音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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楽譜をくらべっこ、ベートーヴェンとモーツァルト

2006年07月22日 | 音楽(一般)

↑モーツァルト《ピアノソナタ15番》


↑ベートーヴェン《ピアノソナタ2番》

さて、
先日の日記に続き、
具体的なピアノ曲において、
ベートーヴェンがモーツァルトの影響を受けている、
あるいは真似をしている(よくいえば、手法を取り入れている!?)
と思われる箇所をご紹介してみようと、試みます。

◇◆◇◆

上の写真を見ていただければ分かると思うのですが、
●左の写真が、
モーツァルト《ピアノソナタ 15番 Kv.533(494)》 作曲年1786
第3楽章 51小節目
●右の写真が、
ベートーヴェン《ピアノソナタ2番op.2-2》 作曲年1795
第2楽章 31小節目

この左手の、白黒色とりどり(!?)の和音、
譜面面だけでも、両者はなかなかよく似ているように見えませんか?

実際の音としては、
分厚い低音での和音が鳴り響く中、
内側の「黒丸」の音符が「白丸音符」よりも早く切られることにより、
ぶ厚過ぎず、うるさすぎず、それでいて響きの豊かな和音となるよう、
作曲されていると解釈することができましょうか。

なかなか凝った、工夫の入った記譜法です。


私は最初、ベートーヴェン《ソナタ2番op.2-2》の方を練習しながら、
この和音の存在に気付き、
「あぁ、若いベートーヴェンは、なんと面白い工夫を凝らしたことか!
きっと、こんな和音を書いたのはベートーヴェンが初めてだ、
やはりベートーヴェンは天才だ!!」
などと感動していたのですが、
後日、
モーツァルトのこの《ソナタ15番Kv.539》にふと目を通しながら、
この和音がすでに、この曲中にあることを発見してしまったのでした。

目からウロコというか、びっくり仰天というか、ショックというか、
新たな発見のよろこびというか。

作曲年からしても、モーツァルトが先であることは明白です。
(ベートーヴェンが《op.2》のピアノソナタ群を作曲したのは、
モーツァルトが死んじゃった数年あとの話です・・・)

そして、
おそらくはベートーヴェンのモーツァルトに対する尊敬と勉強心から
このモーツァルトのピアノソナタの存在は、間違いなく知っていた
であろうと言うことができましょうか。

つづく

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