つれズレ愚抄

つれ：「大相撲の八百長訴訟は何やら泥田の大一番が如き様相を呈してるねぇ」

ズレ：「相撲協会さんとすりゃ目くじら立てずに大人の態度で受け流してもよかったんじゃねぇか」

つれ：「国技たる大相撲に一点の曇りもあってはならじと眦を決したのかねぇ」

ズレ：「元は神事といっても今はプロ興業、かつてプロレスで八百長が騒がれながらも今はそんなことにはお構いなく盛り上がってるのと同様、客を楽しませる演出と思えば何てこたぁねぇやな」

つれ：「関取の間の情で星が動くなら機微の内ながら、金が動くってなぁ芳しくないだろうに」

ズレ：「それを賭の対象に操作して儲けようてぇ外部の衆が居るなら問題だけど、力士衆でのやり取りなら互助会費のようなもんでぃ」

つれ：「にしたって仕組まれた勝負と分かればやっぱり興醒めだょ」

ズレ：「コソコソやるのがまずいんなら、負ける方に懸賞を架けて見事な負け芝居を楽しむって趣向もあらぁな」

つれ：「座布団の代わりにおひねりでも飛ばせってのかぃ・・」

つれ：「元ネタは４０年から前のＴＶシリーズ”それ行けスマート”だそうで、そう言われて見ればそんな番組もあったような気がする程度の朧気な記憶だから、こちらとすりゃ全くの新作として楽しませて貰ったよ。
　スタイル的にはオーソドックスなスパイアクションコメディで、もう一つ冴えない主人公が結果的に大活躍するストーリーの随所にクスグリネタを鏤めて大立ち回りがありののお色気がありのの分かり易いウラもありののご都合主義の展開もありののフルコース定食メニューとして、妙な気を回すこともなく安心して見てられる娯楽作品になってるんじゃないかぃ。
　これもシリーズ化されるのかどうかは定かならねど、００７シリーズは代替わりでハードボイルドなシリアス路線になったようだし、軟らかめでもそれほどおふざけが過ぎないこういうコミカル路線のシリーズがあってもよさそうな感じだよねぇ」

つれ：「鳥取砂丘に落書きすると過料５万円てぇ条例が出来たんだってさ」

ズレ：「木を削ったり石を刻んだりてぇ復元できないもんは論外だけど、儚く消える砂上のお遊びに目くじら立てることもないのによ」

つれ：「大きさが１０㎡以上のものが罰則対象ってとこを見ると、よほど大掛かりな美観を損ねる迷作が目に余ったんじゃないのかぃ」

ズレ：「あれほどデカいキャンバスを前にすれば創作意欲を掻き立てられても不思議はなし、規制するなら大きさでなく内容で判断するのが本筋なんじゃねぇか」

つれ：「美観なら公共の福祉で制限できるけど、内容をとやかく言うと表現の自由に絡んでややこしいことになるだろうに」

ズレ：「砂丘の落書きにまで憲法が出てくるたぁ、つくづく堅苦しい世の中になったもんだぜ」

つれ：「憲法改正気運の方は砂上の楼閣のように消え果てたけどねぇ・・」

ズレ：「邦題の響きから”家政婦は見た”ってな軽いノリかと思いきや原題のGoya's Ghostの響きどおりとてつもなく重厚な展開で、教科書的な歴史の記述では窺い知れないリアルな宗教や政治の不条理や理不尽てぇものがズッシリとのしかかってくるようだぜ。
　宗教には至って寛容というか無節操な日本の風土からすると異端審問やら宗教裁判なんてのは遠い過去の絵空事のようにも思えるけど、世界を見渡せば今現在でも宗教と権力が結びつく弊害は現実にありそうだし、革命だ解放だってフレーズもけして共産圏崩壊と共に消え去った訳じゃなさそうだし、なかなか絵画鑑賞のように典雅には構えていられねぇやな。
　例えばこのスペインのカトリック教会をイラクやアフガニスタンのイスラム勢力・革命の名の下に侵略してくるフランスを民主主義の御旗で押し寄せるアメリカに置き換えれば正に当世の国際情勢の写し鏡のようで、ゴヤ画伯の動静を通じてその時代に居合わせた衆生はどうしたもんかと問い掛けられてるようじゃねぇか」

つれ：「温暖化と食糧危機の切り札としてミドリムシが注目されてるみたいだよ」

ズレ：「動物なのに葉緑素を持ってるからＣＯ２は酸素に変えるし、アミノ酸やらビタミン・ミネラルまで作り出すたぁ、創造主とも遜色ない八面六臂の大活躍だわな」

つれ：「既にミドリムシ入りクッキーも開発されてるそうで、遠からず市中にも出回るかもねぇ」

ズレ：「色の連想で体に良くても口には不味い青汁のイメージになるけど、味の方はどうなんだかなぁ」

つれ：「工業物質のメラミン入りって訳じゃないんだし、多少青臭かろうと害はないだろうに」

ズレ：「理想の素材と言われたアスベストが有害だったりバイオ燃料が流行ったら穀物が枯渇したりって例もあることだし、存在は知られつつも今まで手を付けなかったものには慎重に取り組んで然るべしってことよ」

つれ：「神様仏様のような有り難いミドリムシを食ったんじゃバチでも当たるってのかぃ・・」