4月21日、防衛局が沖縄県に出した「設計変更概要要請書」に対する意見書提出が終了しました。全国からどれだけの意見書が提出されたかは、今の段階ではわかりません。圧倒的多くの意見書が提出されていればいいのだが・・・・・
来年の1月末ごろに、玉城デニー知事の「設計変更NO」最終判断がだされる予定です。
南部の会も9月24日に以下の通りの意見書を提出しました。
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2020年 9月24日
沖縄県知事 玉城デニー様
辺野古新基地建設事業・公有水面埋立変更承認申請に係る意見書
提出者 沖縄のたたかいと連帯する東京南部の会
代表世話人 平賀 雄次郎
*利害関係の内容
辺野古新基地は私たちの税金でつくられます。建設される予定の辺野古・大浦湾は、沖縄でも環境保全の最高ランクに位置付けていた海であり、昨年アメリカのNGOも「希望の海」と認定した生物多様性の世界的にも貴重な海です。何度も現地に足を運んだ私たちは、この宝の海の環境を基地建設で壊されることは耐え難く、納税者として意見を述べます。
*意見・・・沖縄県知事は、今回の公有水面埋立変更承認申請を不承認として下さい。
*理由
① 辺野古新基地建設の巨額な費用をコロナ対策に使うべきです
現在、新型コロナ感染拡大防止のための自粛要請によって、企業や施設などが休業に追い込まれ、多くの労働者が失業や減収によって生活困難に陥っています。また、住民登録がないと10万円の給付金がもらえず、生きていくことさえ難しい人々がいます。外国人大学生に対して「成績優秀な上位3位」までとか恥ずべき基準を示すなどの恥ずべき対応はやめて、日本で暮らす外国人に対して、「命は平等」の国際人権基準に沿った「人権や命を守る」取り組みに貴重な税金を使ってください。
コロナ感染拡大はいつ収束するのか、全く予断を許さない状況です。昨年12月に発表された辺野古新基地建設費9300億円という金額でおさまるわけはなく、さらなる税金の投入は火をみるより明らかです。辺野古新基地建設の巨額な費用を、コロナ対策や子どもの貧困撲滅のための対策に回す「命をまもる」ことに使ってください。
② 県民の「辺野古新基地建設反対」の民意を尊重し、県の地方自治をないがしろにしないで下さい
沖縄県民は、住民投票や国政選挙、県知事選などで、これまでなんども辺野古新基地建設反対の民意を示してきました。しかし、政府は一切、聞く耳を持たず、非暴力で反対する市民を弾圧して基地建設を強行しています。秋田県と山口県に配備予定だった陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入計画を6月15日、河野防衛大臣は突然、「費用と工期が膨らむので断念する」と発表しました。配備計画が発表されてから、秋田県や山口県でも地元では2年半にわたって市民は反対してきました。辺野古新基地建設については、当初5年と想定していた工期は新基地共用まで12年、総工費は当初2400億円が約3,5倍の9300億円に膨らみ、変更承認後の工事を考えるとさらに工期は長くなり、費用も県の試算では2兆5500億円となっています。また「世界一危険な普天間基地の一日も早い危険除去」を考えると、2030年半ば以降の普天間基地移転では、すでに計画は破たんしていると言えます。また、普天間基地は、住民が収容所に入っている間に米軍が国際法に違反してつくった基地です。米国は即時無条件返還すべきです。
③ 地盤改良工事はとりかえしのつかない海や山の環境破壊が懸念されます
*「変更承認申請書」では軟弱地盤改良のためのデーターや工法の詳しい記載はされていません。これまでも汚濁防止膜は海面下7mまでしかなく、海の汚濁が広がっていました。工法に必要な大量な海砂を離島含めて県内で調達するとされているが、それは沖縄県でとれる2年分以上の量です。それほどの量の海砂をさらうことは、海の汚濁・海底地形の改変・海生生物の死滅などの環境破壊は深刻になります。他県では、海砂の採取を禁止または制限しているところがほとんどです。本数などの具体的数値は記されていませんが、莫大な数の砂杭を打ち込むこと自体、環境破壊につながり無謀です。このような大規模な改良工事を申請していながら、B27地点を含む地質調査をしないことはありえません。地質調査は必須です。
