岡山市立市民病院 総合診療グループ(ER+GIM)

岡山市立市民病院の総合診療グループである『総合内科』と『救急総合診療科』の日常の雰囲気を伝えていきます。

岡山市民病院ケースカンファレンス(2015/07/03)

2015-07-09 20:41:05 | 院内イベント
こんにちは。Dr.Waveです。

7/3のケースカンファレンスは重症肺炎の一例でした。

重症肺炎の場合、初期対応が重要です。
治療が遅れるほど予後が悪くなります(当たり前ですが)。

呼吸困難のため、ご本人からの病歴聴取は難しく、ある程度のブラックボックスを抱えたままの治療開始となることが多々あります(来てすぐ挿管ということも多々あります)。
こうした場合、いわゆるempric therapyとなり、MEPM+LVFX+VCMのmenuとなります。
しかし、これだけで不十分な場合もあり、病歴から真菌などの可能性も疑った場合、MCFGやST合剤の投与も考慮せねばなりません。

家族や関係者から少しでも情報を聞き出し、予想しうる病原微生物の候補を列記しておかねばなりません。
もちろんBroadな抗菌薬使用をする際には、後日de-escalationができるように必要な培養検査と抗体・抗原検査、PCR検査を提出しておかねばなりません。

重症肺炎診療で気を付けるポイントは、「重症肺炎=感染性肺炎」という単純な状態でない場合もあるということです。
「感染性肺炎に見える」肺病態として、血管性、リンパ管性、間質性、腫瘍性のジャンルで考えていかねばなりません。血管性として心不全・ARDS・肺塞栓症、リンパ管性として癌性リンパ管症、間質性として免疫性肺炎・薬剤性、腫瘍性として血管内悪性リンパ腫などです。
とくにこれらは治療内容が異なるため、鑑別診断にあげてチェックしていかねばなりません。



脳梗塞や心筋梗塞と同様、重症肺炎のように時間の経過が結果を左右する病態については普段から一連の流れを勉強しておかねばなりません。
岡山市立市民病院ケースカンファレンスではこうした重要緊急疾患を定期的に取り上げ救急外来の診療スキルのボトムアップをはかっていきたいと思います。


準備したY崎先生、プレゼンテーションのほどありがとうございました。


今回は写真を撮り忘れてしまいました。ある日の回診の風景の写真を載せておきます。