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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
* 下北山村の土の子! (002)
私は、土の子に会った。(槌の子ではありません)
その日は、わが愛車さやか(サヤカ)で、
169号を太平洋に向けて
走っていた。
場所は下北山村のあたり。
季節は初夏。
時刻は昼前。
数時間走り詰めだったので休むことにした。
169号沿いの小道に入り、
少し見晴らしのいい場所を求めた。
Sサヤカを道端に止め、
小便をし、麦茶を飲んだ。
山の緑が目に沁みる。
煙草を吸った。
煙を吐くと、その煙は谷底に
スーッと吸いこまれるように
流れ落ちて ゆく。
それが、妙に新鮮だったので、
煙草を吸うというよりも
煙を吐いていた。
そうこうしているうちに、
早く太平洋を見て引き返さないと
夜にまたこの曲がりくねった169号を
走らなければならないと焦りの心が
湧き起こり、出発することにした。
その時である。
ナ・・・ナント。
黒ヘルメットが2つもあるではないか!!
道端の草叢にそっと置いた黒ヘルメットが、2つある。
あれはどうしたことだ。
私は気味悪くなった。
その距離20m。
近眼の私は、とくに目が疲れるので
目薬をさしながら、バイクに乗る。
休むときはメガネを外している。
サヤカの荷台に置いたままだ。
よく見ると
2つのヘルメットのうち一つの方は
小さくて動いているようだ。
キラリと目のようなものが光っている。
あれは、土の子に違いない!
写真! 写真!!
カメラ!!
しまった!
カメラも、サヤカの荷台だ。
土の子の奴め、私に気がついたのか、
パッと横になって
転がるように路を横切って
山側に消えてしまった。
ヘルメットには、白い粘っこい
唾液のようなものが着いていた。
そのヘルメットには
土の子のシールが貼りつけてあったのだ。
あれが幻の土の子か? もう少し
姿を見せよ オレは何もせぬ
(土の子のうた:アホ言うな アンタの顔など
見たくもねぇ オラもともと人間ダイッキライ!)
黒ヘル奴 異国の娘と 間違えたか
君の姿の 不気味な塊
(土の子のうた:オラ一人 嫁の来手ねぇ
山暮らし つい誘われた お前のヘル奴)
写真機に お前を収めて 広めれば
一躍スターだ 人気者だぜ
(土の子のうた:ほっといて 構わんといてや
オラのこと 恐れられて 暮らす方がいい)
ち ふ
この項おわり
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