絵じゃないかおじさん

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あ@仮想はてな物語・赤目の大山椒魚・1/3

2022-07-04 07:04:17 | おぼけまみれ
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            平成はじめのころです

 * 赤目の大山椒魚(055)


その日は紀伊半島からの帰りであった。42号から368号に入った。途中で166号につながっていたのだが、そのまま368号を進んだ。166号の方が道幅も広く、楽に家に帰れるのだろうが、通った事の無い道を走ってしまう性分が出てしまう。血が騒いだとでも呼べばいいのだろうか? それにまた帰りの道すじにある赤目で夕景色も見てみたかった。



季節は梅雨が開けてまもなくの頃であった。
思わぬ山道で赤目への進入ポイントに着いた時には、あたりはもう薄暗くなっていた。屏風岩が不気味につっ立って、脅しをかけてくるようだった。私は、その姿を見るといつも背筋が寒くなってくる。異様に威圧感を持って迫ってくる山でる。その横を、これまたいつも通り目を伏せて走り抜ける。山の形が恐くてたまらない。



まもなく人家は無くなり暗い山道が続いた。真っすぐ進めば、交通量の多い165号に抜けられるから道に迷う心配はないのだが、山道を進んだ。これも走りの業なのだろう。何となく心細い。キャンプにはまだ少し時期が早いので、人は居ないはずなのだが、バイクのSサヤカは中々話しかけてはくれない。1km以内に人家でもあるのだろうか。道が曲がりくねっているため、ヘッドライトがあまり役に立たないので、
ゆっくりと進んでいった。



 かなり深く進んだ時、突然、
{オッさん、誰かいじめられてるっ!}
 サヤカが叫んだ。ギクリ! 何のことかよく解らなかった。
{何だい、急に!}
{誰かが苛められているわ。それもただの苛められ方ではありません。あれは今にも殺されそうよ。オッさん、ちょっと待ってね。テレパシー通信で話しかけてみるから}



 サヤカの通信の結果が気になる。かといって、手抜き運転をすれば、崖から転げ落ちそうだ。昼間の暑さに比べると、ずっと走りやすいのだが、暗いときている。夏場の走りは早朝が相応しい。それ以外は、あまりいただけない。


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