つれズレ愚抄

つれ：「安倍さんは日銀発言に市場が反応したのに気をよくしてか、今度は退役自衛艦と予備役自衛官を海保に編入して尖閣で中国船と対峙すべしなんて勇ましいことを宣わってるねぇ」

ズレ：「大層頼もしい仰りようながら、鳩山沖縄発言の顛末も記憶に新しいだけに、ホンマかいなと眉に唾つける向きも多いんじゃねぇか」

つれ：「解散でどうなったかは分からないけど、野田さんもＦ３５製造への日本企業参加に舵を切ったくらいだし、輪転機を回すよりは抵抗は少ないんじゃないかぃ」

ズレ：「どっこいその後に国防軍復活をブチ上げたのも仇になって、安倍発言が十把一絡げに反発を招かないとも限らないぜ」

つれ：「確かに首相確実と目されてる割には一々扇動的で野党のノリが過ぎるてぇ指摘もあるようだねぇ」

ズレ：「気ままな市場の好反応が安倍発言を受けてかどうかも本当のところは分からないんだし、政権の先陣争いに勝つ前から兜の緒はしっかり締めといた方がよさそうだわな」

つれ：「以前の政権も棒に振っただけにあんまり浮かれないよう腹帯もキリリと締め込んどかないとねぇ・・」

 

 

つれ：「マニフェストとは言いながら、今度の民主党さんのバージョンはすっかり羮に懲りて膾を吹いた按配じゃないかぃ」

ズレ：「肝心なテーマは玉虫色で数値目標は掲げないじゃ、マニフェストが目の敵にした従前の選挙公約と変わりゃしねぇぜ」

つれ：「前に戻る気かと対手を攻撃しながら自前の公約はちゃっかり旧に復してる辺りはいかにも民主党さんらしいやり口ってことかぃ」

ズレ：「何より民主党さんご自身が今さらオオカミが来たと呼ばったところで信用されないのを一番よくご存知だろうよ」

つれ：「二大政党での政権交代になる筈が以前にも増して小党乱立で、国政自体がそっくり羊飼いの少年と化してるようだしねぇ」

ズレ：「党の主張が右往左往してる上に個人の顔も浮かばない国政選挙に比べて都知事選の方が個人毎の理念がはっきりと窺えるのを思うに、選挙制度も中選挙区の個人戦に復した方がいいんじゃねぇか」

つれ：「政治への期待てぇ儚い羊はとうに政治不信てぇ狼に食い尽くされてるんじゃ、囲いや柵の制度を論じても詮無いばかりだろうに・・」

 

 

