前回の日記にて、
ハイドンのアイディアがベートーヴェンに与えたであろう
ひとつの例を書きましたが、
今回は、
ウィーン古典派三羽烏の残る一人、
モーツァルトとベートーヴェンの共通点について
いくつか書いてみようかと思います。
ところで、
ベートーヴェン曰く、「自分はモーツァルトの最大の尊敬者の一人であり、
また生涯そうであり続けるであろう」という言葉があったと思うのですが
(・・・正確に抜粋できなくて申し訳ありません)
ここから、
ベートーヴェンがモーツァルトを終生、尊敬し続けたことが
明らかになるかと思われます。
ベートーヴェンとモーツァルトが直接の対面を果たしたのは
一度だけ。
1787年、まだボンに居を構えていた16歳の若いベートーヴェンが、
ウィーンへと旅をし、
その際、シュテファン大聖堂のすぐ近く(今日のフィガロハウス)
に住んでいたモーツァルトを訪ね、そこで御前演奏を行ったと
言われています。
モーツァルトは、一緒にいた友人達に向かって、隣の部屋でひそひそと
「この少年は、いずれ大物になる」
のようなことを予言したと伝えられているそうです。
1792年、
前年に父親を亡くしたベートーヴェンは、いよいよウィーンへと
居を移すことになります。音楽の勉強を続けるうえで、ベートーヴェンは
ハイドンに師事することが決まっており、
ボンをあとにするベートーヴェンに向かって、支持者の貴族の一人である
ワルトシュタイン伯爵から(後に《ピアノソナタ21番op.53“ワルトシュタイン”
が献呈されます)、
「ハイドンの手から、モーツァルトの魂を」
のような献辞が贈られたそうです。
ハイドン・モーツァルト・ベートーヴェンという
クラシック音楽において大きな存在感を示す大作曲家達の
歴史的・人間的交わりがあったことを、このような数々の逸話や
証拠でもって知ることができるのは、とても面白いことと思われます。
つづく