▲ロッキー(♂)
毎年、麦畑が黄金色に輝く季節になると思い出す
悲しい出来事があります。
ロッキーは当時勤めていた運送会社で飼っていた犬です。
近所から苦情が出たとかで引取手を捜していた取引先の社長から
上司が会社の番犬にと譲り受けてきたのです。
大型で凶暴そうな外見とは裏腹に
温和で従順、おとなしい性格のハスキー犬でした。
ただ夜になるとやっぱり狼の血かなと思うような遠吠えをしていました。
住宅街では確かに苦情の原因になるような、
どこか悲しそうにも聞こえる声でした。
春になるとロッキーは脱走しました。
お散歩コース沿いに同じハスキーのメスを飼ってらっしゃるお宅があり
事情を話すと親切に他にメス犬のいるお宅を一緒に回って下さり
その時は無事に捜し出す事ができました。
だけどある日、ロッキーはまたいなくなりました。
近くには熟れた麦畑が延々と広がり
あちこちで麦刈りをしている人たちに尋ねて回りました。
犬のいるお宅も何軒も訪ねました。
でも今度は私一人では見つけ出す事ができなくて
会社の若いドライバーたちも一緒になって広範囲を捜し回ってくれました。
その中の一人の勧めで保健所にも電話してみました。
貼り紙を作って動物病院や金融機関の窓口、
ホームセンターのペットコーナー・・・あちこちに貼らせてもらいました。
でもロッキーは見つかりませんでした。
1週間ほど経ったある日、貼り紙を見た隣町の駐在所さんから連絡がありました。
それを元に何ヶ所か電話をかけ、結局行き着いたのは
いなくなってすぐに連絡をした保健所でした。
「先週ハスキー犬の事で問い合わせをした者ですけど・・・」
電話を保留にされ長い時間待たされた後に、帰って来た言葉は・・・
『保護した場所がそちらの住所とは全く離れた所だと
勘違いして処分を・・・』
現在は諫早市に合併された隣の町が当時は○○郡○○町という住所でした。
あの麦畑を辿って行くとほどなく隣町との境で
実際そちらまで捜しに行ってたほどすぐ近くなのです。
そんな事も知らない馬鹿な保健所の職員がいるなんて・・・
そんな勘違いでロッキーは・・・信じられませんでした。
若いドライバーたちには本当の事が言えませんでした。
本当の事を知ったらキレた彼らは保健所に怒鳴り込んで行きかねないから。
更に1週間が過ぎた頃、頼んでいた「迷子札」が届きました。
実は最初の脱走をしてすぐにマジックで書いた物では消えていたので
真鍮製のプレートに彫ってもらう物を注文していたのです。
でも間に合いませんでした。
私がもっと早くにこの「迷子札」さえ付けていたなら・・・
保健所に腹を立てるよりも私は自分を責めました。
後悔しました。
どんなに悔やんでも悔やみきれませんでした。
私がロッキーを死なせてしまった。
ごめんねロッキー、ごめんね・・・
きっとロッキーの事だから最後まで疑いもせずおとなしく連れて行かれて・・・
苦しかったでしょう・・・ごめんねロッキー。
食いしん坊で甘えん坊だったロッキー、こんなに大きいくせに。
冬の日、アスファルトの上でお腹を上にして日向ぼっこで寝てる姿は
番犬には程遠い、まるで猫のようでした。
隣で一緒に寝転んだドライバーたちにお腹をさすってもらって
気持ち良さそうにしていたロッキー。
私が帰る時にはいつも車でロッキーの所まで行き
ドアを開けると上半身を運転席の私の膝の上に預けて
大好きなビーフジャーキーを食べるのが習慣でした。
「また明日ねロッキー」そう言うと名残惜しそうに車を降りるのでした。
ちょうど10年前の出来事です。
それから1年半後の11月、我が家には新しい家族が増えました。
そしてまた5月になり麦畑を見た時にハッと気付いたんです。
人懐っこい性格、何でも食べようとするし鼻が利くし・・・
甘えん坊で・・・
犬みたいな猫? 猫みたいだった犬・・・
ロッキーなの?!
ロッキーが生まれ変わって・・・
ライはロッキーの生まれ変わりのような気がするのです。
ジャーキーだけをジッと見つめるこのおバカそうな顔^^;
そう言えばちょっと似てると思いません・・・?
週の初めから長文ですみません。
最後まで読んでもらいありがとうございます。
<追記>
ロッキーと一緒に写っているのは従兄の息子で今年の春、高校に入学しました。
こんな小さな子供にも安心して触らせられるロッキーだったんですよ^^
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