絵じゃないかおじさん

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あ@お話・仮想はてな・4/33槙尾のセンティとマ行上人

2022-02-25 08:51:24 | おぼけまみれ

           copyright (c)ち ふ
絵じゃないかおじさんぐるーぷ
           改題版


 * 槙尾のセンティとマ行上人


   槙尾山 施福寺 04



 ゴエーカ;
  みやまじの ひばらまつばら わけゆけば
   まきのをでらに こまぞいさめる


 これも病気にかかわるお話ですが、
 時の天皇が、重い病気になられたそうであります。
 昔は、医者の手に負えないような病気は、
 宗教に頼るのが、常道手段でありました。


 側近の者たちは、勢力が及ぶ範囲内を隈無く、
 加持祈祷の出来る名僧はいないものかと、
 捜しまわっておりました。


 ちょうど、その頃、マ行上人は葛城山で
 修業しておりました。
 それは厳しい修業をするものですから、
 その姿が、山びとの目に、
 こびりついていたのでしょう。


 いつとはなしに、人々の口から口へと伝わり、
 里の者にも知られるように、なっていました。
 それを、天皇の使いの者が、
 聞き逃すはずはありませんでした。
 さっそく、正式の使者をたて、
 病気回復の祈祷を、頼みにやってまいりました。


 マ行上人にとっては、これまた寝耳に水の話です。
 己を磨くための、修業をしているのに、
 人の病気など治すことは、
 専門外の仕事でありました。


 使者は使者で、都からわざわざ出向いてきて、
「ダメでした」などという報告は出来ません。
 こうなると、衝突は避けられませんでした。

 マ行上人は、出来もせぬことを、
 受けるわけにはいきませんし、
 使者は、手ぶらで帰るわけにもまいりません。
 意地と意地との、ぶつかり合いしかありません。


「やれ」
「出来ませぬ」の平行線を、たどるばかりでありました。
 権力を持つ者は、最後にはその奥の手を。使ってきます。
 そうです。
 権力を最大限、利用してくるのです。


 使者は、
「この山は、天皇さまのものだから、
 言うことが聞けないのなら、すぐさま、この地から
 出てゆけ」と命令しました。

 上人はそう言われると、グーの音もでません。
 かといって、この国を出て、どこに行けばいいと
 いうのでしょう。
 海の外に出てゆくには、それ相応の準備もいります。
 カネもかかります。
 おいそれと、聞き入れられる要求ではありません。

 ふと、その時あることを、思い出しました。
 蜘蛛の糸で作ったハンモックを、思いだしたのです。
 空中に浮かんで、瞑想にふけるために、
 用意したものでありました。

 念のため、「地に足をつけなければいいのですか」と
 問いただしました。
 使者にしても、空に浮いて、
 生活できるなどとは、想像もできませんでしたし、
 その頃はまだ、権利は空中にも及ぶのだなどという、
 世知辛い世の中でも、ありませんでしたので、
 ついうっかりと
「そうじゃ」と、答えてしまったのです。


 上人はしめたと心秘かに思いました。
 そこで、使者をハンモックの場所まで、
 さりげなく導いてゆき、飛び乗ったのであります。


 使者は、上人の意表をついた行動と、
 上人は魔力を持つという先入観があるものですから、
 対象をじっくり観察しようなどという、
 気はさらさらありませんでした。


 そのため、驚いたの何の、もうすっ飛んで帰りました。
 そして、あることないこと、誇大報告をしたのであります。


 側近の者にしましても、
 マ行上人以上の評判のある僧侶が、
 他に居なかったものですから、
 是が非でも、上人に頼もうということになりました。


 盛大な行列を整えて、再び上人の元へと、
 頼みにやってまいりました。
 これには、さすがの上人も、
 何かをせずに、いられませんでした。


 それほどまでに人に頼られると、
 人間は出来ないことにでも挑戦するようであります。
 上人は必死の念いで祈祷しました。

 槙尾のセンティは、一部始終を見ていて、
「わあーっ、ついに私のところにお鉢が回ってきた」のかと、
 これまた逃げの姿勢を取るつもりいたのですが、
 これまたヤケのヤンパチ日焼けの茄子で、
「ヘルプ・ミー アミンダはん」と一緒になって祈りました。


 これで驚いたのが、
 西の極楽スペースで、ブツブツはんと、
 雑談していたシワ取りアミンダはんであります。


 弟子の槙尾のセンティが、呼び掛けることなど、
 めったにないものですから、
 力になってやりたいのは、
 言うまでもないのですが、
 アミンダはんとて
 人間の病気など思うようには、治せないのであります。


 そこで、ブツブツはんにふることにしました。
 たまたま、ブツブツはんは、
 アミンダはんの主催する極楽スペースで、
 居候をしておりました。

 そのため、アミンダはんの頼みを、
 無下に、断るわけには、まいりませんのですが、
 彼とて、病気に対しては非力であります。

 病気治療は、
 東の浄瑠璃スペースの主催者・ダースのヤクシーはんの
 最も得意とするところなので、彼に頼むことにしました。

 そこでブツブツはんは、仕方なくヤクシーはんの所に、
 出かけることにしました。

 そのころ、地上では、
「徳の高い僧に祈祷を頼んだので、もう病も癒えましょう」
 と、側近の者が、
 天皇を力づけていたのです。

 病は気からと申します。
 天皇さんも上人が空に浮かんで暮らしている話、
 身体からは後光がさし、
 山の獣も一睨みでおとなしくなるなど、
 あることないことを報告されているものですから、
 気はすっかり回復して、
 健康人と変わらなくなってきました。

 こうなれば、致命的な病気でないかぎり、
 治るのが通例のようであります。
 1~2日経つと、すっかり元通りの身体に、
 なってまいりました。
 さっそく早馬を立てて病気回復の知らせを届けました。

 こうして、皆の顔がそれ相応に立ったとのことであります。
 それにしても、ホッと胸をなで下ろしたのは
 誰だったのでしょうねえ

                          
                 
 この項おわり


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