人生をひらく東洋思想からの伝言

東洋思想の言葉やその精神を通じて、ともに学びながら人生や経営をひらいていけたら嬉しいです。

第73回「玄人(くろうと)とは?」

2023年02月12日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】 

第73回

「玄人(くろうと)とは?」


NHKの番組で「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組があります。

大好きな番組の一つですが、番組の最後に司会者の方が、

出演者の方に必ず聞く質問があります。

「あなたにとってプロフェッショナルとは?」という問いかけです。

そもそも、プロフェッショナルとはどんな人のことなのでしょうか?

この問いを、東洋思想的な視点で考えてみたいと思います。


「プロフェッショナル」という表現としては、

日本では昔から玄人(くろうと)という表現をしてきました。

その反対語としては、「素人(しろうと)」という表現がありますが、

素人の「素」という文字は、本来紡ぎたての糸 のことを指していますが、

紡ぎたての糸は、真っ白であり、かつて糸は非常に高価なものだったので、

糸を少しでも強化するために藍などで黒く染めていたそうです。

つまり、「素人」とは、紡ぎたての糸のように、何にも染まっておらず、

それだけ弱い存在ということでした。


一方で、「玄人」の「玄」という字は、

もともと「くろい」という意味を持つ言葉だったそうです。

糸が藍で染められて、強化され「黒くなっている状態」です。

それが、「玄」という文字の意味ですが、

少しずつ「暗い」というニュアンスをも表すようになっていったそうです。

そんな背景から、東洋思想的に見ていくと、「玄人」とは、

「暗いところが見える人」のことを指すようになっていったと言われています。


東洋思想的の観点からみると、目に見えないものを

どのように見ていくのかということを大事にしているので、

ここでいう「暗いところ」というのは、

素人や常人には見えない「未来」や「人の心」など

本質的なものが見えるということになります。

そして、それに加えてすごく大切なものを感じ取る感性や、

それに伴う技術や知性も含めて 総合的なものを指していると思います。


さて、今回は「玄人(くろうと)」という言葉をご紹介しましたが、

もう少し自分なりに感じることなどを補足してみます。


本当の玄人や達人というのは、その技を持ち合わせながらも、

ひけらかすのではなく、心や意識の状態が、常にフラットでまっさらな状態、

つまり「素人」のような状態でいるように感じます。

少しでも、そんな玄人を目指して、引き続き精進していきたいと思います。


参考文献
『なぜ、世界のビジネスリーダーは東洋思想を学ぶのか?』
 田口佳史著 文響社




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