お遍路を始めて10日目、35番清滝寺を参拝した後・・・
この日、昼過ぎ、35番清滝寺に向かう途中、温かく出迎えてくれた母方の祖父は、長宗我部元親関連の子孫で、その辺の歴史に詳しい。
この前日、高知の実家に帰った時に、長宗我部元親の四男である長宗我部盛親の展示会が高知県立歴史民族資料館で開催されていたので見に行った。長宗我部盛親は大阪の陣で大阪方として戦った武将。
盛親展はお客さんは少なかったが、ポツポツと年配の方が見に来ていた。受付の人に聞くと、来場者のほとんどがこの盛親の展のパンフレット本を買っていくらしい。「皆さん長宗我部にゆかりがある人たちなんでしょうね」、と言っていた。

その長宗我部盛親展のパンフレット本を持って、お出迎えしてくれた祖父にプレゼントした。すごく喜んでくれた。
ほんの手土産のつもりだったが、土佐弁で「こんな貴重なものを貰ってえいがかえ・・? ほんにありがとう。」と、笑顔で想像以上の言葉をもらって、すごくうれしかった。
その後、祖父母と別れて、36番青龍寺に向かった。
その日の宿泊予定は、横浪半島の国民宿舎土佐。子供の頃、よく釣りや遊びに行ってた横波半島。今回の楽しみの一つだった。
いつも車で行っていたが、自転車で行くと多少時間が掛かかるはず。
途中、電話で国民宿舎土佐のドミトリーを予約した。

スタッフの人は「国民宿舎まで坂道が続くから自転車ごと載せて上げます。」と、気持ちのいいサービスだ。ただ、国民宿舎までの道は知っていたし、もうすぐだろうと思っていたから、せっかくの申し出を断った。
自転車で半島の坂道を登るのは、車で行くのとは段違いで、かなりきつい。
親切を素直に受けとけばよかった、と後悔。

少し話した後、国民宿舎のレストランで天丼を食う。のんびりしていると、風呂上りのFさんがレストランに入ってきたので、一緒にお酒を飲んだ。
いつも思うけど、体を動かした後のビールは本当に美味い。Fさんは気さくな人で、話が盛り上がり、結局ラストオーダーまで一緒に飲んでしまった。

その後、Fさんもお奨めの「国民宿舎土佐」展望露天風呂に。
もうすでにどっぷりの夜だったが、さすがは展望露天風呂!そこから見る夜の景色、人家も無い横浪半島の斜面とその裾に広がる漆黒の海、境目も朧な闇空とがミックスしていて、すばらしく濃黒な景色だった。苦労して登ってきた甲斐があった、これぞ自然。
小さい湯舟だったが、その展望露天風呂にはお遍路さんがいて、またまた面白い話を色々聞いた。
山梨から来た60代の人で、定年してから山小屋の登山アドバイザーをやっているとの事。今回はじめてのお遍路で、「平地を歩くのは登山と違って、すごく疲れる。山登りは全然疲れないんだけどね筋肉の使い方が違うんだろうね。」と。
その山梨の登山アドバイザーは、夫婦でお遍路をしていて、2人車で宿泊予定の場所まで行って、車を置いてから、バスや電車で車を出発した地点まで引返す。そして歩きお遍路をはじめて、車を駐車してある場所までひたすら歩く、と。そんな不効率?なスタイルでお遍路を夫婦で楽しんでいるのだそうだ。

でも、さすがは登山アドバイザー、60代とは思えないほど引き締まった筋肉だったから大丈夫だったろう、定年過ぎて会社を退職して好きなことやって、毎日楽しんだろうな、って思えた。
風呂上がり、ちょっとロビーでくつろいで、部屋に戻った。
同部屋のFさんには、「電気は消しときますから先寝てください。」、とは言ったんだけど、電気付けたまま布団に入ったら、いつのまにか自分も寝入ってた。Fさん、ごめんなさい。
続きは>>お遍路を自転車で・・・24で。