絵じゃないかおじさん

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ピカ輪世代です。
(傘;傘;)←かさかさ、しわしわ、よれよれまーくです。

あ@仮想はてな物語 ゆふかひストーリィ 5/5・前4

2022-01-23 08:57:22 | おぼけまみれ
        copyright (c)ち ふ


 * チーコちゃんの魂の欠陥

 その日は、私とヤッタールの2人で、
 チーコちゃんの身体に魂を戻すことになっていたのだ。
 彼女の魂は、透明な水晶玉のようで、
 白く輝いていて綺麗だった。

 これであの可愛らしいチーコちゃんに出会えるぞと、
 思うと、心がウキウキしてくる。
 魂は、風船のようで、柔らかくて、手触りがよかった。
 タイタイの傍には誰もいなかったので、
 近づいていって、素早く腹のなかに潜りこんだ。

 魂を取出し、眠り続けているチーコちゃんの、
 口の中に、そっと戻してやった。

 兄のコガ坊が、心配そうにのぞきこんでいる。
 チーコちゃんは、ゴクリと魂を飲みこんだと思うと、
 パッと、目を見開いて、
「お兄ちゃん、あっ、オッちゃんまで、
 こんなとこで、何してるの?」

「あっ、チーコ気がついたか!」
「よかったなあ、チーコちゃん」
「みんな、それなに?」

 コガ坊は、うっすらと、目に涙を滲ませていた。
 私は、かいつまんで易しい言葉で説明してやった。
 彼女には、何の事だか、よくわからないみたいだった。
 これも、時間が解決してくれるだろう。

 私は、チーコちゃんの魂が、ちゃんと納まる所へ
 納まったか、ヤッタールに念のため確認してもらった。
 Oさんから、借りた手鏡を、チーコちゃんに、
 そっと、あててやった。

 結果はあとで知らせることにして、
 あとは兄妹水いらずで過ごさせてやろうと思い、
 お土産を置いて、早々に引き揚げた。

 コガ坊は心配し続けていたので、
 ゆっくり過ごしたいだろうと、思ったからだ。

 タイタイが、人にわからぬように、
 チラッと、ウィンクを送ってきた。
 いつ見ても、背筋が、ぞぞっとするが、
 憎めないヤツだ。

 帰りは、高速道路はやめて、
 のんびりと、通ったことのない道を走って帰った。
 途中、淀川の堤防で誰も人がいなかったので、
 ヤッタールと話をした。

「オッさん、あの子の魂、大事なものがぬけてるよ」
「ええっ、何だって!」

「今は小さいからまだいいんだが、
 まごころや思いやりが捨てられているから、
 大きくなると、嫌われるよ」

「ヤッタール、それは女の子にとって、
 一番大事な心ではないのかい」
「人間のことなど、わしゃ知らんけど・・・」

 住む世界が違うから、仕方ないか。
 近ごろは、心を気安く、ポイポイ投げ捨て去る者が多い。
 重荷になるのか、時代が食ってしまうのか、
 よくはわからないが、嘆かわしい次第だ。
 それにしても、チーコちゃんを、
 そんな女の子に、したくはない。

 私は、家に帰って、すぐさま「縄通」ネットで、
 Mキラリーに、脅しのメールを送ってやった。



  Mキラリーへ緊急連絡する

 おい、Mキラリー。よくもチーコちゃんの魂を
 欠陥品にしてくれたな。
 お前も往生ぎわの悪いヤツだな。
 あの魂から、まごころが、無くなっていたぞ。
 すぐ返せ。さもなくば、オレたち寄れ寄れグループが、
 総力をあげて、お前たちを、地獄に送るぞ!


                   流ドン作



   オッさんへの返答

 あんなもの、そんなに大事なのか!
 俺には不用なものだったので、
 地獄谷に、捨ててしまったぞ!
 オッさん、あんなものは幻想!

 幻想だよ!
 あんたも、早く目を覚ませ!
 今どきの女に、そんなものの、カケラが残っているか!
 俺の言わんとする事が分かるか?

 もし少しでもわかったら、
 あんたも俺の仲間に十分なれるよ。
 もっと現実を直視してみろ!

                     Mキラリーより



 何とも繋がりの乏しい言の葉だろう。
 同じ時代に住みながら、遠い隔たりを感じるが、
 奴の心が、そうとらえる裏には、
 やはり、何かがあるのだろう。

 そもそも、人の心なんていうものは、
 社会のゴミ箱のようなものだから、
 塵がなければ、
 空っぽのはずでもあるように、思われるのだが。


つづく


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