
今度の航海は忍者の里、三重県伊賀市。
この方が来ると知ったからには、是非とも挨拶をしに行きたい、その一心で夜明け前からひたすらかっ飛ばすこと5時間、西へ、西へ。
僕がBMX を始めた約34年前、先輩から借りたビデオ101TRICKS。
ファーストトリックはLAWNMOWER、今でもLAWNMOWERは大好きなトリックです。
その当時はそれに登場するライダーの偉大さや、誰がどのくらい著名なのかもわからず、ただただ鮮やかなトリックに猛烈に惹き込まれるまま繰り返し凝視する毎日でした。
まさか「それ」に出ていたライダーに逢える日が来るとは・・
3/29(土)
FOUR BLOCK

Dave Nourie先輩。
今年で御歳59とは思えないトリックのキレ、何と言ってもとにかく常に笑顔を絶やさない、ライダーの鏡に映りました。
何と言うか・・存在が貫禄そのもの、とでも言いましょうか、あえてシンプルな形容に「ただただ格好良い」その一言に尽きるでしょう。
トリック云々以前に、マシンに乗っている、駆っている姿、立ち漕ぎの仕草、不思議と見入ってしまい周りのライダーの動きも止まります。
身体とマシンとのバランス、文字通り生き字引トリックのチョイス、僕が出会ったアメリカのクールなBMXフリースタイルがそこには在りました。
がんばっている感がなくあくまでも自然体、乗ることに躍起にならず「嗜んでいる」感じがクールなのです。
マシンは往年のマスターやレッドラインを彷彿とさせるジオメトリーを再現した、レクラメーションバイクスのオリジナルカスタム。
対マイアミホッパー戦闘仕様の左右で長さの違うペグ、サイドグライド時に即座にバーとシートをセットできるようシートクランプはクイックレバーのワンタッチ式。


特筆すべきは・・なんと、今また再びこれが日の目を見ることとなる現実に思わず目を疑ったサンツアーの36Hコースターブレーキ。
コースターブレーキが現存、現役とは・・
二郎くんが付けていたのを見た遠き在りし日の少年時代の郷愁も甦り、頭の中に心の中は大忙し、卒倒寸前です。
また、Dave先輩をお目にかかろうと集まった面々からも目が離せません。
謂わば先輩の更に先輩、偉大なる先人達が乗っていたシーンがあるから今の僕らがいるんだ、それを思うとあまりにも恐れ多く、僕は遠くから羨望の眼差しで見るばかりでした。
Dave先輩の本来の目的であるバイクアカデミーの傍ら、合間合間のフリーセッションは、僕にとっては刹那的な夢のような時間でした。
でも、そんなひと時はあっという間に過ぎ去ってしまうものです。
夕方頃、集まった多くのライダーへ向けたDave先輩からの座学は、思わず目頭が熱くなるような内容で、「トリックは自分で考えるもの」それは重く、かつありがたく心に響きました。
また最後には前述の101TRICKのビデオと併用し研究していた書籍「自転車BMX教室」にも記してあった、同じ忠告をいただきました。


失敗してもめげた表情は禁物です
いつも笑顔を忘れないことです
いつもひとりで勝手に一喜一憂しては、ジェットコースターのようなメンタルの浮き沈みに疲弊する僕の日々、心が洗われるようなお話をありがとうございました。
この日を僕は忘れません。
BMX Plus! // 101 Freestyle Tricks Part 1 // 1987