昔の望遠鏡で見ています

「三丁目の夕日」の望遠鏡

 西岸良平氏の「三丁目の夕日」夕焼けの詩(うた)第7巻(小学館)に、”星空”という漫画があります。そこに、大学生と下宿屋の娘が、一緒に物干し台で星を見ている場面が出てきます。二人の脇に天体望遠鏡が描かれているのですが、よく見るとその特徴から五藤の6.5cm屈折赤道儀ということが判ります。1970年頃の望遠鏡の特徴を詳細にとらえていますので、著者は天文ファンだったのではないかと、想像しています。

 画像は、上記6.5cmと同じ特徴を持つ、五藤の8cmの赤道儀部分を拡大したものです。極軸の傾きを調節するスライド機構やフレキシブルハンドルの形状は6.5cmと同じです。ただしファインダーは、8cmは9倍口径30mmですが、6.5cmは6倍口径16mm(テレパックと同じ)と異なっています。この赤道儀は鋳物の塊で、色も相まって機関車を想像させる重厚なものです。五藤光学は、現在アマチュア向けの天体望遠鏡は製造していませんが、過去に販売した古い望遠鏡のメンテナンスは今でも行っているという良心的な会社です。以前、赤道儀をオーバーホールしてもらったことがありますが、送付の際あまりの重量に、下になっていた鋳物のクランプの取っ手が、壊れてしまったことがあります。同じ部品が残っていて、事なきを得ましたが、気を付けなければと、反省したものでした。

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