つれ：「何やら混沌とした第三極は原発の是非を巡ってさらに二極化するみたいだねぇ」

ズレ：「滋賀県知事さんも現職で代表として新党立ち上げだそうで、首長のままの国政進出が流行りそうな気配だわな」

つれ：「埼玉県知事さんも代議士との兼職には色気を示したそうだし、石原御大もこれなら知事を辞めるまでもなかったかとホゾを噛んでたりするかもねぇ」

ズレ：「とはいえ橋下さんを筆頭にいずれもメディアに名の売れた方々だからこそ為せる業とも言えそうだぜ」

つれ：「無名の首長が自治体の運営と併せて新党の売り込みに奔走するんじゃいかにも二兎を追う者だもんねぇ」

ズレ：「二兎を得られる気になるのも郵政民営化以来すっかり単純化されたシングルイシュー選挙の賜物で、今度は原発に踊らされる選挙民こそ好い面の皮でぃ」

つれ：「２０３０年までの寿命はない身じゃどっちに投票しても虻蜂取らずだしねぇ・・」

つれ：「ちょいと大きめの地震の度にドッキリしてたら、来年度から地震保険の保険料が値上げになるそうだよ」

ズレ：「跡形無い全壊ならともかく一部損壊だと情け容赦ないシビアな査定と評判のところに値上げとなると、逆に加入者減でますます原資が不足しやしねぇか」

つれ：「そもそも支払総額は６兆２千億円が天井ってことだと、首都直下に見舞われた日にゃ一般家屋じゃ全壊だって大した戻り分はないかもしれないしねぇ」

ズレ：「東日本大震災を経験した今となっては、従来の保険とは別の補償システムを考えた方がよさそうだわな」

つれ：「保険で面倒みてくれるなら放射能保険なんかも揃えて欲しいようだもんねぇ」

ズレ：「公金で個人資産は保全しないのが建前とはいえ、その辺から柔軟に考え出しゃ併せて被災地復興に資する妙手も浮かぶかもしれねぇぜ」

つれ：「霞ヶ関界隈の石頭だけ全壊する地震に見舞われないことにはなかなか難しそうだけどさ・・」

 

 

つれ：「各党別れろ切れろだ公約の起請がどうだと喧しいなか、緑の党さんは供託金が集まらずに候補擁立を断念するそうだよ」

ズレ：「日本の３００～６００万円てなぁ諸外国に比べると図抜けてバカ高いそうで、そういうとこの選挙改革も必要なんじゃねぇか」

つれ：「際限なく箸にも棒にもかからない有象無象が名乗りを上げないための歯止めにはなってるんだろうけどねぇ」

ズレ：「先頃勇退されたお坊っちゃまのことじゃないけれど、金だけはある有象無象で成り立ってきたのが日本の政治ってことにもならぁな」

つれ：「解散と引き替えに一票の格差問題もバタバタとやっつけ仕事で片付けられちまったし、９条に限らず改憲機運も高まってきたところで選挙制度の抜本的な刷新も考えた方がいいのかもしれないねぇ」

ズレ：「一人一票だから一票の格差てぇ話にもなるんで、人口比率に応じて一人十票とか六票とか持ち票の方で調整する手だってありそうなもんでぃ」

つれ：「きょう日は相当に投票先を分散するリスクヘッジが要りそうだしねぇ・・」

 

 

つれ：「鳩山さんご勇退は一札入れなきゃ公認しないてぇ党の狭量への陰腹召しての諫言なのかねぇ」

ズレ：「そもそも首相退陣で隠居宣言してたんだし、選挙に勝ち目がないからそれを口実に名誉ある撤退を図ったってのが口さがない衆の定説みたいだぜ」

つれ：「徹頭徹尾お騒がせな御仁だけど、ここへきて安倍総裁も日銀さんに国債を買わせてバンバン紙幣を印刷させるなんて怪気炎を上げて騒がしくなってるねぇ」

ズレ：「国民の関心が景気浮揚にあるからにはそこをアピールしないとと先鋭的なブレーンの口車に乗ったのかどうか、幾ら人気取りでも自ずから越えられない矩はあるんじゃねぇか」

つれ：「実体経済の裏付けなしに際限なく通貨量を増やせばハイパーインフレにもなるってのは門外漢でも小耳に挟む経済学のイロハだからねぇ」

ズレ：「経済停滞の原因が半可通な構造改革が招いた不安感にあるとすりゃ、口先だけは景気のいい金融政策より逆構造改革で直接腹に堪える経済環境の安定化を図る方が先だろうよ」