*また、C2護岸やC3を建設する前に、水深42mから7mまで先行埋立て(薄層盛り土)を施行すると記されていますが、とんでもないです。汚濁防止膜もこれまで海面下7mまでしかなく、これまでも海水の汚濁が広がっていました。先行埋立て施工の開口部は、731mにもなり、240mの幅の汚濁防止膜では汚濁防止は無理だと思います。また、海底までのばすというが、その長さは示されていません。トレミー船を使うので、環境への負荷はこれまでと同じ想定内としているが、それは間違っています。汚濁が広がり、貴重なサンゴ類や海洋生物などに悪影響を及ぼし、海を死に追いやることにつながります。
*辺野古・大浦湾の海洋生物は5300種以上で絶滅危惧種など262種が現在報告されていますが、調査すればさらに増えることは確実です。埋め立て予定地には、78460群体の移植対象のサンゴが群生しています。現在、これだけ大量のサンゴの移植技術は確立されていないと、専門家は指摘しています。また、特に工事が中断していた4月、5月には70回以上のジュゴンの鳴き声があったことが報告されています。防衛局は直ちに工事を中止して、沖縄県の指導に基づいて、調査をすべきは当然です。工事を続けることは、ジュゴンを大浦湾から追い出すことを狙っているとしか思えません。辺野古・大浦湾にはジュゴンの餌場が広がっています。絶滅危惧種のジュゴン保護をはじめ、貴重な生物多様性の辺野古・大浦湾の保護を図るべきです。昨年、アメリカのNGOが「希望の海」と認定した辺野古・大浦湾の海は、子や孫に残さなければならない沖縄県の財産です。設計概要変更申請の環境保全対策は全く不十分で、新たな環境影響調査を実施し、貴重な辺野古・大浦湾の海の環境を守るべきです。
*埋め立てや地盤改良工事に使用する膨大な土砂を、沖縄県内で調達可能としているが、現在、土砂を掘り出している安和鉱山は、山がなくなるほど削られています。山の環境破壊は、海の環境破壊につながることは常識です。沖縄県内の調達となると、離島も含む沖縄県内の山川海の環境の破壊が進むことは必至です。また、当初の計画では、土砂はすべて海上輸送とされていたが、陸上輸送も併用されており、さらに環境汚染が懸念されます。これまでは「大気汚染や騒音、振動などの環境負荷の軽減のために海上輸送」としていた沖縄防衛局の主張は、全く矛盾しており、今までも、ダンプカーによる騒音や粉じんなどの環境汚染が指摘されています。土砂の採掘箇所はそれぞれに環境調査をすべきで、個々の業者にそれを責任転嫁するのはやめていただきたいです。防衛局として、責任をもって環境調査を実施してください。
④ 90mに及ぶ軟弱地盤の改良工事は不可能です
B27地点の90mに及ぶ軟弱地盤の改良工事は、日本はもちろん世界的にも例がないそうです。とりわけ、90mの軟弱地盤を70mと歪曲し、しかも70mの下は固い粘土層で、70mまでの改良工事しか想定していません。専門家の新潟大学の立石名誉教授は「このままでは崩壊する危険がある」と指摘しています。防衛局が設置した「技術検討委員会」ですら、辺野古新基地が完成した後も地盤沈下すすむと指摘しています。また、辺野古新基地建設予定地には二つの活断層が走っています。立石名誉教授らは「震度1でも崩壊の危険がある」と警鐘をならしています。隣には辺野古弾薬庫もあり、もし、何か起きたら、その被害は甚大で計り知れません。
「業者が勝手にやった、取るに足りない数字」とかごまかさず、防衛局は90mの地点の再調査、および環境影響調査をやり直すべきです。2つの活断層の調査・分析も必須です。
防衛局は「環境におよぼす影響は、変更前の同程度か、それ以下」としているが、それはありえません。
以上