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個別指導塾 ONE-S(ワンズ)のブログ

堺市上野芝にある個別指導塾です。進学から補習、不登校の子どもの学習サポートなど、さまざまな子どものニーズにこたえます

学校の授業と入試

2017-07-15 12:44:05 | 教育問題
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

大阪の公立高校の受験では、昨年度から英検などの民間の検定テストが入試の得点に反映されるようになりました。たとえば、英検ですと2級で得点の80%、準1級で100%が保証されます。わかりやすくいえば、当日の100点満点のテストで50点であっても、英検2級があれば80点、準1級があれば100点に変えてもらえるという制度です。

うん?なにやらまた怪しげな制度だな。

確かに大学受験においても、英検やTOEICなどを「認定試験」とし完全に民間試験に移行する流れですので、高校入試でも取り入れること自体は自然かもしれません。しかし、やはり高校受験と大学受験を同じに考えてはいけないと思います。

公立の高校入試では、中学校までの学習範囲内で問題が作成されます。当然英語も例外ではなく、英文法は教科書で学習したものだけですし、英単語に関しては、これ以外出題しませんという英単語表まで公開されています。

一方、英検の2級、さらに準1級となると中学生の勉強だけでは合格できるものではありません。それほどのレベルの英語力があるのだから、本番のテストでたまたま調子が悪かった子を救済するためであることはよくわかりますが、やはり私は反対です。

英検の2級や準1級に合格するためには、塾や英語教室に行くことは絶対に必要になってきます。それも小学生の頃から通わないといけません。経済的に難しい家庭もあるでしょう。これまでの入試は中学校の授業で学習する範囲内でしたので塾に行かずとも勝負できたのですが、授業で学習しない英検2級以上を持っている子を優遇するのは、あまりにも不公平ではないでしょうか。高校入試の範囲は決まっているのですから、その範囲内で勝負させればいいんですし、差をつけたいのであれば難易度を高くすればいいだけですよね。実際数学は数検は受験では何の優遇措置もとられていないわけで、本番一発勝負なのになぜ英語だけ?

そもそも学校で学習する英語はどこを目指しているのでしょうか?以前から、学校で英語を勉強してもそんなものは通用しないとずっと言われてます。私も学生時代にそれなりに英語の勉強をしましたが、外国に行っても学習したことが役立ったことはほとんどありません。

教育委員会のホームページによると、従来の英語の試験は「読む」問題が約60%で、残りが「書く」「聞く」などとなっています。今回の改革で「読む」「聞く」「書く」を均等にし、最終的には「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能がバランスよく作られた試験になるそうです。私たちの世代のように、おそらくほとんど役に立たないような英語の勉強よりは、よっぽど効果的な英語の勉強が学校でできるようになるのでしょう。

目指す方向は決して間違っていないと思いますが、順序が逆なのです。というのは、現在中学校で使用している教科書は10年前や20年前の教科書とたいして変わっていません。そして学校の授業も以前とほとんど何も変わっていません。ですから、20年前に教育を受けた私たちでも今の中学生に英語を教えることができるのです。教科書や授業の方法は変えないで、入試の問題や制度を変えていくというところが完全に逆なのです。

もっというなら、今現在の入試の英語ですら学校の授業にマッチしているとは言い難いです。私立高校も公立高校も入試の英語は長文が多く出題されます。しかし、学校の授業で長文を読む機会などほとんどありません。教科書の本文を(長文とはいえないもの)、ノートに写させて、新しい単語の意味を教え、新しい文法の説明をして終わりです。ですから、塾などで長文を読み慣れていない生徒は、受験直前に赤本をしたときに英語の長文が読めなくて、とても困ってしまうのです。

今の問題ですら学校の授業の効果がうすいのに授業はそのままで入試の問題だけ変えるなんて正気とは思えません。「聞く」問題を入試で増やすのはいいでしょう。ですが、授業できちんとした発音を生徒に教えることができているでしょうか? 順序として、目指す方向の英語力がある指導者を増やすことが先です。それから授業のしかたを変え、子どもたちが同じ知識を持てたうえで入試の問題を変えるべきです。何のための学校の授業なんでしょうか?

学校では今まで通りの授業になるけど、これから国際化がますます進み、英語を話したり聞いたりする能力は必要になってくるから入試はそれらを重視した問題に変えますよ。足りないと思うのだったら、塾や英語教室で勉強してねという考えであるのなら、学校の授業なんてなくせばいいんです。少なくとも英語の授業をなくせばいいんです。そして学校の英語に使われていた費用で、子どもたちが本当の英語を学べる教室に通わせてあげればいいんです。

英語に限らず。どの科目においても私は今の教え方がベストだなんて思っていません。学校の授業の根本から変えていくべきところはたくさんあります。ですから現状に満足するのではなく、よりよくするために制度を変えていくことは大賛成なのです。ただそれが、大人の事情ではなく、子どもたちにとって最も良い方法でなければなりません。そうしなければ、いつまでたっても日本の教育はよくならないと思います。

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なぜ複雑にする必要があるのか?

2017-07-01 15:28:14 | 教育問題
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

大阪の入試制度がコロコロ変わるというのは以前にも書きましたが、塾の先生という立場上その制度を知っておかなければいけませんので、大阪府のホームページなどで確認したり、説明会などがあればできるだけ参加するようにしています。それでもよくわからないことがでてきますので、そういうときには教育委員会に電話して質問することがあります。

基本的にはみなさん丁寧に教えてくれますが、そうではないときもあります。以前に公立高校の入試で定員割れした場合は点数が何点であっても合格できるのかどうかを確認させてもらおうと思い電話したことがありました。。教育委員会のホームページでは、「募集人員を満たすように合格者を決める」とあるので全員合格するとの認識でしたが、インターネットで検索すると「合格最低ラインが設定されている学校もあり、その点数をクリアしないと定員割れでも不合格になることがある」というような記事がいくつかありましたので、生徒たちの進路指導するうえではっきりしておかなければならないと思い、直接尋ねてみたのです。

そのときの会話はこのようなものでした。「公立高校の入試で定員割れした場合は、受験者全員が合格すると考えてよろしいのでしょうか?」 「いえ、そうとは限りません」 「えーと、ではどのような場合に不合格となってしまうのでしょうか。全教科0点とってしまったり、そういった最低基準をクリアする必要があるのでしょうか?」 「そのような基準はありません。すべて募集要項に書かれている通りです」 「えーっと。その募集要項を見る限りは、募集人員を満たすように合格者を決めていくとあるのだから、やはり受験生は全員合格するのだと読み取れるのですが…」 「いえ、全員合格と決まっているわけではありません」 「すいません。私にはよくわからないので、具体的にどのような場合に不合格になってしまうのですか?」 「逆にどのような場合に不合格になると思われますか? 」「…!?。(何を言ってるんだこの人は。それがわからないから聞いてるんだよ!)。いや、わからないです。教えてください」「募集要項に書いてある通りです」 「(ムカムカ)じゃあ、もう一度確認しますが、合格最低基準はなく、もし当日のテストが0点であっても不合格にはならないんですよね?」「募集要項に書いてある通りです」「では、もしうちの生徒が定員割れした学校を受験して不合格になった場合は相談にのってくれますか?」「別にかまいませんが、もう会議始めるんで」ガチャ…。話を最後まで聞くこともなく、明らかにこっちは迷惑しているんだと言わんばかりに、一方的に電話を切られました。これってどう思います? 私がしつこすぎたのでしょうか?

私が怒っているのは、一方的に電話を切られたとかそういうのではなく(もちろん腹立ちましたが(笑))、なぜはっきりと教えてくれないのかというところなんです。受験制度は子どもたちのためにあり、子どもたちは、大人が決めたこのルールに従って一生懸命受験勉強をしているのです。その子どもたちに入試制度をはっきり伝えないなんておかしくありませんか。今回の件でも、たとえば「最低基準というものはないけれど、試験中にカンニングなども不正行為をした場合は不合格になります。」と具体的に言ってくれればそれで済んだ話です。なぜそれを隠す必要があるのでしょうか?

そもそも入試の制度が複雑すぎるのです。一度大阪の教育委員会のホームページをご覧になればお分かりになると思いますが、内申点の決め方がチャレンジテストを導入したことによりさらにややこしくなり、高校によって当日のテストと内申点の比率のパターンが5つほどに分かれ、内申点と当日のテストの合計で上から順番に決まるのかと思いきや、ボーダーゾーンなるものが存在し、合格者の何%かは当日のテストや内申点でなく自己申告書(これについては、また後日詳しく書きます)というわけのわからないもので合否が決まってしまうという、おそらく大阪の方でなければまったく理解できない制度だと思います。大阪に住んでいる中学生や保護者の方々も完璧に理解しているのはほんの一握りではないでしょうか。どうしてこんなにも複雑なシステムにし、それをきちんと伝えないのでしょうか。いったい誰が得をするのでしょうか。

子どもたちは、とてもとても純粋な気持ちで高校受験に向けて取り組んでいます。いろいろな夢や希望をもって頑張っています。そういった気持ちを最大限尊重してあげなければなりません。

学校でも、「勉強しろ。提出物出せ。授業中静かにしろ」などと命令するだけでなく、まずは今の入試制度を子どもたちや保護者に教えることが先ではないでしょうか。どんなスポーツでもルールを教えないで試合をするなんてありませんよね。入試制度を理解したうえで、何が必要で何をしていくかは本人や保護者が決めればいいのです。しかし、ルールをしっかり教えていなかったため、志望する高校を受験できなかった子どももいると思います。それを知ろうとしなかった方が悪いというのは、中学生にとってはあまりにも酷です。今は中学生の大部分が塾に通っている時代です。こういった入試制度も塾から教えてもらえることが多いです。こんなことで本当にいいのでしょうか。

グレーな部分をなくしてもっとシンプルに誰でもわかりやすくし、子どもたちが目標を立てやすく、努力が報われやすいような制度になんとしてでも変わってほしいですね。

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社会に出る前に

2017-06-22 16:40:05 | 教育問題
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。


将来したい仕事や勤めたい会社があるという中学生はいったいどれくらいの割合でしょうか? 私の今まで指導してきた子どもたちで考えると、だいたい3割ほどだと思います。塾の卒業生からの相談でも高校3年生で「大学には行こうと思ってるけど、どの大学でどの学部を受験したらいいかわからん」というものが多いです。たとえば医者になりたいと決まっていれば医学部を受験すればいいのですが、特に何をしたいかわからない、でも大学には行っておきたいという子はここでまず迷います。

私自身も中学生の頃は将来の仕事などまったく考えていませんでしたし、高校生になってもなかなか見つからなかったです。高校3年生でようやく見つかって大学受験をしましたが、志望学部は不合格になり、結局工学部の材料学科を受験しました。ですが特に将来これをしたいなどは考えておらず、とりあえず理系だし昨年度の倍率が低かったから今年も他学科と比べて合格しやすそうかなとそんな理由で受験しました。こんな形で大学に入学してしまったので、以前このブログでも書いたように、大学の勉強にまったく興味が持てず勉強もわからず、いざ就職を決めないといけないときになっても、やりたい仕事を見つけることができませんでした。

高校や大学の同級生が「俺、将来〇〇になりたい。〇〇会社に就職したいねん」という言葉を聞くたびに、「どうやって見つけたんやろ? 何で決めれるんやろ?」と羨ましく思うと同時に不思議に感じていました。というのは、職業名や会社名は知っていても、具体的にどういった仕事をするのかわからないのに、決めることなんてできないと私は思っていました。

日本では小中高と同じような勉強を12年間もします。それで高3になったときに、「さあ、進路を決めなさい」といきなり言われます。社会にはどんな職業があり、どんな仕事をするのかわからないのに決めれるはずもありません。テレビドラマで見るような医者や警察、弁護士などの知名度の高い職業や、家族など身近な人の職業などは、だいたいこんな感じだろうということはわかりますが、それ以外の職業はどんな仕事をするのか、それどころか存在すら知らない職業も多くあります。社会に出て、同級生の友人やいろいろな人から話を聞いて、「こんな職業があるんや」「営業の仕事ってこんなことをするねんな」などとここで初めて仕事のことがわかるのです。

