中国不滞在記 in 神戸

行って見て聞いて考えた中国のこと

187人の知日学者の声明は真っ当と思いますけど

2015年05月20日 | 歴史問題

本文と全然関係ありませんが、12月の海南島のビーチ、泳げるのであります。少しはなれた所には海軍基地が見えました。ここはベトナムと争っている西沙諸島と目と鼻の先。。


先日、アメリカを中心に、日本を研究する学者187人が声明を発表したことはすでに旧聞に属するところです。しかしこの声明には随分誤解があるようです。

代表的なものが毎日の記事。
19日付でネットに載った毎日の記事のタイトルは

ー欧米の日本研究者ら187人が安倍政権に求めた声明ー

当の声明を取りまとめた人たちはそんなことは言っていない。

『In the first place, this open letter is not addressed to Prime Minister Abe. 』

出だしからして「そもそも、声明は安倍首相に宛てたものではない」と書いてある。
毎日の国枝すみれという記者はキチンと原文を読んでいるのか。こういうのをバカメディアの煽りと言う。

原文はきわめて穏やかなものだ。
声明のタイトルは、
「日本の歴史家を支持する声明、OPEN LETTER IN SUPPORT OF HISTORIANS IN JAPAN」であり、声明文の中に「安倍」の文字はどこにも出て来ない。読売新聞、韓国の聯合通信に独占配信し、さらに事前に安倍首相あてにも送ったらしい。内容を見てみると。。。

戦後の日本の平和への取り組みや民主主義、他国への援助を評価したうえで、
日本と中韓の民族主義を煽る手法や、そのために慰安婦の人たちを更に傷つけている現状もきちんと示唆している。読み方によっては日本よりとりわけ韓国への勧告と受け止める方が正しいだろう。

『この(慰安婦問題)問題は、日本だけでなく、韓国と中国の民族主義的な暴言によっても、あまりにゆがめられてきました・・・・・・元「慰安婦」の被害者としての苦しみがその国の民族主義的な目的のために利用されるとすれば、それは問題の国際的解決をより難しくするのみならず、被害者自身の尊厳をさらに侮辱することにもなります。』

声明は、先のアメリカ議会における安倍首相の演説を賞賛しながら、その精神に基づいて日本が過去をきちんと清算する必要があると述べている。その通りだと思う。少なくとも戦争被害者の心を癒す何らかの処置が必要だ。人道主義的な文脈とともに政治的な文脈で。

注目すべきは次の指摘だ。

『米国、ヨーロッパ諸国、日本を含めた、19・20世紀の帝国列強の中で、帝国にまつわる人種差別、植民地主義と戦争、そしてそれらが世界中の無数の市民に与えた苦しみに対して、十分に取り組んだといえる国は、まだどこにもありません。』

日本だけが反省していないのではなく、実は帝国主義列強で植民地主義を清算した国はないということだ。だから日本がその先駆たれということ、つまり安倍政権に反省を迫るのではなく、「encouragement」激励と受け止めるのが正しい。

この辺りは日本の左巻き自虐史観とは違って至って客観的だろう。
大江健三郎も少しは歴史を振り返ってみればよいと思う。
独りよがりな正義感を振りかざすばかりでしっかり森をみないなら利用されるだけだ。
いい加減、中韓の政治的な思惑に乗せられるような行動の仕方は辞めるべきだ。
とくにドイツは謝罪したのに、という安倍批判の仕方。
ドイツはギリシャに36兆円も賠償金を要求されて1960年の条約で済んだことだと回答している。ドイツが占領下のギリシャで行ったことはすさまじい暴政あるのみでギリシャの富を根こそぎ持ち出し、レジスタンの抵抗運動には容赦なく人質の殺害で答えた。ドイツはユダヤ人虐殺やナチスの残虐行為を謝罪しているが、戦争責任については国家的謝罪などいまだにしていない。

声明を受け取った韓国の聯合通信は、韓国の民族主義に対する批判をカットして、安倍政権を非難したものとし、声明の一部を勝手に書き換えて一方的な報道をした。もちろん韓国政府も同様に硬直した日本批判を展開した。

聯合通信は、『学者187人が安倍首相に対し旧日本軍慰安婦問題とこれに関連した歴史的な事実をねじ曲げることなく、そのまま認めるよう求める声明を共同で発表した』としているが、そんな内容はどこにも書かれていない。完全な捏造である。

『大勢の女性が・・・・・恐ろしい暴力にさらされたこ』というくだりは『むごい野蛮行為のいけにえにされた証拠は明らかだ』と勝手に書き換えている。声明は英文と日本語しかなく、東京在住の聯合ニュースの記者はきっとどちらもきちんと読めない貧しい語学力しかないのであろう。我々が相手にしているのは真実を都合よく書き換えて恥じない国だということを銘記すべきである。

欧米からみれば、日本の戦後をきちんと評価しつつ、安倍政権の歴史修正主義に不安を感じているということだろう。それは安倍自身の歴史観の問題である。日本政府は公式に歴代内閣が謝罪し、安倍内閣もそれを受け継ぐと言っているのだから法的に歴史問題を否定しているわけではない。また外務省のHPにも侵略や植民地支配への反省という文言がある。だが、彼がちらつかせる戦後秩序への挑戦的な言辞や、侵略への否定的な見方、批判の口実を与えるだけの靖国参拝などの、国益よりも自己の信条や優先するあまりにあまりに稚拙な行為が、中韓に絶好の口実を与えたのだ。戦後秩序の見直しをするにしてもいい意味でもっとずる賢く行うことができただろう。それが出来るのが政治家の資質というものだ。

日本は公式に謝罪しているが、中国や韓国にとってはそんなことはどうでもよいことである。日本を叩くことによって自国がいつまでも被害者でありたい。そうすることによって国内的に国際的に優位に立ちたい。それは日本が過去、真摯な反省を何度も繰り返したのにもかかわらず、歴史問題の火の手は収まるどころか燃え上がるばかりだという現状からしてよく分かる。村山談話や河野談話で韓国の日本批判は終息したか? 小泉談話や管談話で納得してもらえたか? 戦後70年たっても、謝罪しても賠償・経済援助をしても、日本は加害者であり続けなくてはならず、いまだに戦犯国、敗戦国呼ばわりしてはばからない。韓国に至っては戦勝国の仲間入りをしてくてうずうずしているようにさえみえる。たとえ安倍首相が反省の弁を口にしても、きっと不十分だとされ、韓国は勢いづいてさらに要求をエスカレートさせてくるに違いない。中国はもともと感情的ではなく、戦略的思考で動く国なので、どんな反応をするかはよく見えない。

だが、安倍首相は彼が蒔いた過失の後始末をしなければならない。それには声明に言うように、70年目の節目で植民地支配への反省や慰安婦問題について触れざるをえないだろう。問題を大火事にしたのは安倍政権の外交的失敗である。基本的に日本は韓国・中国とは友好関係を結ばなくてはならないし、敵対関係にならないよう細心の注意をはらうべきなのに、なんと軽い政治家であろうか。大学時代の彼の恩師が彼を評して、『安倍君はあまり勉強しなかった』と言ったのはきっとその通りにちがいない。幸か不幸か隣の国の大統領は同じ位あほだが。

参考文献:東洋経済オンライン 「日米歴史家、韓国メディアの"変化球"に困惑」
      朝日新聞デジタル、「日本の歴史家を支持する声明(全文)」
      毎日新聞、<日本研究者>さらに賛同者、457人に 安倍政権への声明


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