2006年11月24日
今週の閣議及び公害対策会議では、『化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減基本方針(東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海)-公害対策会議』『容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令-閣議決定』『容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令-閣議決定』『特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律施行令の一部を改正する政令-閣議決定』の3本の政令と1本の基本方針が決定されています。本日から3回に渡り、その概要について記載いたします。
1.化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減基本方針(東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海)-公害対策会議
(1)総量削減基本方針の根拠
総量削減基本方針は、水質汚濁防止法第4条の2に基づき、人口及び産業が集中し、汚濁が著しい広域的な閉鎖性海域の水質改善を図るため、工場・事業場のみならず、生活排水等も含めた発生源全体からの汚濁負荷量について削減目標量、目標年度等を定め、総合的・計画的な水質保全対策を推進しようとするものであり、「水質総量規制制度」の根幹をなすものです。
水質総量規制制度においては、環境大臣が、指定水域ごとに目標年度、発生源別及び都府県別の削減目標量に関する総量削減基本方針を定め、これに基づき、関係都府県知事が、削減目標量を達成するための総量削減計画を定めることとされています。削減目標量を達成するための具体的な方途としては、下水道の整備等の生活系排水対策、指定地域内事業場(日平均排水量が50㎥以上の特定事業場)の排出水に対する総量規制基準の適用、小規模事業場・農業・畜産農業等に対する削減指導等があります。なお、削減目標量は、人口及び産業の動向、排水処理技術の水準、下水道の整備の見通し等を勘案し、実施可能な限度において定めるものとされています。
水質総量規制制度は、昭和54年以来5次にわたり、化学的酸素要求量(COD)を対象に、また、第5次総量規制からは窒素及びりんを新たな対象項目に加え実施されています。対象水域は東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海とされ、また、これら水域への流入域である20都府県の関係地域が対象地域となっています。現行の第5次水質総量規制における総量削減基本方針は平成13年に策定され、平成16年度を目標年度として着実にCOD、窒素及びりんの汚濁負荷量の削減が図られてきました。
(2)東京湾、伊勢湾及び大阪湾の水質改善の状況
東京湾、伊勢湾及び大阪湾においては、水質が改善されてきた水域があるものの、COD、窒素及びりんの環境基準達成率の改善が不十分な状態です。また、大規模な貧酸素水塊が発生し、生物が生息しにくい環境となっております。
他方、大阪湾を除く瀬戸内海においては、窒素及びりんの環境基準を概ね達成しており、CODの環境基準達成率は70%にとどまっているものの、濃度レベルは他の指定水域に比較して低い状況にあります。
《参考-第6次水質総量規制の在り方について(答申)平成17年5月中央環境審議会》
①COD負荷量
水質総量規制が開始された昭和54年度におけるCOD負荷量は、東京湾において477t/日、伊勢湾において307t/日、瀬戸内海において1,012t/日でした。汚濁負荷の削減対策の推進により、第5次総量削減基本方針の目標年度である平成16年度までに、東京湾において228t/日、伊勢湾において203t/日、瀬戸内海において630t/日まで削減されることとなっています。昭和54年度から平成16年度までの削減率は、東京湾において52%、伊勢湾において34%、瀬戸内海において38%となっています。現在、第5次水質総量規制によりCOD負荷量の削減対策が進められており、平成16年度の削減目標量は達成される見通しとなっています。
②窒素・りん負荷量
平成11年度における窒素負荷量は、東京湾:254t/日、伊勢湾:143t/日、瀬戸内海:596t/日でした。第5次総量削減基本方針の目標年度である平成16年度までに、東京湾:249t/日、伊勢湾:137t/日、瀬戸内海:564t/日まで削減されることとなっています。平成11年度から平成16年度までの窒素負荷量の削減率は、東京湾:2%、伊勢湾:4%、瀬戸内海:5%となっています。
