
二輪車の免許における検定試験,というのは車校によって順番が違います.もちろん県免許センター(運転免許試験場)でもそれぞれがバラエティーに富んでいます.
県運転免許センターでの試験コースをウエブ上で公開している県があります.一方で試験場の売店でコース図を売っている県もあります.あるいは「試験場に地図を貼付して公開しているだけ」もあるようです.
同様に車校でもYouTubeなどで試験コースを公開している,手順(ここでウインカーを出す.ここで中央線に寄る,首を振る位置や右左折するコースはこの付近等)を含めて映像を見せている車校も複数見られます.コースを公開してくれる車校は,入校者も多いのでしょう.でも地元にないのであればしかたがありません.
車校によって「法規走行」と「課題」との順はバラバラです.今回のC校(繰り返します.頭文字ではありません.A校は入校させてくれず,B校には小型AT教習がなかった.三番目に入れてくれたのがC校です)は,「4輪コース(含二輪用S字クランク8の字)」が終わってから検定課題(急制動,平均台,スラローム,波状路:これらはすべて二輪専用コースにあります)になります.
私は坂道を下って,再び信号のある交差点を抜けて見通しの悪い交差点です.そこを曲がって一時停止に向かいます.
一時停止.しっかりと左足をついて首をブンブン振ります.ただしゆっくりと.どうせ自分が最後の受験生です.750や400といった方々はすでにおわっています.踏切同様に時間をかけます.しかし重いヘルメットをかぶった59歳.あとでむち打ちにならないでしょうか.
右折して外周道路から二輪コースに戻ります.
検定員「では,急制動の位置についてください.私が合図したら発進してください」
わたしは緊張のあまり,そばに検定員が並走してたことをいままで忘れていました.大きく息をつきます.よく言えば集中力.実際には「状況判断ができなくなって,苦手ではない1コースをまわっていた」だけのトシヨリです.前頭筆頭リード125と一緒に.
検定員の二輪車がはるか前方に走り去ります.いま私がいるのは「なんどやってもできなかった8の字」のそばの松の木のわきにあるスタート位置です.車校に早く着いたときに眺めていた急制動の教習位置です.
今の私はただ前をみるだけしかできません.トシヨリでこれならば,時間の流れを感じる17歳のかたには検定員が合図をするまでの時間がどれだけ長く感じているのでしょう.
検定員が片手をあげます.教習と同じ手順です.右を向き,左を向き,前方遠くを見ます.右手のハンドルを回します.前頭筆頭リード125がいい音を出して発進します.いつもと同じ,前方の2本のパイロンを速度計を交互に見ます.映画のコマ落としで撮影している「平和鳥(へいわどり)」のようでしょう.
平和鳥を知らない? そのことはいまはいいです.まずは検定試験.
目が悪いので速度計の数字の位置ははっきりとは見えません.針が10時の方向より上,ということが時速35kmくらいなのでそれを目安にします.前方,速度計,前方,速度計.
パイロンのわきを感じて.
両手のじわじわブレーキ
...停まりました. 3本ある白線の一番手前より前です.
大きく息をつきます.ふたたび左右を見て発進.スラロームのわきを抜けて平均台(一本橋)に向かいます.
炎の八日間.事実上最後の課題に向かっています.