夜明けの曳航

銀行総合職一期生、外交官配偶者等を経て大学の法学教員(ニューヨーク州弁護士でもある)に。古都の暮らしをエンジョイ中。

曽根崎心中

2006年11月06日 | profession
巨星吉田玉男をなくしたことは、文楽にとって痛手だが、2000年、28年ぶりで東京で仮名手本忠臣蔵の通し狂言を上演した時、玉様の由良助を見られたことを一生の思い出にしようと思う。

先日、また東京で6年前よりも本格的な仮名手本忠臣蔵の通し狂言をやって、玉様の不在を嘆きつつ見に行ったのだが、箕助が見事に演じていて、安心した。

また、前進座でやった文楽の曽根崎心中も観た。
文楽で観るのは実は初めてで、昔、ATG映画で、徳兵衛=宇崎竜童、お初=梶芽衣子のを観たのがとても印象に残っていた。

それで触発されて、教材にも使った。

「両親を早くに亡くし、親代わりの伯父の経営する醤油会社に勤める徳男は、飲食店で接客業をする初子と結婚の約束をしていたが、徳男の働きぶりを気に入った伯父が娘と結婚させようと徳男に断りなく話を進め、持参金100万円を徳男の銀行預金口座に振り込んだ。これを知った徳男は、従妹と結婚する意思はないことを伯父に伝えるとともに、100万円をすぐに返そうとしたが、そこに親友である九郎が、「どうしても明日の手形が落ちそうもない。明後日には取引先から入金があるから、2日だけ100万円を貸してほしい」と依頼してきた。親友の窮状を見かねた徳男は持参金の100万円を口座から引き出し、九郎に交付したが、友達同士なので書面等は作らなかった。2日後、徳男は九郎に返済を求めたが、九郎は「お前から金など借りた覚えはない。言いがかりをつけるな。」といって金を返そうとしない。この場合の、徳男、九郎、伯父の法律関係を述べよ。」

実際には、九平次は、証文を徳兵衛に書かせ、前日に喪失届けを出しておいた実印で押印し、徳兵衛が証文を見せると、「盗まれた実印で証文を偽造した」とまで毒づくのである(この時代から実印制度があったのだなと興味深い)が、そうすると、民法以外の論点が入ってしまうので、こう変えた。

このごろ、演劇を見ても小説を読んでも教材に使えないかばかり考えてしまう。
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