夜明けの曳航

銀行総合職一期生、外交官配偶者等を経て大学の法学教員(ニューヨーク州弁護士でもある)に。古都の暮らしをエンジョイ中。

本郷の昼下がり

2006年11月06日 | profession
絹江「お義父さんの車椅子を押してこうしてお散歩するのも久しぶりですわね」
繁邦「随分仕事が忙しかったようじゃの」
絹江「この2週間、紀要原稿の締切や、学会発表のレジュメの締切、学生用の復習用教材の作成に加えて、文科省の実地調査で私の講義が見学されまして、その準備でろくに寝てませんの。大学時代行政法を習った小早川先生もいらしてたんですが、緊張してお変わりがあるかどうかもわかりませんでしたわ。」
繁邦「その実地調査というのが、去年はお前だけ嫌がらせで知らされなかったってあれか?毎年やるのか?」
絹江「他の法科大学院に聞いたら毎年は来ないということですから、うちは不祥事のせいで特別なんでしょうね。ところで、お義父さん、例の映画、まだ観ていないんですが、お義父さんの役は、高岡蒼佑という、ドラマ版『人間の証明』で松坂慶子の息子役をやったイケメン俳優がやっているようですよ。自らを『最醜の機構』と呼んでいらっしゃるお義父さんの役としてはミスキャストですわね」
繁邦「なに、どうせセカチューの監督じゃろう、はなから期待しとらんよ」
絹江「ところで、大学のことでまた困ったことがありまして。病気で休講にしておいて出勤簿に出勤印を押した教員なんですが、「当時の大学の慣行として出勤簿には休暇届、出張届けがあった日以外はすべて出勤扱いとし、事務官が本人に代わり捺印していた。休講した日に仮にその日全部出勤せず自宅研修なり療養をしていたとしても休暇届を出す慣行はなかった」って反論しているんですよ」
繁邦「なに、病気で休講にしておいて、自宅研修とな、それは正気か。確か、お前の同僚で、労基法38条の4第1項に基づき「労働者の健康および福祉を確保するために使用者が」労働時間を把握するために提出させるものにすぎない「勤務時間記録書」の虚偽記入を処分理由の一つとして懲戒処分された者がおったのお、そんな「慣行」を大学が認めて不問に付したら、大変なことになるじゃろうな。」
絹江「さすが、老いたりといえ、大阪控訴院判事退官後丸ビルに事務所を構える大物弁護士として活躍されていただけのことはありますわ。」
繁邦「そろそろ冷えてきたから戻ろうか。ところで、大学の話が出たついでに、前々から聞きたかったことを思い切って聞くが、絹江、お前が点字のボランティアをやったり学生に教えたりしているのは、透がああいう身体になったことと関係あるのか?」
絹江「今ご指摘されるまで意識したことはありませんでしたが、潜在意識のどこかで関係があるのかもしれませんわね」

上記の会話はすべてフィクションです。

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