夜明けの曳航

銀行総合職一期生、外交官配偶者等を経て大学の法学教員(ニューヨーク州弁護士でもある)に。古都の暮らしをエンジョイ中。

オリンピックとジェンダー

2005年01月06日 | Weblog
今年のオリンピックを見て、女性だけに課されるハードルということを考えてしまった。

谷亮子選手と野村葉子さん(柔道の野村選手の夫人で、応援席にいつもいた人、多くの人は名前も知らないだろう)は、両方とも、オリンピック選手の妻という点で同じ立場である。

なのに、野村夫人は、自分では職業を持たず、夫の応援をするという生き方が、女性であるがゆえに許される。もし、谷亮子選手の夫が無職で、妻の試合を必ず応援席で見ていた、としたら、世間は同じように好意的に見てもらえただろうか?

これに対して、谷亮子選手は「結婚したから弱くなったといわれたくない」という、男性選手だったら考えられないような余分なプレッシャーにも苦しめられた。
大体、バスケットボール選手も、女子だけ「チーム唯一のミセス」とか、どうして男性選手のmarital statusは言及されないのに、女子選手のそれだけがやたらと取り沙汰されるのだろう。立派な男女差別であり、セクハラだ。

ついでに、韓国や中国の選手の欧文表記は姓が先になっているのに、日本人はなぜそれをしないのか?報道機関の見識を疑う。何度もいうようだが、ヨーロッパにだってルーマニアのように、姓を先に表示する国もあり、名を先にするのが国際標準だというのはアメリカニズムに侵された大間違いだっつうの!

プロ野球ファンの中には、「谷佳知選手も専業主婦で健康管理をきっちりやってくれる奥さんをもらえばいいのに」なんていう奴もいて、夫の成績が下がったりしたら亮子選手のせいにされかねない。
谷選手はその上、足を怪我しながらも見事金メダルをとった。
私はスポーツには全く関心ないのだが、同じ働く既婚女性として(ヤワラちゃんのような才能はもちろんないが)、涙が止まらなかった。

私が取材をうけたアエラの東大女性特集でも書かれたとおり、「普通の男の人のように働きたい」のにそれができないのである。男は、男というだけで、仕事をしながら家庭も持てる。普通のハードルが用意されている。

しかし、女は、いったんがんばるとなると、ヤワラちゃんのように、男よりはるかに高いハードルを課される。かといって、がんばらないと決めれば、(失礼ながら)野村夫人のような低いハードルで十分だといわれる。

女には、高すぎるハードルと低すぎるハードルの2種類しか用意されていないのだな、と今年のオリンピックをみてつくづく感じたのでした。
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