環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

大気汚染防止推進月間特集⑭ 有害大気汚染物質対策の推進 その1 指定物質、指定物質抑制基準等

2007-12-14 12:59:16 | 大気汚染
2007年12月14日  
 大気汚染防止推進月間特集第14回からは、有害大気汚染物質対策についてみていきます。
 有害大気汚染物質の対策は、平成8年の大気汚染防止法改正に遡ります。この年までの大気環境調査によって、低濃度ではあるが発がん性等の有害性が問題とされる物質が種々検出され、これらの物質のなかには長期曝露による健康被害が懸念されるものもあることから、大気汚染防止法に『有害大気汚染物質対策の推進』に関する章(第2章の4)が新設されました。

【大気汚染防止法による有害大気汚染物質対策】
1.有害大気汚染物質
(1)有害大気汚染物質の定義(法第2条第13項)
 大気汚染防止法において、有害大気汚染物質とは『継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがある物質で大気の汚染の原因となるもの』をいいます(ばい煙である硫黄酸化物・カドミウム及びその化合物・塩素及び塩化水素・弗素・弗化水素及び弗化珪素・鉛及びその化合物・窒素酸化物、特定粉じんである石綿を除く)。

(2)優先取組物質、指定物質(法附則第9号、令附則第3号)
 有害大気汚染物質は、平成8年の大気汚染防止法改正に際し、低濃度での長期曝露による健康影響が懸念される物質234種類がリストアップされ、その中から22種類が優先取組物質として指定されました。さらに、そのなかでもベンゼン・トリクロロエチレン・テトラクロロエチレンの3物質は、早急な排出抑制対策を要する指定物質として指定されています。

(3)指定物質排出施設(法附則第9号、令附則第4号、附則別表第6)
 指定物質(ベンゼン・トリクロロエチレン・テトラクロロエチレン)を大気中に排出し、又は飛散させる工場・事業場を指定物質排出施設とし、下記の11の施設について規定しています。
①ベンゼン(濃度が体積百分率60%以上のものに限る。以下同じ)を蒸発させるための乾燥施設であつて、送風機の送風能力が1時間当たり1,000㎥以上のもの
②原料の処理能力が1日当たり20t以上のコークス炉
③ベンゼンの回収の用に供する蒸留施設(常圧蒸留施設を除く)
④ベンゼンの製造の用に供する脱アルキル反応施設(密閉式のものを除く)
⑤ベンゼンの貯蔵タンクであつて、容量が500kl以上のもの
⑥ベンゼンを原料として使用する反応施設であつて、ベンゼンの処理能力が1時間当たり1t以上のもの(密閉式のものを除く)
⑦トリクロロエチレン又はテトラクロロエチレンを蒸発させるための乾燥施設であつて、送風機の送風能力が1時間当たり1,000㎥以上のもの
⑧トリクロロエチレン又はテトラクロロエチレンの混合施設であつて、混合槽の容量が5kl以上のもの(密閉式のものを除く)
⑨トリクロロエチレン又はテトラクロロエチレンの精製又は回収の用に供する蒸留施設(密閉式のものを除く)
⑩トリクロロエチレン又はテトラクロロエチレンによる洗浄施設(⑪を除く)であつて、トリクロロエチレン又はテトラクロロエチレンが空気に接する面の面積が3㎡以上のもの
⑪テトラクロロエチレンによるドライクリーニング機であつて、処理能力が1回当たり30kg以上のもの

2.指定物質抑制基準、勧告、報告
(1)指定物質抑制基準(法附則第9号)
 環境大臣は、当分の間、有害大気汚染物質による大気の汚染により人の健康に係る被害が生ずることを防止するために必要があると認めるときは、指定物質排出施設について、指定物質の種類及び指定物質排出施設の種類ごとに排出又は飛散の抑制に関する基準を定め公表するとされており、大気汚染防止法附則第九項の規定に基づく指定物質抑制基準(平成9年環境庁告示第5号、第6号)が定められています。

(2)勧告(法附則第10号)
 都道府県知事は、指定物質抑制基準が定められた場合において、当該都道府県の区域において指定物質による大気の汚染により人の健康に係る被害が生ずることを防止するために必要があると認めるときは、指定物質排出施設を設置している者に対し、指定物質抑制基準を勘案して、指定物質排出施設からの指定物質の排出又は飛散の抑制について必要な勧告をすることができます。

(3)報告(法附則第11号、第12号、第13号)
 都道府県知事は、(2)の勧告をするために必要な限度において、同項に規定する者に対し、指定物質排出施設の状況その他必要な事項に関し報告を求めることができます。
 また、環境大臣は、指定物質による大気の汚染により人の健康に係る被害が生ずることを防止するため緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事又は政令で定める市(第31条第1項)の長に対し、(2)の規定による勧告に関し、必要な指示を行うことができます。
 さらに、環境大臣は、前項の指示をするために必要な限度において、指定物質排出施設を設置している者に対し、指定物質排出施設の状況その他必要な事項に関し報告を求めることができます。

【官報ウオッチング】
号外第285号
〔政令〕
労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(政令第375号/昭和47年政令第318号の一部改正)
第二類物質に、ホルムアルデヒドを追加するとともに、第三類物質のうち、ホルムアルデヒドを削除することとした。ただし、事業者は、ホルムアルデヒドを製造、又は取り扱う業務に労働者を従事させる場合には、当該労働者に対し特殊健康診断を行うことを要しないこととした。(第22条及び別表第三関係)
施行日:平成20年3月1日

【行政情報ウオッチング】
環境省
「自動車排出ガスの量の許容限度」の一部改正について
中央環境審議会循環型社会計画部会(第41回)の開催について(お知らせ)
「航空機騒音に係る環境基準について」(告示)の一部改正について(お知らせ)
中央環境審議会総合政策部会 第17回公害防止計画小委員会の開催について(お知らせ)
「エコプロダクツ2007」における「めざせ!1人、1日、1kg CO2削減 私のチャレンジ宣言」促進キャンペーンと「解説映像 地球温暖化シミュレーション」の公開などについて(お知らせ)
エコプロダクツ2007への出展/受賞作品の展示発表及び表彰式典・レセプションのお知らせ

国土交通省
社会資本整備審議会建築分科会第4回住宅・建築物省エネルギー部会議事概要

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「12月3日から12月9日までに公布された主な環境法令一覧」を更新しました/2007.12.9
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「12月3日から12月9日までに発表された改正予定法令一覧」を更新しました/2007.12.9