受けたようだった。
これからの話は、また2人のクイズ解きの続きになる。
「センセー、何処から手をつけたら、いいんでしょうか?」
「うん、蟹とたわむるからいこうか」
Mキラリーは、「裂く」は、いい線いっているという。
蟹を裂くか?
N先生は、蟹という字を見つめていて、
「ちう君、蟹は解と虫に裂くのではないだろうか?」
「ときむし、かいむし、か い む し」
「ちう君、そりゃ君の名前ではないかい。
かいちゅうと読んだらどうだ」
「かいちゅう? 海中、海の中ですか?」
「うん、それに違いない。この歌は、どうも海と関係が
深いから、今度は、合っているのではないか?」
「次は、どの句にしますか?
砂に割れ無きと塗れては、これでいいんでしょうか?」
「彼は、否定も肯定もしていないから、
恐らく合っているのだろう」
「じゃ、残りは第1句目のみですね。
でも、コンクリート詰めにして、海中に沈めた。
最近よく使われる手ですね。でも、奴にしては、
単純すぎはしませんか?」
「うん、悪い奴なら、誰もが簡単に思いつくことだけど、
奴は、この歌どおりに隠して、みたかったのでは
ないだろうか。奴は事件の内容そのものよりも、
言葉の遊びが、好きな奴だからなあ」
「それも、そうですね。では、第1句目いきますか?」
「とうかいの。東海、当会、倒壊、韜晦、10回、
10階、都会・・・ センセー、いろいろとありますね」
「うん、ちう君、それは、そのあたりのどれかに、
該当するはずだよ。それよりも、白にゆこう。
城でいいのかもしれないし、城でないのかも知れない。
私には、白が引っ掛かるのだが・・・」
その日は、夜も遅かったので、謎解きは終わった。
N先生も、ちうも、歌の内容が頭にこびりついて、
なかなか寝つかれなかったようだ。
次の朝、ちうが朝起きると、先生はもう書斎で、
書き物をしていた。
「おはようございます」
「おはよう」
「早いですね」
「この歳になると、早く目がさめて弱るんだ。
残りが少ないものだから、お日さまが別れを惜しんで
下さっているのかな」
「またまた。それより、何を書かれているんですか?」
「少し早いけど、暑中見舞いをね。あ、そうだ。
ちう君、良かったら悪いけど、郵便番号入れてくれないか?
あれ、小さくってね。なかなか読めないんだ。
世の中の便利とは、年寄りには、以外と不便なものなんだ」
「いいですよ。何処にあるんですか? 番号簿」
「はい、コレ。すまないね」
ちうは、先生のハガキに番号を入れていて、
5が、多いのに気がついた。
大阪府に、知り合いが多いのだろう。
「センセー!」
「どうしたんだ。いったい?」
「一握の砂は、確か551首だったですね。
あれは、郵便番号を、示唆しているのではありませんか?」
「おおっ!」
551、551と。在った!
大阪市大正区の郵便番号だ。
大正区は大阪湾に面している干拓地、埋立地が多いので、
地図を見ると、まさに小島そのものの地形が多い。
都会の小島だ。二人は暑中見舞いを書くのを止めて、
クイズ解きに入った。
あとは、「磯の白」が残っている。
大正区には、団地が多い。コンクリート製の高い団地が、
あっても、城はない。
大阪市も住宅不足なので、空き団地などは少ない。
それに団地は人目が多いので、
コンクリート詰めにするのは、不適だ。
ましてや、Mキラリーは関東の人間、関西の団地に、
詳しくはないだろう。
それに、Mキラリーと言えば、反射的に団地の子と、
結びついている。
そう簡単に類推出来るものには、プライドの高い、
奴のことだから、飛びつかないような気もする。
白が曲者だ。白。しろ。しろ。知ろ・・・・・
二人は、あと一息という所で、
また行き詰まってしまった。
とにかく、そこまでの経過を私に知らせてくれるという。
また、私は、会社の帰りに、寄ることにした。
つづく
* チーコちゃんを捜せ
チーコちゃんの居場所が分かったので、
タイタイとコガ坊が、捜しにゆくことになった。
コガ坊は、ある土曜日の夜、甲賀から万博公園に、
私とサヤカが運んでやった。
彼も、タイタイと一緒に居る方が、心強いのだろう。
3日間ほど夜を撤して、佐久島一帯を隈無く捜し回ったが、
城のような建物や高い建物は見つからなかったという。
おかしい。
クイズは、N先生とちうの二人が解いたはずなのだが、
まだ不十分だったようだ。
またまた、Mキラリーから、人を小馬鹿にするような、
メールが、入ってきた。
「
「ドンちゃん、ドーッた?」
「1空く」に気づいたとは、見上げた頭脳。
「裂く」もいい線いっている。
ふーん、たいしたもんだ。
しかし、東海は関係ないと言っただろ。
俺のクイズは、もう少し、凝っているのだ。
残りの日は、少ないぞ!
