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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
* 石舞台の大岩・ソガーンを叩き起こせ!(050)
ジョジィの張り切りようは凄まじい。
動き回るのが楽しくて仕様がないらしい。
瞬間接着剤での再合も何とかうまくいっているみたいだ。
しかし、枯れたり継ぎ接ぎだらけになっても、オレ知らないぞ!
ジィさん、こんなに楽しい世の中が来ているのに、
今だに眠り続けているヤツがいる。
石舞台の大岩・ソガーンのことだ。
何百年も眠り続けて勿体ない。
アイツは、オレの弟子筋に当たる。
ふて寝をしているが、寺の鐘を撞きながら、呪文を唱えれば
目を覚ますはずだから、
悪いがオッさん起こして来てくれないか、と言ってきた。
それにしても、40半ばのこの私は、
ジョジィにまで、オッさん呼ばわりされてしまっている。
畜生! (玄田牛一)
つづく
あ@仮想はてな物語 石舞台の大岩・ソガーンを叩き起こせ! (2/3)
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悪いのはOさんだ。
いつも口癖に呼んでいるものだから、コロのヤツが覚え、
さらに腹立つことには、
この私自身の口の奴が覚えてしまったことだ。
「オッさんを、オッさんと呼んで何が悪いの?」と開き直られると
返答のしようがない。
40過ぎての自分の顔は自分で責任持て! と言われても、
オッさんの顔にしたのは、私ではナイゾ!
と顔の奴のせいにしている。
責任を顔に転化して奥底に潜む自分のエキスを
庇っているのだ。
橘寺、岡寺、飛鳥寺の3寺の鐘を同時に撞きながら、
その鐘の響きが終わるまでに、
[ソガーン、テンガン、テンガン]と108回呪文を聞かせろと言う。
12文字 X 108回 = 1,296 文字も!
あの早口でしゃべる女優のKさんでさえも1分間300文字
前後だというのに!
アッ、そうだ!
娘のマイカが持っているラジカセで、
テープを早送りすればいいのだ。
ゆっくり吹き込んで早送り再生すれば何とかなりそうだ。
人間の声には変りないのだから構わないだろう。
Oさんを拝み倒し、長女のマイカと長男の休太郎を
小遣いで釣り4人で出掛けた。
同時に3寺の鐘をつくと、どう聞こえるか聞いてみたいとか、
何とか言って適当に誤魔化しておいた。
嘘も方便、方便。
この際仕方あるまい。
時計を合わせて4人で散らばる。
ゴォーン。ゴォーン。ゴォーン。
それラジカセ、スイッチ・オン。
回る回る、テープが回る。
撞き終わって4人で家に帰り、
私一人でサヤカとともに石舞台に引き返した。
ヤツは、夕闇にひっそりと佇んでいる例によって、
サヤカのガソリンの給油口に口を当てる。
つづく
あ@仮想はてな物語 石舞台の大岩・ソガーンを叩き起こせ! (3/3)
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[ソガーンはん、起きたか?]
[オオーツ、お前か!!!
せっかく気持ちよく寝ているオレ様を起こしたのは!]
と荒げた声が返ってくる。
[屋久島の縄文杉のジィさんが、あなたを起こせと言った
ものですから]
[大先生か!
何でお前は知っている?]
サヤカのこと、巳の神杉のこと、北山杉のことなど、
かい摘んで話してやる。
時代があまりにも離れ過ぎているので、
よくは伝わらないみたいだ。
眠り続けていたのだから致し方のないことだろう。
しかし、ヤツは元々固い固い石頭のようだ。
少し話をしていれば、その固さが伝わってくる。
コイツにもコロを送って教育してやろう。
コロのヤツ、早くジィさん返してくれないかな。
それにしても、ソガーンめ、まだまだ眠り足りないみたいだ。
まあ、コロが帰ってくるまで、うつらうつらしていろ!
五月の風 うっすらとそよぐ 奥明日香
ぽつり石舞台 ひっそと眠りいる
ち ふ
この項おわり
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