目に見えないバラ

「だれかに花を贈る際に、送られるのは花だけでしょうか？」
「そうだね・・・贈られたのは香りとか、色とか、花びらが描く螺旋とか、実はその背後にあるものなのかな？」
「そうですね。だれかに花を贈る際に、本当に贈りたかったのは花ではなく、花に込められたあなたの想い、花に託されたあなたの願い、花を介して運ばれるあなたの祈りにも似た感情なのかもしれません。
たとえば、あなたがだれかに花を贈ろうとする時、花を受け取った人が喜ぶ顔を想像しませんか？
その際に起きていることはこうです。あなたはだれかに花を贈ると同時に、その花をもらった人の喜びを受け取っているのですよ。さあ、ご一緒にこのバラの花を使って、双方向のベクトルを体験してみましょう。ワタクシ、アヌビスが、あなたにバラを贈りますので、ハートの領域でこのバラを受け取ってください。」
アヌビスは背中の羽根のようなものを羽ばたかせ、ちょうど胸の位置に深紅のバラを浮かべている。深紅のバラは優雅に花びらを広げながら、マヤの方に近づいてくる。マヤは両手を広げて、アヌビスから贈られてきたバラを受け止めようとする。そのベルベットのような肌触りを感じていると、バラの香りが次元を超えてハートの領域に浸透してゆくようだった。マヤはなんとも言えない気持ちで、自分のハートの領域にある深紅のバラを見つめていた。
「さあ、今度はあなたの番ですよ。」
アヌビスは、どこまでも優しい声を発していた。
マヤはハートの領域にある深紅のバラを見つめ、アヌビスに向かってその花を手向けてみた。すると、不思議なことに、自分のハートの領域からアヌビスのところへとバラが飛んでいったにもかかわらず、アヌビスがバラを受け取ったその瞬間にキラキラとした光が生まれ、マヤのハートの領域に一輪の青いバラの花が咲いたのだった。
「えっ、なんで？」

何度も同じことを繰り返してみたが、何度繰り返してみても、自分のハートの領域には、幾重にも青いバラが咲きはじめた。
「わかりましたね。これが目には見えない世界で繰り広げられている、贈答のシステムです。もう少しわかりやすくご説明しますと、あなたがワタクシにバラを贈ってくださった際に、ワタクシの喜びが目には見えない粒子となって、あなたのところへと送り返され、あなたのハートの領域には一輪の光の花が咲くのですよ。ハートとハートのコミュニケーション、双方向ベクトルとはこういう仕組みです。

宇宙の羅針盤〈上〉辻麻里子 著・ナチュラルスピリット


昨日の塚田くんの走行会。
きっと、たくさんのバラの花がみんなの中に咲いたんだろうな😊



前記事に「表現者は」って書いたけど
表現者ってなにも芸術家だけのことを言うのではありませんね。
どう生きるか、すべての人が表現者です✨✨✨