頑張れ! 頑張れ!
Mキラリー
」
私たちが、奴を監視しているように、
私たちも、Mグループから監視されているようだ。
それにしても、クイズ短歌が解けてなかったとなると、
2人は、残念がるだろう。
もう少し、2人に協力して、貰わねばならない。
ちうは、まだN先生宅で厄介になっている。
せめて、チーコちゃんの身体が見つかるまでは、
旅に出るのは、控えているようだ。
居心地もいいのかも知れない。
知らない土地の安宿ばかり渡り歩いているので、
人恋しくなっているのだろうか。
解けたと思ったクイズが外れたので、
2人は、ショックを受けたようだった。
これからの話は、また2人のクイズ解きの続きになる。
「センセー、何処から手をつけたら、いいんでしょうか?」
「うん、蟹とたわむるからいこうか」
Mキラリーは、「裂く」は、いい線いっているという。
蟹を裂くか?
N先生は、蟹という字を見つめていて、
「ちう君、蟹は解と虫に裂くのではないだろうか?」
「ときむし、かいむし、か い む し」
「ちう君、そりゃ君の名前ではないかい。
かいちゅうと読んだらどうだ」
「かいちゅう? 海中、海の中ですか?」
「うん、それに違いない。この歌は、どうも海と関係が
深いから、今度は、合っているのではないか?」
「次は、どの句にしますか?
砂に割れ無きと塗れては、これでいいんでしょうか?」
「彼は、否定も肯定もしていないから、
恐らく合っているのだろう」
「じゃ、残りは第1句目のみですね。
でも、コンクリート詰めにして、海中に沈めた。
最近よく使われる手ですね。でも、奴にしては、
単純すぎはしませんか?」
「うん、悪い奴なら、誰もが簡単に思いつくことだけど、
奴は、この歌どおりに隠して、みたかったのでは
ないだろうか。奴は事件の内容そのものよりも、
言葉の遊びが、好きな奴だからなあ」
「それも、そうですね。では、第1句目いきますか?」
「とうかいの。東海、当会、倒壊、韜晦、10回、
10階、都会・・・ センセー、いろいろとありますね」
「うん、ちう君、それは、そのあたりのどれかに、
該当するはずだよ。それよりも、白にゆこう。
城でいいのかもしれないし、城でないのかも知れない。
私には、白が引っ掛かるのだが・・・」
その日は、夜も遅かったので、謎解きは終わった。
N先生も、ちうも、歌の内容が頭にこびりついて、
なかなか寝つかれなかったようだ。
次の朝、ちうが朝起きると、先生はもう書斎で、
書き物をしていた。
「おはようございます」
「おはよう」
「早いですね」
「この歳になると、早く目がさめて弱るんだ。
残りが少ないものだから、お日さまが別れを惜しんで
下さっているのかな」
「またまた。それより、何を書かれているんですか?」
「少し早いけど、暑中見舞いをね。あ、そうだ。
ちう君、良かったら悪いけど、郵便番号入れてくれないか?
あれ、小さくってね。なかなか読めないんだ。
世の中の便利とは、年寄りには、以外と不便なものなんだ」
「いいですよ。何処にあるんですか? 番号簿」
「はい、コレ。すまないね」
ちうは、先生のハガキに番号を入れていて、
5が、多いのに気がついた。
大阪府に、知り合いが多いのだろう。
「センセー!」
「どうしたんだ。いったい?」
「一握の砂は、確か551首だったですね。
あれは、郵便番号を、示唆しているのではありませんか?」
「おおっ!」
551、551と。在った!
大阪市大正区の郵便番号だ。
大正区は大阪湾に面している干拓地、埋立地が多いので、
地図を見ると、まさに小島そのものの地形が多い。
都会の小島だ。二人は暑中見舞いを書くのを止めて、
クイズ解きに入った。
あとは、「磯の白」が残っている。
大正区には、団地が多い。コンクリート製の高い団地が、
あっても、城はない。
大阪市も住宅不足なので、空き団地などは少ない。
それに団地は人目が多いので、
コンクリート詰めにするのは、不適だ。
ましてや、Mキラリーは関東の人間、関西の団地に、
詳しくはないだろう。
それに、Mキラリーと言えば、反射的に団地の子と、
結びついている。
そう簡単に類推出来るものには、プライドの高い、
奴のことだから、飛びつかないような気もする。
白が曲者だ。白。しろ。しろ。知ろ・・・・・
二人は、あと一息という所で、
また行き詰まってしまった。
とにかく、そこまでの経過を私に知らせてくれるという。
また、私は、会社の帰りに、寄ることにした。
つづく
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます