ヤフーのニュース欄にこんな記事が掲載されていました。
文章全体の中から一部を抜粋しています。
「瞼裂斑(けんれつはん)」に関する眼の検診
瞼裂斑とは、白目の上にできる黄色い斑点や隆起のことで、鼻側の白目に多く見られます。
これは悪いものではなく、正常な組織が蛋白質と脂肪の沈着で変化したものです。
翼状片と違い、黒目にのびてくることはありません。
これも慢性的な刺激や太陽の光などが影響していると考えられています。
◆中学生を対象とした検診結果 ~部活動で異なる「瞼裂斑(けんれつはん)」初期変化の発症率~
金沢医科大学は、小児期における紫外線被曝と眼疾患の関係を調べるため、2010年7月に中学生312名(石川県内灘町)を対象に検診を実施。
紫外線の影響で、白目の一部がシミのように黄色く濁り盛り上がる「瞼裂斑」の有所見率を調査しました。
◆中学生の約4割が「瞼裂斑(けんれつはん)」初期変化を発症
高学年ほど高い傾向に肉眼では捉えることのできない潜在的な「瞼裂斑」の初期変化を、特殊な光を当てて撮影することで確認する写真診断の結果、全体の36.2%に初期変化が認められました。
学年別では、1年生25.9%、2年生41.4%、3年生41.9%と、高学年ほど有所見率が高い結果となりました。
◆屋外部活動の生徒では「瞼裂斑(けんれつはん)」の初期変化が多い傾向に
屋外活動時間との相関関係も「瞼裂斑」の初期変化が見られた生徒は、所見が無かった生徒より、平均屋外活動時間が長く、眼部の紫外線総被曝量も多いことが分かりました。
また、「瞼裂斑」初期変化の有所見率を部活動別に比較すると、野球部が61.5%と最も高く、次いでソフトボール部54.5%、サッカー部42.9%となり、屋外で長時間スポーツをおこなう部活動の生徒で高い傾向にあることが明らかになりました。
◆メガネを常用している生徒の「瞼裂斑(けんれつはん)」初期変化発症率は低い
「瞼裂斑」の有所見率を “メガネ”の使用状況で比較すると、メガネを使っていない生徒は、メガネ常用の生徒に比べて約3倍高く、また時々使用している生徒(授業中のみなど)でも有意に高い結果となりました。
メガネを常用している生徒は、「瞼裂斑」の初期変化を発症している割合が低いことが分かります。
(有所見率:メガネ常用者12.1%、時々使用者:35.6%、非使用40.1%)
◆小学生を対象とした検診結果 ~小学生でも既に「瞼裂斑(けんれつはん)」初期変化が認められる~
金沢医科大学は、同様に小学生493名(石川県内灘町)を対象に検診をおこない、「瞼裂斑」の有所見率を調査しました。
◆小学6年生で「瞼裂斑(けんれつはん)」初期変化が既に16.8%発症
中学生の検診と同様に潜在的な「瞼裂斑」の初期変化を特殊な光を当てて撮影する写真診断の結果、小学3年生から初期変化が現れはじめ、小学4年・5年でそれぞれ6.8%、小学6年では16.8%に「瞼裂斑」の初期変化が認められました。
◆オフィスワーカーを対象とした検診結果 ~日常生活での眼への紫外線によるダメージの可能性~
金沢医科大学は、2010年9月、日常生活での紫外線被曝量が比較的少ないと考えられる都市部のオフィスワーカーであるジョンソン・エンド・ジョンソングループの社員298名を対象とした眼科検診を東京都内で実施し、「瞼裂斑」の発症状況を調査しました。
◆オフィスワーカーでも「瞼裂斑(けんれつはん)」が約6割に発症
肉眼で確認できるレベルに進行した「瞼裂斑」の症状は受診者の57.4%で認められました。
一般的に年齢が上がるほど有病率は高くなる傾向にありますが、20代でも42.3%、30代で56.6%、40代では61.1%に発症していました。
◆UVカットコンタクトレンズ装用者の「瞼裂斑(けんれつはん)」は、黒目から離れた位置に発症
白目部分に発症する「瞼裂斑」は通常、黒目と白目の境目近くに発症します(輪部型)。
黒目と白目の境目は、紫外線の影響を受ける可能性が高く、異常が発生した場合に様々な眼疾患症状のリスクが高くなると考えられています。
発症位置の傾向を視力矯正方法別に比較すると、メガネ使用者と視力矯正をしていない人は輪部型がほとんどですが、UVカットコンタクトレンズ装用者では、黒目と白目の境目より離れた位置に発症する(周辺型)割合が高いことが分かりました(輪部型発症率:UVカットコンタクトレンズ45.9%、メガネ95.2%、視力矯正無し94.8%)。
この理由として、UVカットコンタクトレンズが覆っている範囲が角膜(黒目)よりもやや大きいことから、紫外線ダメージのリスクが高いといわれる黒目と白目の境目部分の外側に「瞼裂斑」が発症していると推測されます。
【検診を担当された金沢医科大学 眼科学の佐々木洋教授は、今回の結果から以下のようにコメントされています】
◆“眼のシミ”のような「瞼裂斑(けんれつはん)」は、見た目だけでなく眼の不快症状にも影響する身近な眼疾患
紫外線による眼の障害には、強度の紫外線を短時間浴びたことで生じる充血、角膜炎、雪眼炎(いわゆる「ユキメ」)などの急性障害と、紫外線被曝の蓄積により生じる瞼裂斑、白内障、翼状片(よくじょうへん)などの慢性障害があります。