つれ：「お得意の官製談合制度化論や護送船団復権論で怪気炎を上げようたって周りは腹を壊すだけだって・・」

つれ：「ＷＢＣは結局スーパースター不在の国内組だけで臨むことになったそうだよ」

ズレ：「日本のYAKYUをアピールするにはむしろその方が好都合てぇ見方もあるみたいだぜ」

つれ：「それも３連覇が成ればこそで、最後はやっぱりメジャー組がいないとってことになるんじゃないのかぃ」

ズレ：「なまじ連覇したもんで結果優先になりがちだけど、こと野球に関しては目の肥えた日本のファンなら勝ち負けよりも内容を楽しむべきだろうよ」

つれ：「そういう意味じゃ今度の選挙もどこがどれだけ勝つか負けるかよりそれぞれどんな政策で臨むかに注目すべきかねぇ」

ズレ：「どっこいこと政治に関してはすこぶる目の痩せた国民だけに、またぞろ政策より人物模様優先のお花見選挙を楽しむのが関の山っぽいぜ」

つれ：「何しろ今回は石原・橋下と野球は知らなくてもその名は知ってる長島・王クラスのスター選手が出場してるからねぇ・・」

つれ：「間に合うまいとの見方を跳ね返すように第三極が目まぐるしい合従連衡を「繰り広げてるねぇ」

ズレ：「石原さんは物理的な残り時間も限られるだけに、多数獲得に向けて正に形振り構わぬ老いの一徹の暴走老人ぶりだわな」

つれ：「細かいことは後で議論すればいいてぇ仰りようにか気迫がこもってるものの、小異は後送りで結局失敗した民主党政権の直後だけに不安は拭えないんじゃないかぃ」

ズレ：「自ら喩える石原弁慶と橋下義経のカリスマ性への期待と民主党政権を選んだ反省のどちらが大きいかを問われる選挙にもなりそうだぜ」

つれ：「当初トロイカと謳われた三巨頭がそれぞれ袂を別ったように、第三極が政権に就いたら両雄並び立たずてなことになったりしないかねぇ」

ズレ：「この場合はお二方の年齢差が幸いしそうな気配はあるものの、早晩橋下頼朝になった暁には義経のイメージと一緒に弁慶を葬ろうとしないとも限らないんじゃねぇか」

つれ：「それ以前に河村富樫の手前もあって安宅の関で打ち据えたら辛抱たまらずキレちまうかもよ・・」

 

つれ：「党首討論で突如決然たる解散表明たぁ、歴史に残るどぜう総理渾身の演出だねぇ」

ズレ：「売り言葉に買い言葉のノリと見せて、正しく水底で息を潜める泥鰌よろしくこういう風に名を残す機会をじっと窺ってたみたいだわな」

つれ：「まだ備えが整わない第三極は当然としても、解散恨み節の声は野党より与党の方が大きいみたいだけどさ」

ズレ：「党内に野田降ろしの不穏な動きも出るに及んじゃズルズル引き延ばすほど我が身は竹槍に突かれる落武者同然、沈む船から逃げ出す鼠のように所属議員も抜け落ちて党は離散、となれば与党も準備不十分の今こそが結局はお家断絶を避ける唯一無二の好機と踏んで勝負に出たんだろうよ」

つれ：「攻めるは野党に非ず・我が敵は党内に在りてな本能寺の按配かぃ」

ズレ：「奇しくも森光子先生崩御の報とも重なって世の記憶を強くしたところで、いざ開けてみると存外三日天下が続いてたりもするんじゃねぇか」

つれ：「第三極は糾合の間がなく自民は裏を掻かれた格好となると、やっぱり見どころは放浪期が明けての小沢水沢守検審大返しが成るか成らぬかってとこかねぇ・・」

つれ：「八丈島沖で金銀銅がザクザク眠る国内最大級の熱水鉱床発見かてなニュースが流れたけど、先の新春を景気づけるお年玉のように漏れ聞こえてきた政府の資源獲得戦略てのはどうなってるのかねぇ」

ズレ：「世が世ならすわ帝国主義復活の侵略戦争かと受け取られそうな勇ましいタイトルだけに、尖閣のドタバタにも紛れて竜頭蛇尾の掛け声だけに終わってるんじゃねぇか」

つれ：「無論平和日本のやることだから、あくまで外交交渉で勝ち取ろうてぇ寸法だけどさ」

ズレ：「昭和以来の外交力のなさがあたら太平洋戦争を招き、戦後の貿易交渉も後手に回りっぱなしの体たらくじゃ、幾ら大号令だろうとそれで改善するとは到底思えねぇぜ」

つれ：「そこは日本を世界に冠たる経済大国に押し上げた民間企業のお力も拝借して何とかしたいてぇハラだったみたいだよ」

ズレ：「今となってみればその楼閣も世界が油断してる隙に砂で築いた一夜城のようなもんだし、チラつかせる鞭もない飴ばかりの丸腰外交じゃいいようにシャブられるのが関の山でぃ」

つれ：「砲艦外交の顰みに学んで日本もまずは空母建造から始めろってのかぃ・・」