練馬区 すぎぶち ぴあの教室

都内のピアノ教室です。ピアノレッスンのことを綴った真面目なことしか書いていない、でも少し役立つかもしれないブログ。

クリスティアン・ツィメルマン

2024年08月31日 | ピアニスト

 

 

今回は、ポーランドのクリスティアン・ツィメルマン

豪華で華麗な音と緻密に組み立てられた音楽で

完璧な演奏を聴かせる現代の巨匠のひとり

 

Krystian Zimerman

1956-  ポーランド

 

弱冠18歳でショパンコンクール優勝

カラヤン、バーンスタイン、小澤征爾、ラトル、といった

巨匠との共演も多い

 

 

指揮者バーンスタインの最後の主要録音のひとつが

ツィメルマンとのベートーヴェンのピアノコンチェルト

全曲録音でした。

しかし、3曲録音した所でバーンスタインが亡くなり、

残りの2曲はツィメルマン自身が指揮をして録音。

 

演奏には妥協を許さず、必ず作曲家の自筆譜などを

入念に読み込んで研究するそうです。

 

また、録音は数多くすることはせず、

コンサートのプログラムも

リストのソナタをステージに上げるのに

10年費やしたり、ドビュッシーの前奏曲集Ⅰ,Ⅱ巻は

弾けるとは思わなかったと言い、こちらも

長い準備期間の末ステージに上げました。

 

ドビュッシーの練習曲集は全曲演奏するつもりで

準備を進めていましたが、納得いかなかったのか

曲目が変更になり、現在も公に演奏はされておりません。

 

ドビュッシーの作品は全曲弾いたそうです。

しかし、ステージで聴くことのできる曲は

ほんの一部です。

 

ツィメルマンの技巧は高度で、

音作りも何の困難もないように思えますが、

それでもご本人は納得できるものしか

ステージには上げないようです。

 

Liszt: Totentanz, S. 525

 

こちらの曲は小澤征爾さんが総監督をしていた

ボストン交響楽団との初めての録音です。

 

この「死の舞踏」は元々コンサートでもレコーディングでも

弾く予定がなく、ツィメルマンが小沢さんに

「こういう曲もある」と紹介した所、

小沢さんがすぐに楽譜を取り寄せ

急遽、プログラムに入れた曲なのだそうです。

 

十分にリハーサルをする時間もなく、

ほとんどぶっつけ本番だったそうですが、

小沢さんは暗譜で臨み、信じられないほどうまくいったと。

 

この演奏の9割はコンサートのライブ録音なのだそうです。

そして、ツィメルマンはこの曲を演奏したのは

あとにも先にもこの一度きり。

アドレナリン全開で音楽に没入した記録だと。

 

 


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アンドラーシュ・シフ

2024年08月30日 | ピアニスト

 

 

今回はアンドラーシュ・シフ

ハンガリーの三羽烏と言われた一人

受賞歴が多く、メダルや博士号を多数受賞

教育活動にも力を入れている

 

András Schiff

1953- ハンガリー

 

バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト

などのドイツのバロック、古典派を得意とする

 

 

研ぎ澄まされたタッチと豊富な知識から紡ぎ出す

深みのある音楽が聴衆を包み込みます。

マスタークラスも多く、ユーモアを交えながらも

乱暴な音、叩きつける音には厳しく、

嫌悪感をあらわにします。

 

ピアノ協奏曲第2番①

 

 


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習い事を始めようとする時には

2024年08月29日 | レッスン

 

 

現代ではお子様の習い事は数多くあります。

毎日なにかしら習い事に通うお子様は

少なくないかもしれません。

 

そのような中で、ピアノレッスンは

昔から習い事の定番のひとつです。

 

お子様に興味があり、習い始めることが多いと思います。

親御さんが子供の頃に習えなかったり、

途中で挫折してしまった後悔から

お子様にその想いを託すという方もいらっしゃいます。

 

後者は私は賛成しかねますが・・

 

ただ、途中でやめてしまったので

お子様と一緒にレッスンに同席して

学び直すお気持ちの親御さんもいらっしゃいます。

 

それは良いことだと思います。

一緒に覚えようとすることがお子様にとって

一番の仲間になるからです。

 

ただ、一緒になって「分からないね」と

放置してしまうことは避けるべきです。

 