白目の一部が黄色く濁り、“眼のシミ”のような症状が出る「瞼裂斑」は、失明に繋がる疾患ではなく自覚症状が無いことも多いため、あまり知られていませんが、見た目の問題だけでなく、進行すると充血やドライアイの原因になることも少なくありません。
「瞼裂斑」のある人では白内障発症のリスクが高いことも最近の研究で明らかになってきています。
◆小児期からの眼の紫外線対策の必要性
白内障、翼状片(よくじょうへん)といった眼疾患が若年層に見られることはまれですが、今回の検診調査で「瞼裂斑」の初期変化は、最も早い子供では小学3年生で発症がみられ、小学6年生ですでに16.8%、中学生でも高率に認められたことは驚くべき結果でした。
「瞼裂斑」の有所見率が、屋外活動時間の長さやUVカット加工のメガネの使用、眼部紫外線被曝量の多さと相関関係にあったことから、小児期からすでに眼部の紫外線被曝による眼疾患を発症している可能性が示唆されたといえます。
特に、屋外で長時間スポーツをおこなう部活動(特に野球部)で有所見率が高かったことから、屋外で活動する際の眼の紫外線被曝が非常に懸念されます。
これらのことから、小児期から十分な眼の紫外線対策が必要であり、屋外でのスポーツ時には特に注意が求められるといえるでしょう。
一方、日常生活での紫外線被曝量が比較的少ないと考えられる、都市部のオフィスワーカーの約6割にも「瞼裂斑」が認められました。
「瞼裂斑」は大きさや隆起の程度も進行していきますので、潜在的な初期変化を顕在化させないためにも、そして既に発症している「瞼裂斑」=眼のシミを悪化させないためにも、年齢に関係なく正しい眼の紫外線対策が求められます。
◆眼の紫外線対策における、“メガネ”と“UVカットコンタクトレンズ”の役割
“メガネ”を常用している生徒は、メガネ非使用や時々使用の生徒に比べ「瞼裂斑」初期変化の発症が顕著に低かったことから、“メガネ”の常用が眼の紫外線対策として有用であるといえます。
最近のメガネはUVカット加工がされているものが多く、紫外線防御アイテムとして屋外でも使用すると良いと考えられます。
ただ、スポーツをおこなう場合にはメガネの使用が難しいことも多いので、コンタクトレンズのニーズも高いと思われます。
その場合は、選択肢として“UVカットコンタクトレンズ”が考えられるでしょう。
“UVカットコンタクトレンズ”については、レンズが覆っていると思われる部分に「瞼裂斑」ができていなかったことから、眼の紫外線対策における“UVカットコンタクトレンズ”の一定の役割が実証されたと考えられます。
黒目と白目の境目部分は、横から眼に入る紫外線が集中し被曝量が多くなる(コロネオ現象*)のために、紫外線のダメージを受けやすい部分と言えます。
この部分をダメージから守ることが、「瞼裂斑」の発症以外にも、結膜(白目)の一部が異常増殖して角膜(黒目)に伸びてくる「翼状片」発症のリスク軽減につながると考えられます。
さらに、“UVカットコンタクトレンズ”は、角膜全面をカバーするため、眼内に入る紫外線をカットすることができ、白内障の発症や進行防止のリスク軽減につながると考えられます。
◆正しい眼の紫外線対策は、「メガネorサングラス+UVカットコンタクトレンズ+帽子」の3点セット!
うす曇りであっても、紫外線量は晴れの日の80%以上であることが多く、屋外にいる時は常に眼の紫外線対策をしてください。
眼に入ってくる紫外線対策には、メガネもしくはサングラス、UVカットコンタクトレンズ、帽子の併用が有用です。
メガネやサングラス単独の場合、コロネオ現象*によってレンズと顔の隙間から入り込んだ紫外線が眼に吸収されてしまい、結果的に正面からの紫外線よりも強いダメージを与える可能性があります。
また、レンズの色が濃いタイプの場合、視界が暗くなることで瞳孔が開き、結果として眼内に紫外線が入りやすくなる可能性もあります。
角膜(黒目)と結膜(白目)の一部をカバーすることができる“UVカットコンタクトレンズ”の使用も対策の一つに挙げられますが、結膜(白目)の全てはカバーされないので、メガネやサングラスとの併用が有用です。
紫外線のダメージから眼を守るためには正しい知識を身につけることが大切です。私が監修しているWEBサイトを参考に、生活環境に合わせた眼の紫外線対策を講じていただきたいと思います。
特に、子供の眼の紫外線対策については家庭や学校でしっかりと指導をおこなうことが重要であり、将来の眼疾患予防のためにも早急な対応が必要であると思います。
金沢医科大学眼科学教室による紫外線が眼(結膜)に及ぼす影響についての調査。
紫外線ケアは肌と同様、眼にも必要です。
将来的には翼状片や白内障の予防にも繋がります。
「目が悪い=眼鏡を装用する」ではなく「目が悪くなるのを予防する=眼鏡を装用する」
今までよりも少しだけ、眼の健康に気を使ってみては如何でしょうか?
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