この仕組みって、どこかおかしくないでしょうか?よく学校は社会出るための準備期間であると言われますが、その社会の世界をほとんど学校では教えずに、ひたすら国語・数学・英語・理科・社会の勉強ばかりしています。ほとんど情報を与えられないまま高3で進路決定させられて、よくわからないけど、とりあえずどこかで働く、よくわからないからとりあえず大学に行ってみる、大部分はこのどちらかではないでしょうか。そしてさらに厳しいのは、一度就職してしまったら次の転職が難しくなってしまうことです。もちろん、特別な技術や能力がある人は別ですが、そうでない人の多くは「自分には合っていない」「自分のやりたいことではない」と思ってもリスクが大きくなるため辞めることができずにいます。「仕事ってそんなもんやろ」という意見もありますが私は「そんなもんではない」と思っています。高校や大学を卒業して定年までのおよそ40年、人生の約半分を費やすわけですから、「そんなもん」で片づけてしまうにはあまりにも、もったいないと思います。

より多くの人が、「自分に合った仕事」「自分のやりたい仕事」を見つけて働けることこそが大切なのではないでしょうか。そのためには、学校での教育内容は大きく変えるべきだと私は考えます。一般常識など基本的な学力はほとんどの仕事でも必要でしょうから、小学校や中学校の勉強はある程度必要だと思います。ですが、高校はそうじゃなくていいのではないでしょうか。もっともっと選択授業や専門学校を多くして、世の中にはどんな職業があり、具体的にはこのような仕事をし、それを教えたり経験させたりする場が必要です。そしてもっと学校間の行き来を自由にするべきです。そうすることによって、本当に自分がやりたいことが今よりはもっと見つかるはずです。現在の高校の勉強が必要ないのではなくて、それよりももっと別のことを知りたがっている高校生は多いのです。一方で学校の勉強に興味を持った子は、今まで以上に勉強する環境を整えてあげて、大学進学を目指しやすくすればいいのです。今の高校(大学もそうですが)では、無駄とは言いませんが、非常にもったいない時間を過ごしてしまっている子が多いように感じます。日本人の80%ぐらいが、今の仕事に満足しやりがいを感じるという世に中になればいいですね。

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チャレンジテストの問題点③〜子どもたちのために

2017-06-03 10:16:02 | 教育問題
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

前回に引き続き、もう少しチャレンジテストの問題点を書いていきますね。

⑤ 中3のチャレンジテストは、学校の団体戦
チャレンジテストの結果が悪ければ、いくら学校の定期テストの点数がよくても内申点は低くなってしまうことはお話しましたが、これは中1と中2の内申点の決め方なのです。では中3はどうなるのかというと、学校の平均点が大きく生徒の内申点に影響を与えます。中1と中2は個人戦で、中3は団体戦となっているのです。簡単に説明しますと、チャレンジテストの平均点が、A中学校は府の平均点を大きく上回り、B中学校は平均点を大きく下回ったとします。すると、A中学校は全生徒の内申点の平均が「4」になるように調整し、B中学校は「2」になるようにつけなければなりません。もちろん、A中学校の方がレベルが高いのだから、不公平をなくすという意味では理解できます。しかし、大きな問題がいくつかあります。それは、まずB中学校の生徒は優秀な点数をとっても「5」をつけてもらいにくいことです。B中学校の生徒数が4人とし、内申点の平均を「2」となるようにつけていった場合、1人を「5」にするには他の3人を「1」にしなければなりません。3人の中の1人が「1」をつけられるほど悪い成績ではないとすると、この優秀な点数をとった生徒を「4」にしなければなりません。つまり、同じ点数であったとしても、通っている中学校の平均点の差で異なる内申点になってしまうのです。これでは、なんのためにチャレンジテストを導入したのかわからなくなってしまいます。さらに、もっと問題なのは学校の平均点を上げる簡単な方法があることです。それは、成績のよくない生徒にチャレンジテストを受けさせなければよいのです。さすがに学校の先生が直接そういう指導をすることはないでしょうが、いくつかの中学校では生徒同士で「お前が受けると平均点が下がるから来ないでくれ」といったようなことが起きています。また、平均点の高い中学校では、よい内申点をもらいやすいので、そのために転校している子どももいるいう報告も受けています。

