しじみ売りのコンパニオンの悲哀

よくいく安い居酒屋で呑んでいると、綺麗なお姉さんがレースクイーンのような格好で、現れます。

私の好きなテキーラガールかと思いましたがまったく逆のものを売り込みに来ました。

テキーラガールはクラブのVIP席にいると、テキーラ勝負を臨んでくる格闘家みたいな女性です。

1杯五百円くらいで勝負を挑んで来ます。だいたいヘソ出しルックです。

テキーラガールにも呑ませて、何倍呑めるか勝負してました。

ところが今回のコンパニオンはテキーラの代わりにしじみエキスのタブレットを売りに来ます。

ちょうど東大医学部の教授の話をしていたとき。

しじみエキスの小さな袋がテキーラ1杯と同じ値段。

さらにマッチ売りの少女のような泣き落としを使います。

看護学校に3年通ってせいかんになりたい、と。その学費の足しにするため、シジミを買って欲しいとの訴え。

看護師さんに過去に幾度も窮地を救ってもらっている私には殺し文句です。

すぐに支払い、次にいってもらいました。回転が大事です。

しかし時代は変わったものです。

ちょっと前は日本たばこがタバコを無料で配布するためにコンパニオンを雇って居酒屋に大挙押し寄せていましたが。

日本たばこのコンパニオンはお金なんて取りません。

ただただ新しい銘柄のタバコを無料で配布するのみ。

いまやタバコを配るどころか、しじみエキスを売られる。

みんなこの数十年、お金がなくなったんだな、と実感します。

しかしもう少し早い時間にしじみエキス売りに来てもらえないかしら。

プレメディケーションしたいので。

いつかどこかの病院でしじみ売りの看護師さんに再会したいものです。