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SPECTACLE DIARY

かわいいお客様や今日あった症例などを紹介しています

ミトコンドリア病による視力低下

2012年08月10日 10時36分40秒 | 眼病知識

ミトコンドリア病とはミトコンドリアの変異、多くの場合は常染色体劣性遺伝

10万人に15人程度が発症する病気です。

ミトコンドリアは全身のひとつひとつの細胞の中にあってエネルギーを産生するはたらきを持っています。

そのミトコンドリアのはたらきが低下すると、細胞の活動が低下し全身に病状が現れます。

具体的には好気的エネルギー生産が行えなくなり、ミトコンドリア脳筋症やミトコンドリアミオパチーを引き起こします。

ミトコンドリア脳筋症では眼に症状が出ることもあり、外眼筋麻痺や網膜色素変性症、視神経萎縮を発症します。

いったん低下した視力は元に戻ることは殆ど無く、日常生活に支障をきたす場合も有り、ご家族の支援が必要となります。

このミトコンドリア病による眼症状。

眼に発症する年代は10代~30代が圧倒的に多いですが、50代で発症することもあります。

若年齢時に発症しても見逃されることもしばしばで「心因性視力障害」と言う一言で片付けられてしまう場合もあります。

眼科で行われる検査は「ミトコンドリアDNA検査」があります。

(フリッカー値/眼底所見/蛍光眼底撮影/視神経MRI)

現在の医学ではこれといった治療方法は確立されていません。

極力ミトコンドリアの活動を低下させない為に規則正しい生活と、栄養バランス(各種ビタミン)のとれた食事が大切です。

又、飲酒や喫煙等はミトコンドリアの活動に負担を掛けるので避けましょう。


ips細胞で網膜移植

2012年07月07日 18時56分50秒 | 眼病知識

先日のNHK「クローズアップ現代」で放送された再生医療特集。

注目の内容は網膜の再生医療、移植の試験が理化学研究所でいよいよスタートします。

今回は加齢黄斑変性の5名が対象。

今後10年から20年を目安に、順次治験へと移行する様です。

ついにここまで来ましたね・・・賛否両論あるとは思いますが、患者様にとっては朗報だと思います。

これが成功すれば各網膜症に転用され、色素変性症への切り口となるのかもしれません。

現在、網膜症に対して多く行われている抗VEGF治療。

これは出血を止めるのが目的で、視力回復に貢献しているかと言うと微妙な所。

確実に変化を求めるのであれば、自己の細胞を利用した網膜移植ほど期待を持てる物はありません。

いずれは角膜や水晶体まで創れる日が来るのか?見届けたいと思います。


近視の進行

2012年06月30日 13時43分23秒 | 眼病知識

昨今、若い方を中心に広がっている近視矯正方法がレーシック。

銀座眼科の一件もあり下火に成りつつありますが、それでも施術されている方は増加傾向。

又、コンタクトレンズや眼鏡の低価格化も進み、より手軽に遠見視力を向上させる事が出来ます。

レーシックとはレーザーで角膜を削り、遠方を見える様に矯正します。

(削った角膜は元に戻りません、レーザーを照射する度に角膜は薄くなります)

主に近視を矯正する方法ですが、レーシック術後に再び近視が進行する症例は多々あります。

これは現代人の生活が近視になり易い生活環境と言い換える事が出来ます。

近視になればコンタクトや眼鏡、レーシックを必要とする方が増加。

誰も近視の予防策には興味がなく、近視が進行してから行動を起こします。

なぜ自分は近視が進行するのか?一度立ち止まって考えてみる事も必要だと思います。


平行法と交差法

2012年05月31日 13時34分34秒 | 眼病知識

3Dを利用したVT(ビジョントレーニング)があります。

これには平行法と交差法の2種類があり、使い分けが必要です。

自己の眼の使い方の癖を正確に把握しなければ、正しいトレーニングにはなりません。

3DによるVTの目的は固まってしまった眼の筋肉を解す事です。

長時間一つのものを固視し続けると眼の筋肉は固まります。

この固まりによって近視の進行など、全身にも様々な影響を及ぼします。

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《平行法》 リラックスしてぼんやり見る感覚 図形が浮き上がって見える

《交差法》 集中し睨みつけて見る感覚 図形が奥に沈んで見える

例えば内斜位の状態(眼が内向き)では平行法が効果的です。

逆に交差法では内向き傾向が強くなってしまい、ストレスを抱える事になります。

自己の眼の状態を把握した上で、有効なVTにチャレンジして頂くことが大切です。

※一般的な例えです、内向きの方全てに交差法が効果的という訳ではありません。


モノビジョン(老眼治療)

2011年12月07日 10時53分26秒 | 眼病知識

昨今「老眼治療」と言う名の下で行われているモノビジョン法。

主にレーシック、コンタクトレンズにより、行う矯正です。

眼鏡にて処方する場合もあります。

モノビジョンとは左右眼を遠方・近方に振り分けて見る方法。

理論上は遠方~近方まで見えるようになります。

先日ご来店頂いたお客様もモノビジョンレーシック手術を受けていました。

術後、肩こりがひどくなったとの訴えです。

  

(例)

右眼 遠方視(S±0.00D=焦点距離∞)

左眼 近方視(S-2.50D=焦点距離40cm)

明視域 ∞~40cm

  

一見すと素晴らしい矯正方法、しかしデメリットもあります。

それは、両眼視を全く無視した矯正方法だと言う事。

特に意図的(人工的)にモノビジョンにて矯正した場合にデメリットを感じ易くなります。

遠近感や立体感の低下、日常的に感じる違和感、全身に出る症状(肩こり)等々。

例えるなら「腰の痛みは取れますが肩こりにはなります」と言った具合に。

そもそも人間は両眼で物を見る様に設計されています。

今まで両眼で物を見ていた生活がある日突然、片眼づつ見る生活に変化するのです。

中には性格に変化が表れてしまう方もいらっしゃいます。

単純に考えても違和感が出ると思いませんか?

私も検査を通じて「モノビジョンの様な矯正度数に合わさざるを得ない」場合があります。

これは左右の度数差があまりにも大きい為、不当像視を考慮した上での事です。

「老眼治療」この魅力的な言葉の裏に、デメリットがある事も理解すべきだと思います。