⑥ チャレンジテスト対策とその時期やテストの多さ
このようにチャレンジテストの結果は、高校入試の合否を大きく左右するものですから、中学校によっては学校全体でチャレンジテスト対策をしている学校もあります。廊下や教室に、「チャレンジテストまであと〇〇日」と張り紙をして、熱心に対策に取り組んでいる、まるで予備校のような学校もあります。通常授業の中で、過去のチャレンジテストの問題を開設したり、模擬テストを実施したりしています。一方では、特に対策など何もしていない学校もあります。また、この6月に3つもテストが実施される学校もあります。実力テスト・チャレンジテスト・期末テストです。それぞれが高校入試に必要な内申点に関わる試験で、範囲も傾向もバラバラです。こんな厳しい日程で試験をすることなんてまず公立中学校でするべきではないと思いますし、子どもたちの負担が増えるだけで何のためにこれほど多くのテストをするのか意味がわからないです。それにチャレンジテストをなぜ6月という時期にするのかもわからないです。クラブ活動している生徒の多くは、夏休み前ごろに引退し、そこから受験に向けて勉強を頑張ります。6月といえば、最後の試合や大会に向けて一番クラブを頑張りたい時期です。大学のセンター試験でも、各大学の入学試験が行われる直前の1月に行われます。そのときには、学力もピークになっているから問題ありませんが、6月というのは多くの子どもが本格的に受験勉強をする前ですので、まだまだ学力が上がり切っておらず、そんな状況の中で入試の内申点を左右するような大事なテストが行われるのは、どう考えてもおかしいと思います。夏以降の勉強のモチベーションの低下にもつながってしまいます。

⑦ わかりにくい
これまで、いくつかチャレンジテストの問題点を挙げてきましたが、結局この制度はわかりにくいのです。中学生やその保護者の方はもちろん、学校の先生も理解できてない人がおられるのではないでしょうか。もともと内申点というのが文部科学省のHPでは「生徒の平素の学習状況等を評価し、学力検査で把握できない学力や学力以外の生徒の個性を多面的にとらえたり、生徒の優れている点や長所を積極的に評価し、活用していくというもの」とあるように、テストの点数だけではないため少し評価がしにくいものであり、それをそのままの形で無理やり公正化しようとしたため、さらにわけがわからなくなっているのです。私も最初にチャレンジテストに関する資料を読んだときに理解できませんでした(笑) ですから、学校側からも保護者や生徒たちに対してきちんと説明がされておらず、間違った解釈をしている方や、よくわからないけど大切なテストらしいから頑張らないといけないという方がほとんどではないでしょうか。これが、すごく問題です。高校受験というのは、子どもたちにとってはとても大きなものです。公立中学校に通っている子どもにとっては、人生で初めて自分で進んでいく道を決めるのです。それほど大事な高校受験を、本人や保護者にその仕組みを正確に伝えずに、ただ大事な試験だから頑張れというのはおかしいと思います。学校の成績は「4」なのにチャレンジテストのせいで「2」になってしまったとき、先生はきちんとそれを生徒や保護者に伝えれるのでしょうか、生徒や保護者やそれで納得できるのでしょうか。大切な高校受験だからこそ、その制度はシンプルでだれもがわかりやすいものにする必要があると思います。曖昧なところを、できるだけなくさなければなりません。

このように、チャレンジテストについては多くの欠点があります。これからますます多くの批判や不満などが、現場の先生や生徒・保護者の方からでてくるでしょう。その結果、それほど遠くない将来に制度の見直しが行われるでしょう。もちろん私もそれを望んでいますが、それまでの間はこの変な制度の中で受験をしなければならない子どもたちがたくさんいます。わずか数年で変更しなければならないようなよくない制度のせいで、一番かわいそうなのは子どもたちなのです。もっと慎重に議論を重ねて、よりよい入試制度になることを強く望みますし、そうなるよう活動していきたいと思います。