自分の親が分からないことなら子どもの自分は

わからなくて当然、と他人事のようになってしまい

自力で何とかしよう、出来るところまではやろう、

とするマインドが育たなくなります。

 

 

さて、習い事の定番「ピアノ」は、

多くの場合、レッスンは週1回です。

月に3回レッスンも増えていますが、

その場合は2週に1回という週もあります。

 

レッスン回数に関係なく言えることは、

「習い事のピアノ」にはご自宅での個人練習が

不可欠ということです。

 

これが出来るか出来ないか、

そこを考えてレッスンを始める必要があります。

 

 

そして、いつまで続くか分からないからと

楽器を用意せず、または2オクターブ程度の

バンドの人が曲を作る時用のキーボード―を与えて

これで練習しなさいは、無謀すぎます。

 

もっと言えば、残酷です。

それによってレッスンで出来ないこと、わからないことが増えて

戸惑うのはお子さん自身です。

 

出来なければ家で弾くことをしなくなります。

すると親は、練習しないならやめなさい!となります。

 

そう言う前に、ご自分が出来ること、協力できることを

されているでしょうか?

「練習しなさい」「頑張りなさい」の声掛けは、

親御さん自身の自分は責任を果たした、という自己肯定感にしかならず、

お子さんを動かす力にはなりません。

 

講師がお子さんを気の毒に思い、気遣ったとしても

子どもは次第に自分自身を責めるようになり、

何事においても自信を失っていきます。

 

責任感の強いお子様ほどそうなります。

 

以前、実際にそのような生徒がおりました。

お勉強も良くでき、ピアノの練習も必ずしてくる

生徒さんでした。

しかし、家には卓上キーボードしかなく、

一戸建てにお住みで

住宅事情が理由ではありませんでした。

 

高学年になり、同学年の同じ月からレッスンを始めた

知り合いでもあるお友だちに追い越され始めました。

 

親御さんには、練習する楽器がピアノと違いすぎ

レッスンでお子さんがよく戸惑っていることを

何度か話しました。

電子ピアノでも良いので、ご購入いただけないかと。

私が生徒さんに楽器の購入を本気で勧めたのは、

後にも先にもその生徒さんだけです。

しかも3回、時を置いて話しました。

 

私はセールスをしているわけではないので、

1回勧めて見込みがなければ、これがそのご家庭のお考え、

その程度のレッスンをお望みなのだろうと

それでその話はしなくなります。

 

 

そのご家庭は経済的な事情でピアノを買わないわけではないと、

まだその様なレベルではない、と仰いました。

 

初めての発表会に参加される時に、

いきなりでは心配なので、と一度参加を見送られ、

その年の夏にあった少し広めの教室で開かれた

小さなコンサートに参加されました。

 

ご両親とも、お子様が傷付かないように

慎重に行動されている印象でした。

 

それがピアノに関しては

頑なに固辞され、ご自分たちが納得できるレベルを

待っている様子でした。

 

私の目からは、もう十分に卓上キーボードで

努力できることはした、と見えました。

それ以上の努力さえしたほどでした。

 

楽器に関しては、上達できる最低限の楽器があります。

ピアノの場合は、少なくとも88鍵そろった

卓上ではない脚がしっかりとついている電子ピアノです。

 

本来、電子ピアノでも不足していて、

これでピアノの奏法を身に付けることは不可能なのですが、

最低でもレッスンでしていることが

分かる程度にはなります。

 

ローラースケートでスケートボードの練習をしても

滑ることは出来たとしても、

階段のヘリを滑ってジャンプする練習はできません。

ローラースケートでフィギュアスケートの練習をしても

氷で滑る感覚はつかめません。

 

その能力を取得するには

それに適したもの、それ用に作られたものを

使うしかありません。

 

 

結局、そのお子さんはピアノレッスンどころか

学校にも通えなくなりました。

中学の入学式で生徒代表で答辞を述べたほど

先生方からの信頼も厚く、優秀だったのだと思いますが、

どこまで頑張ったら自分は家族に認めてもらえるのだろう

という想いが至る所で積み重なっていったのではないかと思います。

 

ピアノで言えば、自分はこんなに努力しているのに

同じ時に始めたお友だちに追い越された。

どの程度離れたかは言いませんでしたが、

お友だちがソナチネやインヴェンションに進んでいる時に、

その生徒さんはバイエルの下巻の終わりで四苦八苦していました。

 

