絵じゃないかおじさん

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仮想はてな物語 香久やま姫 6/27

2016-01-20 08:50:40 | 仮想はてな物語 
      
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 竹の子の季節には、外れているので安心なのだが、
 他人様の私有地に黙って入り、竹を切るには相当な勇気がいる。

 けれど、夜もかなりの時間に、
 「お宅の竹の根元が光っている。
  あの中には、かぐや姫が居るに違いないから、
  すぐ一緒に行って切ってみましょう」などと、言ってもごらん。

 {こいつ、ええ年して何を血迷っているのか}と、
 一笑に付されるのが落ちだ。
 場合によっては、拳骨の一発も見舞われるか、警官を呼ばれるか、
 そんな所に落ち着くだろう。

 ああ、夢もロマンもない奴ばかりだ!
 とは言うものの、この私自身が、他人にそんなことを言われると、
 頭から信じたりはしないのだから、お相子なのだろう。

 サヤカを脇道に隠しライトを消して、周りに注意を払いながら、
 竹林の中に踏み込んでゆく。
 地上に落ちている笹の葉が、
{わっ、盗人(ぬすっと)!}と叫んでいるようだ。
 小さいとき、スイカを失敬したような心境が蘇ってくる。

 光る竹への期待と、
 泥棒をしているような後めたさが、微妙にブレンドしている。
 近づいてよく見ると、下から3段目の節から光が出ていた。
 上下の節は、ぼやっーとした明るさだ。

 その節の中では窒素が8割近く酸素が2割足らず、
 残りを主に二酸化炭素が占めていて、仲良く住み分けしているようだ。
 普通の空気より酸素が少なく、二酸化炭素が多いようである。(注1)

 元来、不器用な私は、そこで考えた。
 目的の節を直接切って、
 中に居るはずのかぐや姫を、傷つけてはならない。




つづく

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