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チャレンジテストの問題点②~具体的に

2017-06-01 16:34:02 | 教育問題
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

前回で大阪の高校入試の仕組みを説明しましたが、今回はチャレンジテストがどのような問題点があるのかについて書いていきます。

① たった1回のテストで1年間の内申点が決まってしまい、日常の授業や取り組みで頑張っている子どもを正当に評価できない可能性があること。
やはりこれは大きな問題です。チャレンジテスト導入前の内申点は中学校で多少の違いはあったでしょうが、基本的には定期テストの点数・提出物・授業態度などの総合的な評価で決められていました。そういった評価で内申点が「5」だった生徒が、もしこのチャレンジテストで、たまたま体調が悪い中テストを受けてしまい、結果が20点になったとするとこれだけで内申点は「2」に下げられてしまいます。1年間定期テストを頑張って勉強して良い結果を出し、提出物も期日までにきちんと仕上げ、授業もまじめに受け頑張ってきた生徒が、この1回のミスでこれほど大きく評価を下げられてしまうのです。

② チャレンジテストを受けなかった生徒は、チャレンジテストの影響を受けないこと。
それではチャレンジテストを欠席してしまった場合どうなるかといいますと、チャレンジテストの影響を受けずに、学校が評価した内申点がそのまま入試での内申点になります。ということは、学校の内申点が良い生徒は、わざわざ下がる危険性のあるチャレンジテストなんて受けたくなくなりますよね。実際に今年の1月に実施されたチャレンジテストでは、いくつかの中学校で半数以上の生徒が受験しないという事態が発生しました。ここからは憶測になりますが、おそらく学校の先生がこのチャレンジテストの仕組みを生徒や保護者に伝えてあげたのではないでしょうか。もちろんチャレンジテストを受けるという規則があるのですから、それを受けさせずに悪く言えば「ずるい」ことをしているという批判もあるでしょうが、、気持ちはものすごくわかります。いずれにせよ、チャレンジテストを受けた生徒と受けない生徒がいることによにより、公平性は保てなくなっています。

③ チャレンジテストの信頼度
入学試験は高校であっても大学であってもカンニングなどの不正行為は絶対に許されないですよね。大学受験であれば、入学試験ではないですが、大学の合否に大きく影響を与えるセンター試験は不正ができないように、試験中の監視はもちろん問題の流出などのないようにしています。一方、同じく高校受験の合否を大きく左右するチャレンジテストは、どこかの会場で実施するわけではなく、各中学校で行われます。ある中学校では日常的にカンニング行為をしている生徒がいて、チャレンジテスト当日もカンニングをしていたという話を聞きました。事の真偽はわかりませんが、そういった不正行為は防ぎにくいのは確かだと思います。

④ 1年生から受けなければならないこと
大阪の高校受験に必要な内申点は、以前は中3になってからの成績だけでよかったのですが、このチャレンジテストが導入されてから中1からの成績が内申点に反映されるようになりました。学年ごとの内申点の比率は、中3:中2:中1=3:1:1となっています。中3の比率が高いものの、中1からの成績が入試の内申点に関わってくるようになったことで、クラブ活動などをやめてしまう子どももでてきています。さらに、中3の受験の時期に学力で上回っていても、中2までのチャレンジテストの結果が良くなければ、いい内申点がもらえないため特に進学校に合格するのは困難になってしまいます。「それなら中1から勉強しとけばいいやろ」という人もいますが、小学校を卒業したばかりのまだまだ幼い子どもに特定の高校を目指して受験勉強させるのはあまりにも酷でないでしょうか。私が今まで指導してきた生徒の中にも、中3になってから志望校が決まり、そこから猛勉強して進学校に合格した子どもはたくさんいます。中3になった段階で、内申点の約半分がすでに決まっているなんて、私はおかしいと思います。

もう少しありますので、次回に続きます。