3ヶ月前からの家族会議の下実現した今回のワールドレジャーカップ。
12年間皆勤だったKOGを初めて欠席してでも、このスケールの大きな2択でこちらを選んだからには、大会は勿論、それ以外の乗れる時間も含め一分たりとも無駄にせず表現に徹すると心に誓って韓国へ高飛びした。
いざ予選の行われる9/4。
暑いが横須賀の陽炎が揺れる中でのライディングに比べれば、この程度はまだまだ序の口。調子は悪くない。
公式練習までの間はスケートボードの大会でコートを使用しているため、すぐ隣に本番コートと同じ路面のスペースを発見し、独断で我先にひとりライディングスタート。
ものの数分のアップで、見る見るうちに地元韓国ライダーが集まってくる。
彼等からの、
「yeah!!」
「good style!!」
熱いメッセージはわかりやすく自分のライディングに反映された。そしてあたかも、ここが公式練習コートとでも言わんばかりにロシア君、田邊君と続々と集まるライダー達。
普段会えないライダーに見せたい無意識な一心で、ライディングの切れ味は鋭く頗(すこぶ)る絶好調。
何度か、周りのライダーの動きが完全にフリーズした瞬間があった。先日ロボ君から有り難い忠告、
「場の空気を支配することが大事」
を頂いたが、この瞬間に多少なりともそれは自分にも表現できていただろうか。
また、特筆すべき最大の収穫は、自分のライディングをあるライダー(様様?)が最大限に評価してくれていたことだった。
それは、
言わずと知れたスーパーレジェンド。
フリースタイルの都、本国アメリカより。
信仰するライダーは国内外問わず数知れず。
chad degroot。
あるライダーから、chadをご存知ないとの声も聞いたが、世代によっては仕方のない事なのかも知れない。
概要を述べるとすれば、自分が高校生の頃虜になったbacovisionに毎回登場する元祖bacoクルーの中枢人物。chad degroot、chris rye、mark hilsonと言えば自分の心に永遠に存在する「クールなライダー」像。
フラットランド、ストリート共にクオリティーの高い彼等が発信するbacoシリーズを見れば、当時学生だった自分達はやること成すこと全て(良いこと悪いこと)真似をした。
わかるだろうか。
溢れんばかりの空き瓶が入ったくずかごを陸橋の上から、
いや、もとい。
社会的配慮から、具体的に語るのはやめておこう。
bacoシリーズの後期に差し掛かり、次第に作品の内容がストリートメインになった中、アクセント的に収録されているフラットのレベルの高さ。クオリティーが高く、かつ簡潔に締める格好良さ。
180バニーホップバースピンから、戻りでもう一度180バニーホップバースピンで戻った後、よく見るとクロスハンドになっている器用さ。
イメージしてほしい。
空中でバーをキャッチする時期が半周早く、逆ハンで着地かと見せかけて実は着地と同時にバーを表に戻している。当然意図的にだ。
今日において多くのライダーがこぞってトライしているスライダーなど、10年程前のコネチカットで行われたX-TRIALの公式練習中、フェーキーに入った後の絶妙な摩擦抵抗のスライドで、360゜見事な円弧をタイヤ痕で描いたのには鳥肌が立った。
そんなchadと、自分はかれこれ何度か会ったことはある。
「貴方はおそらく覚えてはいないでしょうが、私は19年前からずっと見ていました」
BMX FREEDOMのコンテンツで直撃インタビューを敢行したこともあった。
今回の遠征で、数字では計り知れないライディングの重みを高く評価して頂けたことは、2分間の順位を遥かに超えた大きな収穫だ。大会後の夕食中も興奮は冷めることなく感極まり、思わず鼻血が噴き出す始末。
chadから直々に頂いたステッカーは、重鎮が如くずっしりとライダー人生に据え置かれた。