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俳句雑記帳

俳句についてのあれこれ。特に現代俳句の鑑賞。

日食

2009年07月22日 | 俳句
 7月22日は46年ぶりに日本で皆既日食が見られるというので、かなりの騒ぎとなったようである。とは言うものの皆既日食が見られるのは南方の一部にしか過ぎない。あいにくの天候で悪石島でも屋久島でも観測はできなかったようで残念であった。日食は年に2,3度は地球上のどこかで見られるのだから、さほど騒ぐことはないと思うが、やはり日本で見られるということが大事件だったか。テレビの実況中継をちょっと覗いてみたが、これなら外国の映像でも充分ではないかと思えた。
 日食は季語にはなり得ない。季節と関わらないからである。季語は地球の公転と関わるが、日食は地球と月と太陽の関係であって、季節とは関係がない現象である。

   老いてここに斯く在る不思議唯涼し  高浜虚子

 富士吉田で作られた句のようだが、場所は関係ないだろう。「不思議」というなまの言葉を使わざるを得なかった心境がわかる。なぜここに自分は居るのかという根源的な問いがここにはある。ある時ふと口をついて出るような呟きである。年老いたからというのではない。今の自分がなぜここに居るのかが不思議なのだ。しかも涼しさだけを感ずることができる。存在を証明するのは「涼し」と感じられる自分だけなのだ。不思議である。(勢力海平)

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