平成11年度における燐負荷量は、東京湾:21.1t/日、伊勢湾:15.2t/日、瀬戸内海:40.4t/日でした。第5次総量削減基本方針の目標年度である平成16年度までに、東京湾:19.2t/日、伊勢湾:14.0t/日、瀬戸内海:38.1t/日まで削減されることとなっています。平成11年度から平成16年度までの燐負荷量の削減率は、東京湾:9%、伊勢湾:8%、瀬戸内海:6%となっています。現在、第5次水質総量規制により窒素及び燐に係る汚濁負荷量の削減対策が進められており、平成16年度の削減目標量は達成される見通しとなっています。
(3)第6次水質総量規制の概要
①平成21年度を目標年度とする削減目標
□東京湾
COD:211t/日
窒素含有量:208t/日
りん含有量:15.3t/日
□伊勢湾
COD:186t/日
窒素含有量:129t/日
りん含有量:10.8t/日
□瀬戸内海(大阪湾)
COD:561(144)t/日
窒素含有量:476(121)t/日
りん含有量:30.6(8.2)t/日
(4)今後の予定
①総量削減計画
東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の関係都府県知事は、この総量削減基本方針に基づき、総量削減計画を策定し、都府県ごとの発生源別の削減目標量及び削減の方途等を定めることとされており、平成19年6月の策定を目途に各都府県において検討が進められることとなります。
②総量規制基準
総量削減計画に基づき、各都府県において汚濁負荷量を削減するための具体的な措置が講じられていくこととなりますが、特に、工場・事業場に対しては、通常の濃度基準による排水規制に加え、汚濁負荷量(排水濃度×排水量)についての総量規制基準が適用されることとなります。
この総量規制基準は、本年10月13日の環境省告示(平成18年10月環境省告示第134号、同第135号及び同第136号)により示される範囲内において、業種等の実態に応じて各都府県ごとに定めることとされており、総量削減計画の策定に併せて各都府県知事が設定し、平成19年夏以降、一定の猶予期間を経た上で工場・事業場に適用される予定です。
【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【行政情報ウオッチング】
後刻アップします。
【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【ISO14001】
◆「役立つ!ISO14001関連書籍」に新しい書籍を追加しました/2006.11.19
◆「環境法令管理室」に「11月13日から11月19日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2006.11.19
今週の閣議及び公害対策会議では、『化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減基本方針(東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海)-公害対策会議』『容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令-閣議決定』『容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令-閣議決定』『特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律施行令の一部を改正する政令-閣議決定』の3本の政令と1本の基本方針が決定されています。本日から3回に渡り、その概要について記載いたします。
1.化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減基本方針(東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海)-公害対策会議
(1)総量削減基本方針の根拠
総量削減基本方針は、水質汚濁防止法第4条の2に基づき、人口及び産業が集中し、汚濁が著しい広域的な閉鎖性海域の水質改善を図るため、工場・事業場のみならず、生活排水等も含めた発生源全体からの汚濁負荷量について削減目標量、目標年度等を定め、総合的・計画的な水質保全対策を推進しようとするものであり、「水質総量規制制度」の根幹をなすものです。
水質総量規制制度においては、環境大臣が、指定水域ごとに目標年度、発生源別及び都府県別の削減目標量に関する総量削減基本方針を定め、これに基づき、関係都府県知事が、削減目標量を達成するための総量削減計画を定めることとされています。削減目標量を達成するための具体的な方途としては、下水道の整備等の生活系排水対策、指定地域内事業場(日平均排水量が50㎥以上の特定事業場)の排出水に対する総量規制基準の適用、小規模事業場・農業・畜産農業等に対する削減指導等があります。なお、削減目標量は、人口及び産業の動向、排水処理技術の水準、下水道の整備の見通し等を勘案し、実施可能な限度において定めるものとされています。