言わなくとも、発表会で演奏を聴くと差に気付きます。

やっただけのことが返って来ない状態です。

それでは誰だって気が滅入り、

自分は駄目なんだと思ってしまいます。

特に多感な時期です。

 

お母様に、「家族に」という言葉は言いませんでしたが、

「どこまで頑張ったらいいか分からなくなってるのではないでしょうか」

とは言いました。

お母様もそう思う、と。

 

それを認める行動を励ましの言葉ではなく、

行動で示してあげるべきだと思いましたが、

私はそれ以上は言えませんでした。

 

そして、学校に通えていないのでピアノレッスンだけに

外出するのも近所の子に見られたらバツが悪いと、

結局辞めていかれました。

 

 

ピアノはただの習い事のひとつですが、

親子関係が表れやすい習い事でもあります。

特に小さな年齢から始める生徒さんが多いので、

ご家庭でもお手伝いが絶対に必要になります。

 

宿題に付き合ってあげる、

最初から本人任せにしていても出来るようにはなりません。

勉強や考えるコツは、大人がご家庭で

ゆっくりと教えてあげると、そこから子どもは

いつしか勝手に自立していきます。

 

それまでは、親は付き合わなければいけない。

親が面倒を見切れる数の習い事、種類に

するのが、子どもにとって良いのではと思います。

 

そして、厳しいだけではなく、

子どもの努力を子どもがわかりやすい形で

認めてあげること。

 

 

 


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ゾルターン・コチシュ

2024年08月27日 | ピアニスト

 

 

東欧のピアニスト、今回はゾルターン・コチシュ

ハンガリーの三羽烏と呼ばれた一人

ピアニストでありながら、指揮者でもあり、作曲家でもある鬼才

 

Kocsis Zoltán

1952-2016 ハンガリー ー ハンガリー

 

ハンガリー国立フィルのの総監督となり

団員をオーディションし直しレベルを上げたり、

新たなオーケストラの創設、

シェーンベルクの未完のオペラを完成させ世界初演、

ピアノ曲のオーケストラ用の編曲、

ラフマニノフの歌曲のピアノ編曲など、幅広く活躍。

 

8歳の時にベートーヴェンの交響曲全曲を暗譜し

指揮を練習したと言います。

 

リヒテルとの共演経験があり、彼の影響は時間が経ってから

フレーズを歌わせたいと思った時に

ふと表れるようになったそうです。

 

時間が足りない生活の中でも、

暇さえあれば色々な人の録音を聴いたそう。

「人間、学ぼうと思えば何からでも学べます。好奇心をもって、

本当に好きなことをする。そこから力が湧いてくるんですよ。」と。

 

Liszt: Concerto No. 2 in A major

こちら、ちゃんと見られます。

 

Zoltan Kocsis plays Franz Liszt: Reminiscenses de Norma de Bellini

 

テクニックも素晴らしいですが、音が澄んでいて美しいです。

そして、スケール、アルペジォといった基礎中の基礎が

驚くほど美しいです。

どんなに忙しくとも毎日3時間の練習は

欠かさなかったそうです。

コンサートがあるとそこに演奏曲目が加わり、

もっと長い時間練習すると。

ピアノは練習時間が長くなる宿命にあると

おっしゃっています。

 

 


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グリゴリー・ソコロフ

2024年08月26日 | ピアニスト

 

 

ピアノ王国のピアニスト、今回はグリゴリー・ソコロフ

わずか16歳でチャイコフスキーコンクールで優勝し、

審査委員長だったギレリス以下、審査員全員一致で

金メダルが授与され、国際的な注目を浴びた

 

Grigory Lipmanovich Sokolov

1950- ソ連

 

色彩感豊かで多様な音で

12世紀の音楽から20世紀の音楽まで幅広く演奏。

 

ソ連国内での演奏活動が多く、

国外での演奏は滅多に許可されず、西側では

名前だけが知られていました。

ペレストロイカにより国際的な活動が活発化。

次第に名声を得ることになりました。

 

高名なオーケストラ、一流の指揮者と共演してきましたが、

現在では全ての演奏活動をソロのピアノリサイタル

のみに専念しています。

 

Rameau - Les sauvages - Grigory Sokolov

 

Rachmaninov - Preludes Op. 23 - Grigory Sokolov, Geneva 11.12.2021

 

 


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