長らく地元ヴァイマールを離れて、blogから遠ざかっておりましたが、
こちらは、演奏会を兼ねてドイツ国内(ハンブルク)の小旅行をしておりました。
明日、
ついに今年始めから遂行されておりました
ベートーヴェン・ピアノソナタ全曲演奏会の
最終回を迎えることとなりました。
前回の演奏会を終え、今回のコンサートに向けて準備を進めながら、
これが最終回になるといった特別の実感は、正直なところ、
これ . . . 本文を読む
《ソナタ31番op.110》I楽章の5小節目からは、
まさに朗々と「うた」が歌われるようです。
たとえば左手の伴奏は、
典型的な歌曲伴奏のかたちだそうでして、メロディーそのものはもちろん、こうした伴奏形からも、この部分が「歌曲的」であることを窺い知ることができそうです。
さらには、
この伴奏形はIII楽章の9小節目から始まる
「Klagender Gesang(嘆きの歌)」と類似してい . . . 本文を読む
ベートーヴェン《ピアノソナタ31番op.110》I楽章、
4小節目についての考察は、今回にて一応終了の予定です。
2拍目裏から3拍目にかけては、
(ちなみに拍は四分音符分と考えています)
いよいよ上声部の独壇場(!?)となります。
下3声はお休み。
3拍目頭の「小さな二つの音符」は、
その小さな始めの音符を拍の頭と考えて、少々時間を取ってあげると、
なんとも美しい効果が出てくるはずです。 . . . 本文を読む
ベートーヴェン《ピアノソナタ31番op.110》I楽章、
4小節目のややこしさ(!?)、面白さを、引き続き
検証してみたいと思います。
4小節目、第2拍目の和音には、
◇フェルマータ
◇tr(トリル)
◇松葉印の「<>(クレッシェンドとデクレッシェンド)」
という三つもの指示が絡み合っております。
これらの指示を、演奏者にとっての「義務」として
捉えるのでは音楽の魅力が半減してしまうで . . . 本文を読む
ベートーヴェン《ピアノソナタ31番op.110》I楽章、
ここ4小節目は、
楽譜を見てみますと、
なんだか色々とややこしいことになっております。
何がややこしいのかを具体的に掻い摘んでみますと、
●前の3小節目にてクレッシェンドした音は、
ここ4小節目冒頭にて急激に「p」に戻ります。
これは、
ベートーヴェンの大きな特徴のひとつです。
せっかく盛り上がったクレッシェンドが、突如「p」に . . . 本文を読む
《op.110》I楽章のベートーヴェンによる冒頭の指示は、
「Moderato cantabile molto espressivo」とあります。
「中庸な速さで、歌って、とても感情を込めて」と訳せましょうか。
冒頭の4小節の
「p con amabile (sanft)」
というベートーヴェンの指示は、
四声で流れる和音(弦楽四重奏的と捉えることもできましょう)が
「静かに」「甘く」「柔 . . . 本文を読む
ベートーヴェン《ピアノソナタ31番op.110》
I楽章の冒頭を見てみますと、冒頭に4小節を
「第1テーマの始まり」とすることができ(再現部がこのメロディーから
始まっていることから、これが「第1テーマ」であることが
証明されるはずです)続く5小節目からは、
「第1テーマの後半」と考えることもできましょうか。
☆提示部におけるそれぞれのメロディーやらモチーフやらを
「再現部と照らし合わせるこ . . . 本文を読む
【前置き】
この場をお借りしましてしばらくの間、
ベートーヴェン後期ソナタの名作のひとつ《31番op.110》について
書き綴ってみようかと思っております。時に内容が個人的な
イメージについて物語ることが多いかもしれません。しかしそれが、
個人のワガママ勝手な想像に陥ってしまっては音楽を突き詰めようとする
面白さが半減してしまうと思われ、あくまでも楽曲の姿を凝視し、
そこから湧き上って見えてくる音 . . . 本文を読む
この晩のポゴレリッチの弾いた楽器もすさまじかった。
まだソリストも出てこないオーケストラの音合わせの際、
コンマスがピアノの「ら」の音をひとつ弾いた所から、違和感を覚えた。
ピアノの音が「へにょ~~ん」と聴こえた気がしたのだ。
コンマスは、苦い顔をしながら苦笑している・・・
まさか・・・と思いながらも、ピアニストが前奏を弾き始めるところで
全ては分かるだろうと思い、ポゴレリッチの登場を待つ。
耳 . . . 本文を読む