マリインスキーバレエ団のザンダーパリッシュはウクライナ戦争でロシアを去る
ハル出身のザンダーパリッシュは、マリインスキーの14人の外国人ダンサーの1人であり、そのほとんどが去ることを決意しました。
先ず要約の前段階として、
ザンダー・パリッシュは英国ロイヤル・バレエ学校を卒業し、同年、ロイヤル・バレエに入団。
コール・ド・バレエに5年間在籍し、確か記憶ではマリインスキーのユーリ・ファテーエフ芸術監督のワークショップを受講し、すごく感銘を受け、同時にファテーエフからマリインスキーに誘われたとか。
当時、パリッシュはロイヤルで燻っていて不満を抱えていたみたいで、その時は話に乗らなかったものの、暫くしてからパリッシュからファテーエフにコンタクトを取った、確かそんな経緯だったと思います。
で、この記事の要約に繋がります。
2010年1月にマリインスキー・バレエに入団し、コリフェーから出発。
2014年3月のソリストを経て2017年7月にはプリンシパルに昇進しています。
で、前号に記載の通り、この3月6日に急遽国外に逃れることになりました。
ロシアのウクライナ侵攻の余波で、パリッシュは(故郷の)ハルから、終の住処になった国ロシアに、もはや残ることが出来ないと感じ、半年前に結婚した同団のコール・ド・バレエのアナスタシア・デミドバを連れて、エストニアとの国境を越え、国外に脱出したのです。
とは言え、一時的避難のつもりです。
去るわずか12時間前に出国する決心をし、「平和が戻ったら直ぐ帰ってくる」ことを条件にユーリ・ファテエフ監督の許可を得ました。彼はよく理解して殆ど泣いていました。
パリッシュはマリインスキーの14人の外国人ダンサーの1人で、そのほとんどが国境を閉鎖するかもしれないという噂に警戒して去る決心をしたのです。
国境付近は少し緊張して慌ただしく、雪が降り寒い中、4時間待たなければなりませんでした。
ロシアで築いた12年は、わずか5分で足元から突然消えてしまったようです。
バレエは他の国と比較出来ないほどロシアで重要です。
モスクワのボリショイとサンクトペテルブルクのマリインスキーの2つの主要バレエ団は、国の誇りとソフトパワーの源です。マリインスキーの音楽監督ヴァレリー・ゲルギエフの様な主要人物は、プーチン大統領の友人です。(でも)ダンサーの大多数は政治とは全く何の関係もなく、リハーサルやステージで日々を過ごしています。
個々の芸術家は、ウクライナに対してとる姿勢について決心しなければなりませんでした。
数人が言っています;大多数は沈黙を守っています。ほとんどのロシア人は、ウクライナでのロシアの行動を「特別な軍事作戦」と説明している国営メディアからニュースを受け取っています。戦争、攻撃、または侵攻という用語を使うことは、現在は犯罪であり、最高15年の懲役が科せられます。
戦いが勃発したとき、それは完全なショックのように感じたとパリッシュは言います。「私はモスクワで(*永久メイさんと)踊っていましたが、アメリカ人の友達から次のようなメッセージが届きました。何が起きてるか(テレビの)ニュースを見てごらん。それで私は彼らがロシアの「特殊作戦」と呼ぶものが始まったのを見ました。衝撃が走りました。しかし、私は劇場に馳せ参じ公演を遂行したのです。
(*ここいら辺の記述、メイさんの名前こそ出ませんが、クレムリン宮殿でのガラ・コンサートに出演した前後の緊迫した様子が伝わって来ますね。)
彼がサンクト・ペテルブルクに戻ったときは、(サンクト・ペテルブルクは)まるで何も起こらなかったかのようでした。
それから少しずつ、私が去る前の最後の数日、劇場が空席になっていることに気づきました。ある友人は、2,000人収容の劇場に観客40人がいる公演のビデオを送って来ました。人々が彼らの資金を維持したかったのは、ルーブルの価値が下がったためだったに違いないと思います。銀行には行列が出来、誰もが自分達が働いて貯めたものを守ろうとしているのです。
現在はアナスタシアの滞在ビザを申請中で、手続きが終わり次第、ロイヤルバレエ団が彼に毎日クラスに参加する機会を提供してくれているので、ロンドンに行く予定です。
ベース、避難所があるのは素晴らしいことです。素晴らしい恩恵ですが、(残念ながら)ダンサーの空席はないとのことです。
代わりに、今後数か月にわたり、幾つかの国際的なゲスト出演を計画しています。「戻ることが出来ないとは想像しがたいですが、ただ私は前向きな姿勢を保ち、機会を探す必要があります。」
[ 関連資料 ]
< https://en.wikipedia.org/wiki/Xander_Parish >
< https://www.mariinsky.ru/en/company/ballet/soloists/principals/premery/parish1/ >