
GEORGETTLE HEYER Death In The Stocks
猪俣美江子:訳
カバーイラスト=田地川じゅん
カバーデザイン=内海由
(◎2011/創元推理文庫 127 11)
月夜の晩、ロンドンから離れた村の広場で、晒し台に両足を突っ込んだ紳士の刺殺体が発見された。動機を持つ者にはこと欠かないが、浮世離れした容疑者たちを前に、ハナサイド警視は苦戦する。そんなとき、思わぬ事態が発生して……。ヒストリカル・ロマンスの大家として知られる一方、セイヤーズも認めた力量を持つ著者による、巧みな人物描写と緻密なプロットの傑作本格ミステリ。
英国で黄金期に書かれたロマンスの巨匠による知られざる本格ミステリ。よって推理と並行してロマンスも進行していきます。この絡ませ方がまた絶妙なんです。画家ケネスとその妹トニー(アントニア)は相当に面白くて、特にケネスの変わり者ぶりはセイヤーズ女史のかのピーター・ウィムジイ卿を少し思い起こさせます。まぁ、ピーター・ウィムジイ卿に比べたらまだまだひよっこですけどねwww トニーはこの前読んだ『黄衣の王』のトレッサ・ノーンにも通ずる愛らしさがあって、大変好感が持てました。探偵役を務める弁護士ジャイルズは最初登場した時はキザなヤツかと思いましたが、実はいいヤツでしかもカッコ良かったw 犯人は後半になってわかっちゃいましたけど、微笑ましく読めました。物語も面白かった~♪ 次作『マシューズ家の毒』も必ず読みますよ。