Haru S.の部屋

都内のピアノ教室です。ピアノレッスンのことを綴った真面目なことしか書いていない、でも少し役立つかもしれないブログ。

マリヤ・グリンベルク

2024年07月31日 | ピアニスト

 

 

ピアノ王国のピアニスト、今回はマリヤ・グリンベルク

ユダヤ系の家系に生まれたことで

生涯不当な扱いを受けたが、

20世紀屈指のピアニストのひとり

ホロヴィッツの妹弟子

 

Maria Israilevna Grinberg

1908-1978 ロシア帝国(現:ウクライナ オデッサ出身)ーエストニア没

 

ソ連時代のユダヤ人敵視の風潮から

活躍が見込まれた矢先に、父と兄が逮捕、処刑。

本人もマネジメントから外され、

アマチュアバレエ団の伴奏者や時にはティンパニ奏者として

やっと食いつなぐ。

その後ソリストとして再び名をあげ、

国内で引く手あまたとなる。

 

スターリン没後、50代で外国での演奏が認められました。

60代でグネーシン音楽学校の教授に迎えられましたが、

モスクワ音楽院の教授職やチャイコフスキー・コンクールの

審査員からは締め出されたままでした。

ソ連で最初にベートーヴェンのピアノソナタを全曲録音。

 

 

繊細で格調高く、この曲の第2楽章には

聴き入ってしまいます。

ヴィルサラーゼは彼女を好きな演奏家の一人として

挙げています。

 

 


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サムイル・フェインベルク

2024年07月29日 | ピアニスト

 

 

ピアノ王国のピアニスト、今回はサムイル・フェインベルク

大胆な演奏解釈でロマンティックな表現が

特徴のピアニスト

 

Samuil Evgenyevich Feinberg

1890-1962 ロシア帝国(現:ウクライナ オデッサ出身)ーモスクワ没

 

フェインベルクが熱心に取り組んだのが、J.S.バッハ。

平均律クラヴィーア曲集を全曲録音し、

バッハのオルガン曲もピアノ用に編曲、録音した。

 

現在でも多くのピアニストがフェインベルクの

バッハの演奏の素晴らしさを語っています。

 

その他に、モーツァルト、ベートーヴェン、

ショパン、シューマン、リスト、チャイコフスキー、

スクリャービンを得意とし、中でもスクリャービンは

とりわけ得意としていました。

 

 

右端がフェインベルク、左から2番目はギレリス、

一番左はおそらくホロヴィッツ。

3人共ウクライナ出身です。

 

今回調べてみて、当時はロシア帝国でしたが

ウクライナ出身のピアニストが多く、驚いています。

 

 


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レフ・オボーリン

2024年07月28日 | ピアニスト

 

 

ピアノ王国のピアニスト、今回はレフ・オボーリン

教育者としても著名なピアニスト

数多くの優秀な弟子を輩出

第1回ショパンコンクール優勝者

 

Lev Nikolayevich Oborin

1907-1974 ロシア帝国ーモスクワ没

 

グネーシン音楽学校で

フェルッチョ・ブゾーニの高弟エレーナ・グネーシナに師事

1921年にモスクワ音楽院入学を許され、

イグムノフに師事。

1926年にピアノ科を修了し、翌年に

ショパンコンクールで優勝。

 

この辺りになると、現在活躍中のピアニストの

師であったり孫弟子という人が現れます。

 

有名な所では引退しましたが

アシュケナージ。

日本では2022年に亡くなりましたが

野島稔さん。

そのお弟子さんの藤田真央さんが

海外で大活躍しています。いま日本人で最も活躍している

若手ピアニストが彼だと思います。

 

野島さんも真央君も音の追求に妥協がありません。

オボーリンの師のエレーナ・グネーシナは

子どもの音楽教育でたいへん有名です。

現在でも彼女の教本は使われ、たいへん質の良いものです。

 

オボーリンはイグムノフの弟子ですが、

このイグムノフもたいへん偉大な教育者でした。

一つ一つの音が聴きとれないほど速く弾く演奏を嫌い、

音が明瞭に発音されるよう生徒に要求しました。

しかも乾いた硬質な音ではなく、

柔らかさの骨頂ともいえる肉声のような音での

明瞭な発音で。


ネイガウスの弟子であったギレリスが

イグムノフのレッスンを受けたいと申し出ましたが、

他のクラスの生徒を教えることを遠慮。

しかし何度も熱心に頼むギレリスに真剣さを感じ

レッスンを行ったそうです。

 

Lev Oborine, Frédéric Chopin. Prélude n° 15 op. 28

 

この演奏を聴くと、

イグムノフの教えがオボーリンから

野島さん、藤田さんに引き継がれていると

感じます。

 

 


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ウラディーミル·ソフロニツキー

2024年07月27日 | ピアニスト

 

 

ピアノ王国のピアニスト

今回ご紹介するのは、ウラディーミル·ソフロニツキー

リヒテル以上に西側では「幻のピアニスト」

と言われていました。

 

Vladimir Vladimirovich Sofronitsky

1901-1961 ロシア帝国 サンクトペテルブルク-モスクワ没

 

即興的でニュアンスに富んだ演奏をしたロマン派の巨匠。

シューマン、ショパン、リストの演奏において

最高の状態の時は神が宿っているようと言われた。

スクリャービンの演奏は絶品中の絶品。

20世紀屈指極めて強烈で個性的なピアニスト。

 

国外演奏旅行は唯一フランスで行ったものだけ。

リヒテル以上に幻のピアニストと言われていました。

 

リヒテルとギレリスは彼を

「巨匠」と呼び心酔していました。

ある日、ソフロニツキーが「ギレリスは天才だ」と叫ぶと、

リヒテルは、「ギレリスが天才ならあなたは神です」

と答えたそう。

ギレリスはソフロニツキーが亡くなった時に、

「世界で最も偉大なピアニストが亡くなった」と語ったと。

 

今でも多くのロシア人ピアニストが

好きなピアニストとして彼の名前を挙げています。

 

 

 


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マリア・ユーディナ

2024年07月26日 | ピアニスト

 

 

ピアノ王国のピアニスト、今回はマリア・ユーディナ

ロシアの伝説的な女性ピアニスト

 

Maria Veniaminovna Yudina

1899-1970 ロシア帝国-モスクワ没

 

卓越したテクニックとスケールの大きな構築性で知られ、

力強く強烈な表現力と繊細な抒情性や深い瞑想を併せ持つ。

 

自分の信念を絶対に曲げない人で、

時の政権下において、反体制的言動で活動が制限されても

屈することのなかった人です。

 

ショスタコ―ヴィチや西欧の現代音楽が

禁止されていたにもにもかかわらず、

好きなだけ演奏したといいます。

それでもスターリンは彼女の熱烈なファンであり続け、

彼女の弾くモーツァルトの協奏曲を聴いて

涙することもあったそうです。

 

ユーディナの葬儀ではリヒテルがラフマニノフを

演奏しました。

 

強烈なテンペスト

 

深い祈りのようなモーツァルト

 

 


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