練馬区 すぎぶち ぴあの教室

都内のピアノ教室です。ピアノレッスンのことを綴った真面目なことしか書いていない、でも少し役立つかもしれないブログ。

習い事を始めようとする時には

2024年08月29日 | レッスン

 

 

現代ではお子様の習い事は数多くあります。

毎日なにかしら習い事に通うお子様は

少なくないかもしれません。

 

そのような中で、ピアノレッスンは

昔から習い事の定番のひとつです。

 

お子様に興味があり、習い始めることが多いと思います。

親御さんが子供の頃に習えなかったり、

途中で挫折してしまった後悔から

お子様にその想いを託すという方もいらっしゃいます。

 

後者は私は賛成しかねますが・・

 

ただ、途中でやめてしまったので

お子様と一緒にレッスンに同席して

学び直すお気持ちの親御さんもいらっしゃいます。

 

それは良いことだと思います。

一緒に覚えようとすることがお子様にとって

一番の仲間になるからです。

 

ただ、一緒になって「分からないね」と

放置してしまうことは避けるべきです。

 

自分の親が分からないことなら子どもの自分は

わからなくて当然、と他人事のようになってしまい

自力で何とかしよう、出来るところまではやろう、

とするマインドが育たなくなります。

 

 

さて、習い事の定番「ピアノ」は、

多くの場合、レッスンは週1回です。

月に3回レッスンも増えていますが、

その場合は2週に1回という週もあります。

 

レッスン回数に関係なく言えることは、

「習い事のピアノ」にはご自宅での個人練習が

不可欠ということです。

 

これが出来るか出来ないか、

そこを考えてレッスンを始める必要があります。

 

 

そして、いつまで続くか分からないからと

楽器を用意せず、または2オクターブ程度の

バンドの人が曲を作る時用のキーボード―を与えて

これで練習しなさいは、無謀すぎます。

 

もっと言えば、残酷です。

それによってレッスンで出来ないこと、わからないことが増えて

戸惑うのはお子さん自身です。

 

出来なければ家で弾くことをしなくなります。

すると親は、練習しないならやめなさい!となります。

 

そう言う前に、ご自分が出来ること、協力できることを

されているでしょうか?

「練習しなさい」「頑張りなさい」の声掛けは、

親御さん自身の自分は責任を果たした、という自己肯定感にしかならず、

お子さんを動かす力にはなりません。

 

講師がお子さんを気の毒に思い、気遣ったとしても

子どもは次第に自分自身を責めるようになり、

何事においても自信を失っていきます。

 

責任感の強いお子様ほどそうなります。

 

以前、実際にそのような生徒がおりました。

お勉強も良くでき、ピアノの練習も必ずしてくる

生徒さんでした。

しかし、家には卓上キーボードしかなく、

一戸建てにお住みで

住宅事情が理由ではありませんでした。

 

高学年になり、同学年の同じ月からレッスンを始めた

知り合いでもあるお友だちに追い越され始めました。

 

親御さんには、練習する楽器がピアノと違いすぎ

レッスンでお子さんがよく戸惑っていることを

何度か話しました。

電子ピアノでも良いので、ご購入いただけないかと。

私が生徒さんに楽器の購入を本気で勧めたのは、

後にも先にもその生徒さんだけです。

しかも3回、時を置いて話しました。

 

私はセールスをしているわけではないので、

1回勧めて見込みがなければ、これがそのご家庭のお考え、

その程度のレッスンをお望みなのだろうと

それでその話はしなくなります。

 

 

そのご家庭は経済的な事情でピアノを買わないわけではないと、

まだその様なレベルではない、と仰いました。

 

初めての発表会に参加される時に、

いきなりでは心配なので、と一度参加を見送られ、

その年の夏にあった少し広めの教室で開かれた

小さなコンサートに参加されました。

 

ご両親とも、お子様が傷付かないように

慎重に行動されている印象でした。

 

それがピアノに関しては

頑なに固辞され、ご自分たちが納得できるレベルを

待っている様子でした。

 

私の目からは、もう十分に卓上キーボードで

努力できることはした、と見えました。

それ以上の努力さえしたほどでした。

 

楽器に関しては、上達できる最低限の楽器があります。

ピアノの場合は、少なくとも88鍵そろった

卓上ではない脚がしっかりとついている電子ピアノです。

 

本来、電子ピアノでも不足していて、

これでピアノの奏法を身に付けることは不可能なのですが、

最低でもレッスンでしていることが

分かる程度にはなります。

 

ローラースケートでスケートボードの練習をしても

滑ることは出来たとしても、

階段のヘリを滑ってジャンプする練習はできません。

ローラースケートでフィギュアスケートの練習をしても

氷で滑る感覚はつかめません。

 

その能力を取得するには

それに適したもの、それ用に作られたものを

使うしかありません。

 

 

結局、そのお子さんはピアノレッスンどころか

学校にも通えなくなりました。

中学の入学式で生徒代表で答辞を述べたほど

先生方からの信頼も厚く、優秀だったのだと思いますが、

どこまで頑張ったら自分は家族に認めてもらえるのだろう

という想いが至る所で積み重なっていったのではないかと思います。

 

ピアノで言えば、自分はこんなに努力しているのに

同じ時に始めたお友だちに追い越された。

どの程度離れたかは言いませんでしたが、

お友だちがソナチネやインヴェンションに進んでいる時に、

その生徒さんはバイエルの下巻の終わりで四苦八苦していました。

 

言わなくとも、発表会で演奏を聴くと差に気付きます。

やっただけのことが返って来ない状態です。

それでは誰だって気が滅入り、

自分は駄目なんだと思ってしまいます。

特に多感な時期です。

 

お母様に、「家族に」という言葉は言いませんでしたが、

「どこまで頑張ったらいいか分からなくなってるのではないでしょうか」

とは言いました。

お母様もそう思う、と。

 

それを認める行動を励ましの言葉ではなく、

行動で示してあげるべきだと思いましたが、

私はそれ以上は言えませんでした。

 

そして、学校に通えていないのでピアノレッスンだけに

外出するのも近所の子に見られたらバツが悪いと、

結局辞めていかれました。

 

 

ピアノはただの習い事のひとつですが、

親子関係が表れやすい習い事でもあります。

特に小さな年齢から始める生徒さんが多いので、

ご家庭でもお手伝いが絶対に必要になります。

 

宿題に付き合ってあげる、

最初から本人任せにしていても出来るようにはなりません。

勉強や考えるコツは、大人がご家庭で

ゆっくりと教えてあげると、そこから子どもは

いつしか勝手に自立していきます。

 

それまでは、親は付き合わなければいけない。

親が面倒を見切れる数の習い事、種類に

するのが、子どもにとって良いのではと思います。

 

そして、厳しいだけではなく、

子どもの努力を子どもがわかりやすい形で

認めてあげること。

 

 

 

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