絵じゃないかおじさん

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仮想はてな・ストーリィ  尾鷲の不思議なトンネル(2/3)  

2015-08-27 08:06:35 | 仮想はてな物語 
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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
                       




 季節は晩秋。
 つるべ落としの秋の夕陽が、
 太平洋に沈む様を追っかけながら走りたかった。


 いつ見ても太平洋(熊野灘)はいい。
 本当は台風の日に荒れ狂う太平洋を見ながら走りたいのだが、
 到着するまでが大変だ。 途中、崖崩れや道路の陥没・閉鎖に
 遭うのが落ちだし、危険この上ないからよしている。



 少し早く着いたので紀伊長島で夕陽の入りを待った。
 秋の日差しは少し頼りなげでもどかしい。
 私は、もう真冬の用意をしていた。
 革ジャン、革ズボン、マフラーにカイロ、ラップ、冬の必需品だ。
 膚寒くて震えが来る。


 橙色のまあるい太陽の下方が水平線にかかったとき出発した。
 わずか数キロ走っていると太陽は見えなくなってしまった。
 海は少しだけ赤みを帯びて、その名残を残していた。


 目的は達した。
 満足感が漂う。
 あとは家に向かって一目散、帰るのみだ。
 4時間ぐらいはかかるだろうか。
 前方を走る車も右や左に散っていって少なくなってくる。
 海には点々と漁り火が見えはじめた。



 尾鷲の手前から42号は山の中に入ってしまう。
 その火があまりにも幻想的だったので、左の路へ入った。
 夜の海景色に見惚れてしばらく走った時にはもう遅かった。
 曲がりくねった真っ暗なガケ道である。
 道がよく見えない。
 ヘッドライトは、曲がり道ではほとんど役に立たないからだ。
 そのうえ、私は夜盲症気味でもある。
 恐る恐る走った。


 引き返せばいいのだが、路がある限り進んでゆくのが、
 私の性分で もある。
 トンネルに入った。
 入った途端、路がグニャグニャしていて転倒寸前。
 ヤバイと感じた。

                             つづく



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