ふとした事で35年前の記憶がよみがえった。小学校4年生のある日、学校から帰るとテーブルの上にメモが置いてある。「お母さんは○○(母親の実家の住所)へ行ってきます、お父さんはおそくなるので、これでどうにかしなさい」とメモの横に岩倉具視の500円札が一枚。細かい事情は書いてなかったけど、当時は母方のじーちゃんが病気で療養していたので、急に呼び出されて看病に行ったんだろうと想像した。今と違って携帯電話も存在しない昭和50年代、自分が出掛けるからといって夫に連絡も取れず、どうしようもなく「これでどうにかしなさい」と、なんとまぁ投げやりで的確な指示なんでせう・・・
さて、「どうにかしなさい」といきなり言われても、「ハラヘッタ~!」と文句ばかりの小学校2年生の弟を抱えてどうする?。ラーメンくらい作ったことはあったけど、フツーのゴハンなんて未経験だぞ自分。幸い、冷たい飯は炊飯器の中にあった。とにかくオカズをどうにかせねばと、500円札を握りしめて近所に出来たばかりのスーパーに行ってみる。お総菜コーナーでコロッケを買い、前から興味があったけど買ってもらえなかったチーズちくわを買い、テキトーに切って「さぁ食え弟よ」と。「おつゆは?」って悪魔の弟、味噌汁なんて作れるわけ無いじゃん。「おつゆがないとイヤだ!」って、今なら筆島か三原山に捨てに行くぞ。そういや茶箪笥に即席お茶漬けがあったぞなもし、お椀にお茶漬けのモトを入れてヤカンのお湯をササッと注ぐ、「これがおつゆだ!」ってムチャだと思ったら、「おにい、うまいね!」って意外にも高評価だったりして。その日の事はまるで昨日の事のようによく覚えている、まさにぴらにあの料理デビューの日だった。予算内で買い物をして、自分で考えて作って(コロッケとチーズちくわを皿に並べただけだけど)、グダグダ言う弟をとりあえず満足させて、なんかやり切った気がした・・・
それ以来、ことある毎に「どうにかしなさい」の乱発になって、おかげでゴハンが満足に作れるようになったけど。まぁ、人が作ったゴハンを食べるのが何よりも幸せなヨメをもらったので結果オーライなのかな。そういやちぴらも小学校4年生なんだよな、1,000円札置いて「どうにかしなさい」やってみようかな・・・