絵じゃないかおじさん

言いたい放題、自由きまま、気楽など・・・
ピカ輪世代です。
(傘;傘;)←かさかさ、しわしわ、よれよれまーくです。

仮想はてな物語 吉野下市ピンクの彼岸花 (2/3)

2015-12-13 08:05:46 | 仮想はてな物語 

copyright (c)ち ふ
絵じゃないかおじさんぐるーぷ


 その場所は、私が、つい先程素通りした所だった。
 数100m手前の道路脇である。
 赤い彼岸花の群れの中に小さくなって、
 所々に固まって咲いている。

 本当に淡いピンク色であった。
 誰かが既に数本折って持ち去っていた。
 観賞用に飾る国もあるらしい。
 所変われば、である。
 最近では、種子も特許の対象になっているので、
 私もスケベ心を出してその球根を一つ頂こうと思った。
 しかし、道具は何も持っていなかった。
 素手で茎の根元を掘ろうとした時、滑って転んだ。
 一瞬、電流のようなものが走った。

 さわらぬ神に祟り無し。
 もう、掘ることは止めて写真だけ撮って帰ることにした。
 サヤカに跨がり来た道を一目散、帰るのみである。
 見た満足感が、ほんのりと拡がる。
 快適な気分である。

 おかしい!
 サヤカが、だんだんと山奥に入って行くではないか。
 来た道には少なくとも人家が視界内にあったはずなのに、
 それが全然見当らなくなってきてくる。

 道路が舗装されているのが、せめてもの気休めとなる。
 そのうち、小雨もパラついて来た。
 すぐに引き返せばよいものを、道があれば行ってヤレという、
 アホな性分が擡げてくる。

 気が付いたときには、何処をどう走っているのか、
 検討がつかなかった。
 もちろん、地図など持ってない。
 だんだんと日も暮れてくる。
 人にも車にも会わない。
 周囲1km以内に人は居ない筈なのに、
 サヤカに話しかけても応えがない。



つづく

コメントを投稿