新しい年を迎えるための準備をすべて年用意と言う。煤払・畳替・障子貼・燃料補充・年の市の買物・神棚仏壇の清拭など季語となっているものやそうでないものも含めてすべて年用意なのである。「春着縫ふ」なども年用意であるし、年用意はすなわち「春支度」でもある。
沙弥が刷る歳徳神も年用意 河野静雲(こうの・せいうん)
歳徳神(としとくじん)とは陰陽道でその年の福神をつかさどる神。この神の在す方を恵方と言う。沙弥は7歳から20歳までの修行僧である。その沙弥がいま歳徳神の絵を刷っていると言うのである。歳徳神はまるで王妃のような華やかな姿で、多くの暦の初めのほうのページに置かれる。言い換えればこの沙弥は暦を刷っているのだ。自家製の暦を刷るのだからかなり大きな寺であろう。これもまた年用意だと言うのである。
縄の玉ころがつてゐる年用意 高野素十(たかの・すじゅう)
年用意にはいろいろな作業があるが、例えば垣根を繕うとか、門松を立てるときにも縄を使うだろう。現在は昔ほど縄を使うような作業は減っていると思われるが、昔は何かと言うと縄が役に立ったものである。縄の玉がころがっているのも日常的とも言える光景だが、これも年用意の雰囲気だ。
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