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映画「キャタピラー」

2010-09-15 11:33:29 | 日記
おはようございます

今日は雨のせいもあるかもしれませんが、いよいよ暑さも和らいできましたね
…それはそれで、寂しいような。。




 先の第60回ベルリン国際映画祭で、寺島しのぶが主演女優賞に輝いた若松孝二監督の話題作「キャタピラー」を、東京出張の折に見てきました





 キャッチコピーに「忘れるな、これが戦争だ」とあるように、テーマとなる「戦争」の描かれ方は強烈でした。

 上映が終わった瞬間、満席に近かった有楽町ヒューマントラストシネマの観客はみな、ただ黙って静かに立ち上がり、出口に向かっていきました。

私の感想をひとことで言ってしまえば…つらかった。人間という生き物の残虐さを、改めて提示させられた気がしました。


 ストーリーはというと、シゲ子(寺島しのぶ)の夫・久蔵(大西信満)の元にも赤紙が届き、勇ましく戦場に向かったのですが、
激しい戦闘の前線で四肢を失い顔は焼けただれてしまいます。いくつもの勲章を授かって帰国し、「軍神」としてあがめられる久蔵。
久蔵のその姿と、食欲・睡眠欲・性欲だけの日々に、シゲ子はとまどいつつも妻の役目を果たしていきます。
やがて敗戦色が強くなってきたころ…久蔵は自らが戦場で犯した悪行を思い出し、苦しみはじめます。監督からのメッセージは、そう。「忘れるな、これが戦争だ」。



 …しかし、寺島しのぶの演技が、うまい。さすが。
この作品は、戦争の悲惨さを映像に表すというより、心理的な戦争の悲惨さを表していると私は思いましたが、
寺島しのぶの演技がうまくて、作品を見ていると本当に引き込まれていって…
すごくよく、理解できるんです。妻の感情が。ひたすら眉間に皺がよりつづけてたことでしょう。

もちろん、大西信満も。
四肢のない状態での演技も難しいと思いますが、
食欲・性欲に駆られる様子は、リアル。男の人ならもっと理解できたりするんじゃないでしょうか。
自分のしてきた残虐な行為を思い出して苦しむシーンでは、「あぁ、本当に人間は残酷だ…」とわたしまで一緒に落ち込みました。


 ただ、わたしが一番感じたことを述べますと。
 現在の日本は戦争はしていませんが、逆に戦争というものだったり、
それを引き起こす因子が何だとか、このままの状態(食料問題・環境問題・経済状態)が続いていけば将来どうなるのか、とか…
そういうことに対して、無関心すぎると思います。危機感のない人が結構多い。
わたしもそうですが、今日何食べよう?休みはどこに遊びに行こう?どんなおしゃれをしよう?…国や世界を動かすべき若者大半の、興味があるのはそういうことばかり。今、この日本。
結局自分の欲望しか考えないんだなぁ、自己中だなぁ…そう思ってました。

 でも、この映画を見て「あぁ、いつの時代も人間は、欲で動く自己中な生き物なんだな」と改めて感じたのでした。結局は、変わらないんだ。人間は。って。
そう思ったら、なんだか落ち込むような。。

 …なんて、ものすごく考えさせられちゃいました。
自分を棚に上げますが(笑)、この映画を見ようと思う人は戦争だとか人間の弱さ残虐さ自己中心的さ…なんかを十分に分かっているのではないかなぁ。

だから、この映画を見ようと思わない人ほど、見るべき映画ではないかな、と思いました。

 エンドロールで流れる、元ちとせの歌声も、観客の心をものすごく揺さぶってくれますよ。


 えらそうな感想でしたが、おすすめ映画です!!

若松孝二監督最新作 「キャタピラー」



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