新潟久紀ブログ版retrospective

燕市企画財政課9「指定管理者選定等委員会」編

●指定管理者選定等委員会

 企画財政課長が実務を取り仕切る外部有識者の会には「指定管理選定等委員会」というものもあった。
 行政改革としての業務の外部委託化や民営化の推進は、バブル経済崩壊後の税収右肩下がり基調の下で、全国の自治体における潮流となっていた。燕市においても、図書館や大型体育施設など50箇所ほどが、民間の法人や団体に運営を任せることで、より効果的で効率的な公共資産の活用につなげようという指定管理者制度が導入されていた。
 民間団体への委託にあたり、市としては放任して結果して大事な施設や財源を毀損したり、より良く運用できる団体があるのにミスマッチを続けることは回避しなければならない。委託先の選定時はもとより、契約期間の途上にあっても、運用の適正性や効率性、最大限効果的に経営資源を活用しているかなどを、民間の有識者による厳しい目線で審査していただき、妥当性を評価していただこうというのが「指定管理者選定等委員会」なのだ。
 私が赴任していた2年の間には、公民館施設の指定管理契約の満了を控えた事案が多く、委員の皆さんをミニバンに分譲させて現地に赴き、施設の利用のされ方や、設備のメンテナンス状況などを、委託契約相手方からの説明を聴きながら目視で確認したり、委員が気付いたことを質疑や意見交換したりということを行った。
 県で同様なことがあれば、広域的に活用される施設を比較的業務運営力の大きな団体が受託するというケースが多いので、現場での視察は粛々整然とということが創造されるが、基本的に限られた地域コミュニティーの人々のみが活用する公民館などにおいては、地域の状況を知り抜き、風習や慣習に適う運用ができる地元の自治関係組織以外に、その採算性の厳しさからも、委託の受け手がいないのが実情だ。
 なので、受託者は採算に見合わない状況でも地域貢献として受託しているというプライドが強い。会社やNPO法人の役員、税理士など市内在住の委員ではあっても、当該地域住民としての目線でない視点での指摘や意見が出されると、中には喧嘩腰に反論してくる受託団体役員も居て、現場視察は結構エキサイトする場面もあった。
 市長が嘱託する委員に対して度を越えて礼を失した対応などはさすがに謝罪を求めることもあったが、現地視察が、見ていて心配なほどに、喧々諤々の議論となることは悪い事ではないと思った。委託者と受託者というと、どこか上下関係の構図が無意識に脳裏に擦り込まれているのかもしれない。形式的になりがちな官サイドの有識者からの質疑に、臆せず時に反論さえしてくる気骨に触れたりすると、とりわけ基礎自治体は民主主義の学校の中の学校だなあと思わせられたのだ。

(「燕市企画財政課9「指定管理者選定等委員会」編」終わり。県職員としては異例の職場となる燕市役所の企画財政課長への出向の回顧録「燕市企画財政課10「イキイキまちづくり事業審査会」編」に続きます。)
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