【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第75回
「なんとかなる」
一休宗純(いっきゅうそうじゅん)は、室町時代の臨済宗大徳寺派の僧侶で、
私が小さいときは、漫画の一休さんで有名な
とんち好きのお坊さんというイメージでした。
いろいろと調べてみると、人間味臭いエピソードが沢山ある
人情味あふれる方だなと感じていました。
例えば、好きな言葉としては、
「極楽がありと聞けど、往きて見ず 何方を指して 浄土という」
極楽があると聞いているが、実際にそこへ行っても目で 見た人はいない。
だからこそ、自分自身の心を極楽にすればいい、
というような意味だと自分では感じています。
あと、こんなエピソードが残っています。
一休さんが亡くなったとき、弟子たちに大きな箱をひとつ残していきました。
「もし、本当にお金に困って、どうしても生きていけない、ということになったら
みんなでこの箱を開けなさい」。それが、一休さんの遺言でした。
弟子たちは、1,2年はなんとか しのいできましたが、
3年目になって寺の状況はどうにもならなくなり、
そこで弟子たちは集まって相談して、
その箱を開けようということになりました。
蓋をあけていくと、また中には小さな箱があり、
またその中に箱があり、また箱というように。
最後に小さな箱が出てきたそうです。
みんなは、そこには価値のある財産が入っているに違いないと感じ、
小さな箱を開けました。すると、一枚の紙が出てきました。
それには、何か書かれていました。広げて読んでみると、
たった6文字だけ書いてありました。
「なんとかなる」
まさに、禅の極意と言うような至言になります。
それを感じた弟子たちは、そこから知恵がでてきて、
なんとか復活したそうです。
これから、いろいと大変な状況になると言われていますが、
このような心持ちでいると、
なんとなかなるものです。大胆にして細心な心構えをして、
目の前の事をしっかりやっていくことで、必ず道は開けてきます。
参考文献
『老荘思想に学ぶ人間学』境野勝悟著 致知出版社