origenesの日記

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神野志隆光『「日本」とは何か』(講談社現代新書)

2008-03-03 19:26:53 | Weblog
なぜ「日本」という呼び名ができたのか。どのように「日本」という国号は生まれ、使用されてきたのか。日本史学者である著者は中国との関係を重視しながら、「日本」という国号の意味を探っていく。
唐側の歴史書である『旧唐書』では、倭という国号がある時期において日本という国号にかわったという見解を取っている。その記述によれば当時の日本人が倭と呼ばれるのを嫌い、日本という名で呼ばれるのを求めたという。
日本という国号は、中国との関係において用いられてきた。中国が出てこない『古事記』には日本という言葉は登場しないのに対して(自国のことを倭と呼んでいる)、『日本書紀』では日本という名称が中国との対応関係において出てくる。しかし日本が日本になるためには、中国側(唐側)からの許可が必要であった。倭国は唐に認められることによって初めて日本という名前を正式に名乗ることができたのである。
日本書紀承平私記・釈日本記によると、日本という国号は海外から伝わったものらしい。神皇正統記や一条兼良の日本書紀纂琉には、日出づるところなので日本と名づけたという。本居宣長の論によれば、孝徳天皇のときに異国に自身の国を示すために日本という号をつけたという。本居は「やまと」の方が好ましいとも言っている。本居の弟子である伴信友の中外経緯伝によれば、韓人が名づけたという。著者によると、伴の説は「日本」という国号が他国との関係性によって付けられたものだということを喝破した点で重要であるという。

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