水質総量規制制度は、昭和54年以来5次にわたり、化学的酸素要求量(COD)を対象に、また、第5次総量規制からは窒素及びりんを新たな対象項目に加え実施されています。対象水域は東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海とされ、また、これら水域への流入域である20都府県の関係地域が対象地域となっています。現行の第5次水質総量規制における総量削減基本方針は平成13年に策定され、平成16年度を目標年度として着実にCOD、窒素及びりんの汚濁負荷量の削減が図られてきました。
(2)東京湾、伊勢湾及び大阪湾の水質改善の状況
東京湾、伊勢湾及び大阪湾においては、水質が改善されてきた水域があるものの、COD、窒素及びりんの環境基準達成率の改善が不十分な状態です。また、大規模な貧酸素水塊が発生し、生物が生息しにくい環境となっております。
他方、大阪湾を除く瀬戸内海においては、窒素及びりんの環境基準を概ね達成しており、CODの環境基準達成率は70%にとどまっているものの、濃度レベルは他の指定水域に比較して低い状況にあります。
《参考-第6次水質総量規制の在り方について(答申)平成17年5月中央環境審議会》
①COD負荷量
水質総量規制が開始された昭和54年度におけるCOD負荷量は、東京湾において477t/日、伊勢湾において307t/日、瀬戸内海において1,012t/日でした。汚濁負荷の削減対策の推進により、第5次総量削減基本方針の目標年度である平成16年度までに、東京湾において228t/日、伊勢湾において203t/日、瀬戸内海において630t/日まで削減されることとなっています。昭和54年度から平成16年度までの削減率は、東京湾において52%、伊勢湾において34%、瀬戸内海において38%となっています。現在、第5次水質総量規制によりCOD負荷量の削減対策が進められており、平成16年度の削減目標量は達成される見通しとなっています。
②窒素・りん負荷量
平成11年度における窒素負荷量は、東京湾:254t/日、伊勢湾:143t/日、瀬戸内海:596t/日でした。第5次総量削減基本方針の目標年度である平成16年度までに、東京湾:249t/日、伊勢湾:137t/日、瀬戸内海:564t/日まで削減されることとなっています。平成11年度から平成16年度までの窒素負荷量の削減率は、東京湾:2%、伊勢湾:4%、瀬戸内海:5%となっています。
平成11年度における燐負荷量は、東京湾:21.1t/日、伊勢湾:15.2t/日、瀬戸内海:40.4t/日でした。第5次総量削減基本方針の目標年度である平成16年度までに、東京湾:19.2t/日、伊勢湾:14.0t/日、瀬戸内海:38.1t/日まで削減されることとなっています。平成11年度から平成16年度までの燐負荷量の削減率は、東京湾:9%、伊勢湾:8%、瀬戸内海:6%となっています。現在、第5次水質総量規制により窒素及び燐に係る汚濁負荷量の削減対策が進められており、平成16年度の削減目標量は達成される見通しとなっています。
(3)第6次水質総量規制の概要
①平成21年度を目標年度とする削減目標
□東京湾
COD:211t/日
窒素含有量:208t/日
りん含有量:15.3t/日
□伊勢湾
COD:186t/日
窒素含有量:129t/日
りん含有量:10.8t/日
□瀬戸内海(大阪湾)
COD:561(144)t/日
窒素含有量:476(121)t/日
りん含有量:30.6(8.2)t/日
(4)今後の予定
①総量削減計画
東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の関係都府県知事は、この総量削減基本方針に基づき、総量削減計画を策定し、都府県ごとの発生源別の削減目標量及び削減の方途等を定めることとされており、平成19年6月の策定を目途に各都府県において検討が進められることとなります。
②総量規制基準
総量削減計画に基づき、各都府県において汚濁負荷量を削減するための具体的な措置が講じられていくこととなりますが、特に、工場・事業場に対しては、通常の濃度基準による排水規制に加え、汚濁負荷量(排水濃度×排水量)についての総量規制基準が適用されることとなります。
この総量規制基準は、本年10月13日の環境省告示(平成18年10月環境省告示第134号、同第135号及び同第136号)により示される範囲内において、業種等の実態に応じて各都府県ごとに定めることとされており、総量削減計画の策定に併せて各都府県知事が設定し、平成19年夏以降、一定の猶予期間を経た上で工場・事業場に適用される予定です。
【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【行政情報ウオッチング】
後刻アップします。
【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【ISO14001】
◆「役立つ!ISO14001関連書籍」に新しい書籍を追加しました/2006.11.19
◆「環境法令管理室」に「11月13日から11月19日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2006.11.19