音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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《“葬送”ソナタ》のお手本は《トルコ行進曲》!?

2006年07月24日 | 音楽(一般)
昨日に引き続き、
具体的にベートーヴェンとモーツァルトのピアノ曲における
共通点を挙げてみたいと思います。

◇◆◇◆

故ピアニスト園田高弘先生が
ご自身のHPで書いていらっしゃった興味深い記事がありまして、
それによると、

「ベートーヴェン《ピアノソナタ 12番 op.26“葬送”》は
モーツァルト《ピアノソナタ 11番 K.331“トルコ行進曲付”》 を
明らかにそれをお手本として創作したことが判る」とありました。

具体的には、
●両者とも《ソナタ》という楽曲名でありながら、
「ソナタ形式」の楽章が存在しないこと
●両者の楽章構成が類似しているということ

―――――――――――――――――――
モーツァルト《ソナタ11番K.331》
I楽章  変奏曲
II楽章  メヌエット(舞踏楽章)
III楽章  行進曲(あの有名な「トルコ行進曲」)

―――――――――――――――――――

ベートーヴェン《ソナタ12番op.26》
I楽章  変奏曲
II楽章  スケルツォ(舞踏楽章)
III楽章  行進曲(こちらは「葬送行進曲」)
IV楽章  Allegro
―――――――――――――――――――

こうして見比べてみますと、
ベートーヴェンがモーツァルトのこのソナタを手本として、
さらに自分流の工夫を凝らして、ひとつの作品に仕上げた様子が
見えてくるようです。

●I楽章が変奏曲であることは両者同じ。
●II楽章の舞踏楽章を、ベートーヴェンは、ハイドン譲りの
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=171200681&owner_id=3835718
「スケルツォ」とすることで自分流を貫き、
●III楽章が《行進曲》となるところも、
モーツァルトに沿っていると見て取ることができるでしょう。
しかし同じ《行進曲》とはいえ、
モーツァルトの明るく楽しいトルコ行進曲に対し、
ベートーヴェンの暗く荘厳な葬送行進曲には、同じ行進曲といえど、
おおきなギャップがありますね。


両者の《ソナタ》に大きな違いがあるとすれば、
●ベートーヴェンは「IV楽章」まで書いていること
といえましょうか。
(このIV楽章につきましては、以前の日記に「恋の大脱走」とい
独自の解釈をご紹介させていただきました。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=154978161&owner_id=3835718)

《ソナタ》を4楽章構成にすることは、
《弦楽四重奏》や《交響曲》的な、規模の大きな作品を示すものでもあり、
この「4楽章構成」を持ち込んだのはピアノソナタのジャンルに、
こればかりは「ベートーヴェンが初めて」と言ってよいのではないでしょうか
(新情報が寄せられたりしたらどうしよう・・・)。

つづく

☆ところで、こうして書いていてふと危険性を感じて
弁明しておきたいと思ったことなのですが、
ベートーヴェンがモーツァルトの影響を大いに受け、
あるいはその手法を真似たからといって、ベートーヴェンの音楽の価値が
下がる、ということは全く無いであろうことを、
一言付け加えさせてください。


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