元英首相トラス氏、「経済NATO」の構築提唱 中共への対抗を呼びかけ
10月5日、オーストラリア・ブリスベンで開催された保守党政治行動会議(CPAC)に出席する元イギリス首相リズ・トラス氏は、中国共産党(中共)が「海外社会を破壊しようとしている」と警告し、西側民主主義国家が中共に対してあまりにも軟弱であると批判した。
中共による脅威に対応するため、「経済NATO」の設立を提案し、経済的な連携強化を呼びかけた。
トラス氏は大紀元の独占インタビューで、中共に対抗する最も効果的な方法は、西側諸国が経済分野で協力を強めることだと語った。
トラス氏は「経済NATO」により、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの国々が協力し、中国への輸出制限や経済政策を統一することで、中共の脅威に対応する必要があると語った。
「私は『経済NATO』の構想を提案してきた。アメリカ、イギリス、オーストラリアなどが協力して、中国(共産党)に対する経済政策を共同で策定し、中国(中共)が我々の産業を破壊するのを阻止し、我々に不利に働く可能性のある技術の輸出を阻止すべきだ。私たちはもっと強硬になる必要がある」
また、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)を中共に対抗する防波堤とし、や欧州連合(EU)がCPTPPに加盟する可能性にも言及した。中共政府は以前からCPTPPへの参加に関心を示しており、民主主義国家である台湾も加盟を強く求めてきた。
同時に、トラス氏はオーストラリアの労働党政権が中共に対して取っている政策についても疑問を呈した。豪州のアルバニージー首相はこれまで、「中国と協力できる分野では協力し、必要な場合には意見の違いを表明するが、常に国家の利益を最優先する」と述べている。
トラス氏は批判的な見解を示し、「中共は、イギリスやオーストラリアなどが信奉する価値観に積極的に反対しており、このような政策は短期的な経済利益のための宥和政策に過ぎず、自由を守るための長期的利益と矛盾している」と述べた。
豪州のジム・チャルマーズ財務相は、9月26日から27日にかけて中国を訪問し、豪中の貿易関係強化を目的とする戦略経済対話を開催したが、トラス氏は、こうした方針に対しても懸念を表明している。
首脳らは、ますます複雑化する経済環境の中で、「投資政策の最新動向」に関する情報を共有し、気候変動の目標や再生可能エネルギーへの投資に関する「技術・政策交流」の重要性を認識することを改めて約束した。
チャルマーズ氏は、中国経済の低迷が豪州の輸出に影響を与える可能性について懸念を表明しており、特に鉄鉱石の需要減少がオーストラリアの予算収入に打撃を与え、数十億ドルの損失を招く可能性があるとしている。
中国との継続的な経済関係の強化を目指す動きは、豪州予算が支出の増加と生産性の低下という課題に直面している中で進んでいる。
労働党政権は、急速に拡大した国家障害保険制度(NDIS、障害者支援を提供する制度)をはじめとする、主要な社会福祉プログラムのコスト抑制に努めている。NDISは国内最大の雇用創出源でもあり、その財政負担が大きくなっている。
さらに、豪統計局のデータによれば、8月の家計支出はほぼ横ばいだったが、9月の統計では、同国の経済成長率がわずか0.2%にとどまり、1991~1992年度以来の最低を記録していることが明らかになった。